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信用乗数・ハイパワードマネー

知識マップ

経済(マクロ)公式

ひとことで言うと

中央銀行が1万円のお金を供給すると、銀行が預金を受け入れて一部を準備として残しながら貸し出しを繰り返すことで、市中に何倍ものお金が流通する(信用創造)。この増幅倍率が信用乗数で、準備率が高いほど乗数は小さくなる。

信用乗数の仕組み。中央銀行が供給するハイパワードマネー(ベースマネー)Hに信用乗数を掛けたものがマネーサプライM。預金準備率rと現金預金比率cによって乗数の大きさが決まる。中央銀行ハイパワードマネー H×信用乗数(1+c)/(c+r)マネーサプライ M現金+預金信用乗数の決まり方c = 現金預金比率(民間が現金として保有する割合)r = 預金準備率(銀行が準備として保有する割合)信用乗数 = (1 + c) / (c + r)r↑ → 乗数↓ → M↓ (準備率引上げで金融引締め)

信用乗数の仕組み。中央銀行のハイパワードマネー(H)が信用乗数((1+c)/(c+r))倍に増幅されてマネーサプライ(M)になる。準備率r↑または現金預金比率c↑で乗数は低下しMが縮小する。

数式で表すと

信用乗数 = 1+cc+r\frac{1+c}{c+r}(c: 現金預金比率, r: 準備率)

マネーサプライM=ベースマネーH×信用乗数。信用乗数=(1+c)/(c+r)(c:現金預金比率、r:預金準備率)。準備率引き上げ→信用乗数低下→マネーサプライ縮小。

ハイパワードマネー(ベースマネー): 中央銀行が直接供給するお金。 H=H = 銀行の準備預金 ++ 民間保有現金 マネーサプライの構成: M=M = 現金 ++ 預金(M1やM3等の定義による) 信用乗数(貨幣乗数): \text{マネーサプライ} M = \frac{1+c}{c+r} \times H 信用乗数 =1+cc+r= \frac{1+c}{c+r} cc:現金預金比率(民間の現金/預金比率) rr:預金準備率(銀行の準備/預金比率) 準備率引き上げの効果: rr\uparrow \Rightarrow 信用乗数 M\downarrow \Rightarrow M\downarrow(金融引締め) 信用創造の仕組み: ①A銀行が100の預金を受入→100×(1-r)を貸出 ②貸出が別の預金に→さらに(1-r)倍貸出 ③これを無限に繰り返す → 総預金 =100/r= 100/r(準備率rの逆数)

試験に出る性質

公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)

中央銀行が市場で国債等を売買することでHを調節する金融政策手段。国債購入(買いオペ)→H増加→M増加(金融緩和)。国債売却(売りオペ)→H減少→M減少(金融引締め)。最も頻繁に使われる金融政策ツール。

法定準備率と超過準備

法定準備率:中央銀行が法律で定めた最低準備率。超過準備:法定準備を超えて保有する準備。ゼロ金利環境では超過準備が積み上がり(日銀当座預金の超過準備)、信用乗数が低下して金融政策の効果が弱まる。

マネーサプライの定義(M1・M3)

M1(狭義):現金通貨+要求払預金(普通預金・当座預金)。M3(広義):M1+定期預金+譲渡性預金(CD)等。日銀はM1・M2・M3等の統計を公表。信用乗数はどの定義のMを使うかによって異なる。

例で見る

H = 100、準備率 r = 0.1(10%)、現金預金比率 c = 0.2 信用乗数 = (1+0.2)/(0.2+0.1) = 1.2/0.3 = 4.0 マネーサプライ M = 4.0 × 100 = 400 準備率が0.2に上昇すると乗数 = 1.2/0.4 = 3.0 → M = 300(マネーサプライ縮小)

つまずきポイント

  • 「信用乗数の分子は(1+c)、分母は(c+r)」。cとrを混同しない。c=現金預金比率(民間の行動)、r=準備率(銀行の行動または法定)。cが大きい(現金選好が高い)ほど信用創造が少なくなる。
  • 「信用乗数は必ずしも大きくない」。理論上r=0なら乗数=∞だが、現実には超過準備や貸出需要の低下により乗数は小さくなりうる。ゼロ金利下で量的緩和をしてもMが理論通り増えない一因。

定着クイズ

信用乗数の計算式として正しいものはどれか(c:現金預金比率、r:準備率)。

現金預金比率c=0.1、準備率r=0.1のとき、ハイパワードマネーH=200のマネーサプライはいくらか。

中央銀行が準備率を引き上げた場合のマネーサプライへの影響として正しいものはどれか。

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