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ヤコビアン

知識マップ

確率公式

ひとことで言うと

ヤコビアンは、2つ以上の変数をまとめて別の変数に変換するとき『面積(体積)がどれだけ伸び縮みするか』を表す倍率です。1変数のときに付けた dg1/dy|dg^{-1}/dy|(微分の絶対値)の、多変数版が『ヤコビ行列の行列式の絶対値』。同時密度を正しく変換するための『面積の換算率』だと思ってください。

左は(x,y)空間の単位正方形(X,Y~U(0,1)の台)、右はU=X+Y,V=X-Yで写した(u,v)空間の菱形。面積1の正方形が面積2の菱形に写り、逆向きの伸び縮み比は|det∂(x,y)/∂(u,v)|=1/2。同時密度はf_{U,V}=f_{X,Y}×1/2となる。ヤコビ行列式の絶対値が2変数変換での面積の伸縮比を表す面積の伸縮比=|det ∂(x,y)/∂(u,v)|=1/2(→密度に1/2倍)正方形面積1(x,y)空間U=X+YV=X-Y菱形面積2(u,v)空間

単位正方形(X,YU(0,1)X,Y\sim U(0,1) の台)を U=X+Y, V=XYU=X+Y,\ V=X-Y で写すと面積2の菱形になる。(u,v)(u,v) から (x,y)(x,y) への伸縮比は det(x,y)/(u,v)=1/2\big|\det\partial(x,y)/\partial(u,v)\big|=1/2 で、同時密度はその分だけ 1/21/2 倍される。

数式で表すと

fU,V=fX,Ydet(x,y)(u,v)f_{U,V}=f_{X,Y}\,\big|\det\tfrac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}\big|

多変数変換における体積比。同時密度の変換に用いる行列式の絶対値。

ヤコビアンとは、多変数の変数変換において『元の微小面積(体積)が変換後にどれだけ拡大・縮小するか』を与える倍率で、ヤコビ行列の行列式の絶対値として定義されます。変数変換の1変数版では、Y=g(X)Y=g(X) に対して fY(y)=fX(g1(y))dg1(y)/dyf_Y(y)=f_X(g^{-1}(y))\,|\,dg^{-1}(y)/dy\,| と、逆関数の微分の絶対値を掛けました。この『微分の絶対値』は1次元での長さの伸縮率です。2変数 (X,Y)(U,V)(X,Y)\to(U,V) への拡張では、長さの伸縮率が面積の伸縮率に置き換わり、それがヤコビ行列の行列式の絶対値 det(x,y)(u,v)=xuyvxvyu\Big|\det\dfrac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}\Big|=\Big|\,\dfrac{\partial x}{\partial u}\dfrac{\partial y}{\partial v}-\dfrac{\partial x}{\partial v}\dfrac{\partial y}{\partial u}\,\Big| になります。同時密度の変換公式は fU,V(u,v)=fX,Y(x,y)det(x,y)(u,v)f_{U,V}(u,v)=f_{X,Y}(x,y)\,\Big|\det\dfrac{\partial(x,y)}{\partial(u,v)}\Big| で、右辺の x,yx,y は逆変換 (u,v)(x,y)(u,v)\mapsto(x,y) で書き直します。 なぜ行列式なのかを直感で押さえましょう。線形変換は微小な平行四辺形を別の平行四辺形に写しますが、その面積比はちょうど変換行列の行列式の絶対値に等しい——これは線形代数の基本事実です。確率密度は『単位面積あたりの確率』なので、面積が kk 倍に広がれば密度は 1/k1/k 倍に薄まらなければ全確率1が保たれません。だから密度の変換には面積比(行列式の絶対値)が掛かるのです。符号が出る場合に絶対値をとるのは、面積は向き(裏返り)に関係なく正だからで、1変数で dg1/dy|dg^{-1}/dy| と絶対値を付けたのと同じ理由です。 具体的な計算手順は、(1) 逆変換 x=x(u,v), y=y(u,v)x=x(u,v),\ y=y(u,v) を書く、(2) 4つの偏導関数を並べたヤコビ行列を作り行列式を計算する、(3) その絶対値を元の密度に掛ける、の3段階です。実務的な注意として、行列式は (u,v)/(x,y)\partial(u,v)/\partial(x,y) の側で計算してもよく、その場合は逆数を使います((x,y)/(u,v)=1/[(u,v)/(x,y)]\partial(x,y)/\partial(u,v)=1/[\partial(u,v)/\partial(x,y)])——どちらの向きで微分したかを取り違えると倍率が逆になるので要注意です。また密度を写したあとは、変数の定義域(台)がどんな領域に変わるかを必ず追うこと。正方形が菱形になるように、台の形が変わるため、その領域の外では密度を0とする扱いが必須です。

