確率・公式
ひとことで言うと
「確率変数Xの分布が分かっているとき、Yをそれの式で変換した新しい変数Y=g(X)の分布を求める」手法です。例えば身長Xの分布から、身長の2乗Yの分布を求める、といった場面で使います。
x軸上の微小区間 [x,x+dx] が、変換 y=g(x) を通してy軸上の微小区間 [y,y+dy] に対応する。この対応関係の「伸び縮みの比率」がヤコビアン。
数式で表すと
fY(y)=fX(g−1(y))dydg−1(y)
求め方は大きく2つあります。
①分布関数法:まず Y=g(X) の累積分布関数 FY(y)=P(Y≤y) を、g の逆関数を使って P(X≤g−1(y))=FX(g−1(y)) のように書き換え、最後に微分して密度 fY(y) を得ます。
②ヤコビアン法:g が単調なら、上の手順を1つの公式にまとめたものが
fY(y)=fX(g−1(y))dydg−1(y)
です。絶対値が付くのは、g が減少関数でも密度(必ず正の量)を保つため。右側の微分項は、x方向の微小幅がy方向では何倍に伸び縮みするかを表す「変換による幅の比率」です。
どちらも同じ答えに到達しますが、g が複雑なときはヤコビアン法が速く、g が単調でない(例: Y=X2 で X が正負両方を取りうる)ときは分布関数法で場合分けする方が安全です。試験に出る性質
ヤコビアン法の公式
fY(y)=fX(g−1(y))∣dg−1(y)/dy∣。絶対値を忘れずに付ける。
単調増加なら符号の心配なし
gが単調増加なら g−1 も単調増加なので絶対値は常に正のまま外せる。
線形変換の特別な場合
Y=aX+b (a=0) なら fY(y)=∣a∣1fX(ay−b)。
非単調なgは場合分け
Y=X2 のように1つのyに対しxが複数対応する場合は、分布関数法でそれぞれの場合を足し合わせる。
例で見る
X∼U(0,1) のとき Y=−lnX の分布を求める。g(x)=−lnx は単調減少で、逆関数は x=g−1(y)=e−y、dg−1/dy=−e−y。
fY(y)=fX(e−y)∣−e−y∣=1×e−y=e−y (y>0)
これは Exp(1) の密度。実はこの変換が、U(0,1) の乱数から指数分布の乱数を作る逆関数法そのものです。
つまずきポイント
- ヤコビアン項の絶対値を付け忘れる(gが減少関数だと密度が負になってしまう)
- gが単調でない(例: Y=X2)のに、単調関数用の公式をそのまま使ってしまう
- g−1 を求める際にXとYを取り違える
定着クイズ
ヤコビアン法の公式で絶対値を付けるのはなぜ?
Y=aX+b (a=0) のとき fY(y) は?
Y=X2 のように1つのyに複数のxが対応する変換を扱うのに適した方法は?