分割時の積立金の配分方法とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・制度分割・統合
ひとことで言うと
積立金をどう配るかは「誰が損をするか」を決める作業である。合計は動かないので、片方の未積立債務を小さくすれば、その分だけもう片方が必ず大きくなる。
配分方法を変えたときの未積立債務の内訳。帯の全長は 2,410.09 で変わらず、境目が 500 だけ右へ動く。A社が引き受ける 500 は、そのまま B社が免れた 500 である。
数式で表すと
FA=F×VA+VBVA (責任準備金比按分) 分割前の積立金 F を分割後の各制度へ配る方法は複数あり、どれを採るかで各制度の未積立債務が変わる。
FA=F×VA+VBVA(責任準備金比按分)
試験に出る性質
責任準備金比按分が基本形
FA=F×VA/(VA+VB)
例で見る
<計算の前提> 共通トイモデルの分割(NEN077 の設定)。VA=4,446.05、VB=2,964.04、F=5,000
つまずきポイント
- 配分方法の違いが合計に出ると思う。合計は 2,410.09 で動かないので、方法を取り違えても合計検査は必ず通ってしまう。
- 受給権者優先充当で、受給権者の給付現価ではなく人数比で先渡し額を決める。渡すのは給付現価と同額である。
- 未積立債務のまま答え合わせをして特別保険料まで落とさない。設問は償却年数と払い方(期初か期末か)を指定しており、そこまでが解答である。
定着クイズ
Q1分割で VA=4,446.05、VB=2,964.04、F=5,000 となり、人数現価は両社とも 2,567.80 で等しい。積立金の配分を責任準備金比按分から人数現価比按分に変えたとき、A社の未積立債務は 1,446.05 からいくらへ動くか。
Q2積立金の配分方法を変えたときに動かない量はどれか。
Q3「年金受給権者の給付現価と同額の積立金をまず受給権者の引受先へ配分し、残りを責任準備金の比で按分する」という配分方法を採ったときの効果として、正しいものはどれか。
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分割後の各制度に積立金をどう配るかの方法。責任準備金比で按分する方法、受給権者分を優先充当する方法などがあり、方法によって分割後の財政状況が変わる。
② 給与現価比・人数現価比など、別の指標で按分する
③ 年金受給権者の給付現価と同額をまず引受先へ配分し、残りを責任準備金比で按分する
共通トイモデルでは、責任準備金比(60:40)だと A社の未積立債務は 1,446.05、人数現価比(50:50)だと 1,946.05 になる。差は 500 で、その 500 はそのまま B社の未積立債務が減った分である。合計はどちらも 2,410.09 で動かない。
年金受給権者はすでに保険料を払い終えているので、その給付現価ぶんの資産を先に渡さないと引受先の未積立債務が跳ね上がる。2021年度 問題4(3) はこの方法を採り、受給権者を全員A社へ移している。
2021年度 問題4(2) が方法①、同 (3) が方法③で、同じ設定に2つの配分方法を当てて答えを比べさせる構成になっている。2023年度 問題3(2)-02 も責任準備金比の按分を前提に置いている。
。2021年度 問題4(2) と 2023年度 問題3(2)-02 がこの形。
合計は方法に依存しない
共通トイモデルではどの方法でも U の合計は 2,410.09。方法の違いは内訳にしか出ない。
増分と減分は必ず等しい
A社が 500 増えれば B社は 500 減る。内訳を検算するならここを見る。
受給権者優先充当は引受先を助ける
受給権者の給付現価と同額を先に渡す方法。2021年度 問題4(3) は受給権者を全員A社へ移し、この方法を採らせている。
特別保険料まで落として初めて差が見える
未積立債務の 500 の差は、10年元利均等償却なら年額 54.57 の差になる。設問はここまで求めてくる。
、人数現価は
2,567.80 ずつで等しい。10年元利均等償却の年金現価率は
a¨10=9.16224 。
FA=5,000×7,410.094,446.05=3,000,FB=2,000
UA=4,446.05−3,000=1,446.05,UB=2,964.04−2,000=964.04
A社の特別保険料は 1,446.05÷9.16224=157.83。
人数現価は等しいので FA=FB=2,500。
UA=4,446.05−2,500=1,946.05,UB=2,964.04−2,500=464.04
A社の特別保険料は 1,946.05÷9.16224=212.40。
A社の未積立債務は 1,446.05→1,946.05 で 500 増え、B社は 964.04→464.04 で 500 減った。合計はどちらも
1,446.05+964.04=2,410.09,1,946.05+464.04=2,410.09
で一致する。同じ合計に着く2本の道筋が取れているので、内訳の計算違いはここでは見つからない。内訳を検算したければ、片方の増分ともう片方の減分が同じ 500 になるかを見る。
A社にとっては方法①のほうが 500 だけ有利で、特別保険料の年額で 212.40−157.83=54.57 の差になる。配分方法は数字の作り方ではなく、負担の分け方を決める交渉ごとである。