試験に出る性質

定義(面積の伸縮比)

ヤコビアンはヤコビ行列の行列式の絶対値 det(x,y)/(u,v)|\det\partial(x,y)/\partial(u,v)|。多変数変換での微小面積(体積)の伸縮率を表す。

1変数の自然な拡張

1変数の dg1/dy|dg^{-1}/dy|(長さの伸縮率)が、多変数では行列式の絶対値(面積・体積の伸縮率)に置き換わる。

同時密度の変換公式

fU,V(u,v)=fX,Y(x,y)det(x,y)/(u,v)f_{U,V}(u,v)=f_{X,Y}(x,y)\,|\det\partial(x,y)/\partial(u,v)|。右辺の x,yx,y は逆変換で u,vu,v に書き直す。

逆向きは逆数

(x,y)/(u,v)=1/[(u,v)/(x,y)]\partial(x,y)/\partial(u,v)=1/[\partial(u,v)/\partial(x,y)]。どちら向きで微分したかで倍率が逆になるので取り違え注意。

台(定義域)の変化

変換で密度の台の形が変わる(正方形→菱形など)。新しい領域の外では密度0とする扱いが必須。

例で見る

独立な X,YU(0,1)X,Y\sim U(0,1)U=X+Y, V=XYU=X+Y,\ V=X-Y を施す。逆変換は X=(U+V)/2, Y=(UV)/2X=(U+V)/2,\ Y=(U-V)/2。 ヤコビ行列 (x,y)/(u,v)\partial(x,y)/\partial(u,v):行列式 =(1/2)(1/2)(1/2)(1/2)=1/2=(1/2)(-1/2)-(1/2)(1/2)=-1/2、絶対値 det=1/2|\det|=1/2。 よって fU,V(u,v)=fXfY×1/2f_{U,V}(u,v)=f_X f_Y\times1/2(対応する菱形の領域内で、外では0)。面積1の正方形が面積2の菱形に写るので密度は 1/21/2 倍。

つまずきポイント

  • 絶対値を付け忘れる(行列式は符号をもつが面積比は正。det|\det| をとる。例の 1/2-1/21/21/2 として使う)
  • 微分の向きを取り違える((x,y)/(u,v)\partial(x,y)/\partial(u,v)(u,v)/(x,y)\partial(u,v)/\partial(x,y) は互いに逆数。掛けるべきは逆変換側の行列式の絶対値)
  • 変換後の台(定義域)の変化を追わない(正方形が菱形になるように領域が変わる。新領域の外で密度0としないと積分が合わない)

定着クイズ

2変数変換 (X,Y)(U,V)(X,Y)\to(U,V) の同時密度に掛けるヤコビアンは?

U=X+Y,V=XYU=X+Y,V=X-Y(逆 X=(U+V)/2,Y=(UV)/2X=(U+V)/2,Y=(U-V)/2)のヤコビアン det|\det| は?

1変数の変数変換でヤコビアンに対応するものは?

関連:#変数変換

この用語を扱う問題(1