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展開形ゲーム・後向き帰納法

知識マップ

経済(ミクロ)用語

ひとことで言うと

ゲームが時系列で進む(先手・後手がある)場合、「ゲームの木」で表し、末端から逆向きに「その時点での最善行動」を求めることで均衡を求めるのが後向き帰納法。先手は後手が合理的に行動することを読み込んで自分の行動を決める。

展開形ゲームのゲームツリー。後向き帰納法で末端から逆算して均衡を求める。先手(プレイヤー1)が参入か回避かを決め、参入後に後手(プレイヤー2)が協調か対抗かを決める。P1P2参入回避協調対抗(2, 1)(0, 0)(1, 3)後向き帰納法:①P2は「協調(1)>対抗(0)」→協調を選ぶ②P1は「参入後の(2,1)>回避の(1,3)のP1分=1<2」→参入を選ぶ均衡:(参入, 協調)→ (2, 1)

展開形ゲームの例(参入ゲーム)。後向き帰納法:①P2は参入後「協調(1)>対抗(0)」→協調選択。②P1は「参入+協調(2)>回避(1)」→参入選択。均衡経路は参入→協調、利得(2,1)。

数式で表すと

ゲームの木で表される逐次手番ゲーム。後向き帰納法(backward induction)で末端から逆算して部分ゲーム完全均衡を求める。コミットメントにより先手が有利になる場合がある。

展開形ゲームとは: 意思決定が時系列で行われるゲームを「ゲームの木(ゲームツリー)」で表現したもの。 ・ノード:意思決定点 ・枝:選択肢 ・末端ノード:利得 後向き帰納法(Backward Induction): ①最後に意思決定するプレイヤーから始め、その時点での最善行動を特定 ②逆順に各意思決定点での最善行動を決定 → 部分ゲーム完全均衡(Subgame Perfect Nash Equilibrium:SPNE) 参入ゲームの例: ・既存企業(P2)が市場を支配 ・新規企業(P1)が参入か回避かを決定 ・参入された場合、P2は協調(市場分割)か対抗(価格競争)かを決定 ・P2にとって協調(1)>対抗(0)なので、「参入されたら対抗する」という脅しは空脅し(Credible Threat ではない) コミットメント効果: 「参入されたら絶対に対抗する」という信頼できる約束(設備投資等)で初めて空脅しが信憑性を持つ。コミットメント(commitment)により先手(P2)が有利になれる。

試験に出る性質

後向き帰納法と完全情報の仮定

後向き帰納法は完全情報(各プレイヤーが過去の全手番を知っている)のゲームで適用可能。不完全情報ゲーム(手番が同時、または相手のタイプが不明)では信念を考慮した均衡概念(完全ベイジアン均衡等)が必要。

信頼できる脅しとコミットメント

「参入されたら価格戦争する」という脅しが信頼できない場合(後向き帰納では協調が最善なため)、新規企業は参入する。信頼できる脅しを作るには、コミットメント(退路を断つ)が必要:大規模投資・長期契約・評判構築等。

スタッケルベルグ均衡

数量競争で先手が生産量を先に決定(リーダー)し後手がそれに最善反応する(フォロワー)モデル。後向き帰納法で解くと、先手(スタッケルベルグ・リーダー)が先手番の優位性(コミットメント効果)を得てクールノー均衡より多くの生産量・利潤を確保できる。

例で見る

参入ゲームの後向き帰納解: ①P2の意思決定:参入後の利得→協調(1) vs 対抗(0)→P2は「協調」を選択 ②P1の意思決定:参入→利得(2)、回避→利得(1)→P1は「参入」を選択 部分ゲーム完全均衡:(参入, 協調)→利得(2, 1)

つまずきポイント

  • 「展開形ゲームのナッシュ均衡には『空脅し』を含む均衡が存在しうる」。後向き帰納法で求める部分ゲーム完全均衡はそのような非信頼的な脅しを排除する精緻化概念。試験では後向き帰納法による均衡(SPNE)を求めることが多い。
  • 「先手番が必ずしも有利とは限らない」。スタッケルベルグ均衡では先手有利だが、一般的には先手番の不利(Second Mover Advantage)が生じるゲームも存在する。

定着クイズ

後向き帰納法について正しいものはどれか。

参入ゲームで既存企業(P2)が「参入されたら対抗する」と宣言した場合、この脅しが「空脅し」となる理由として正しいものはどれか。

スタッケルベルグ均衡について正しいものはどれか。

関連:#K023#K026

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