制度分割の枠組みとは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・用語・制度分割・統合
ひとことで言うと
1つの制度を2つに割るとき、割る対象は「約束(責任準備金)」「手元(積立金)」「その差(未積立債務)」の3つ。約束の割り方は人がどちらへ移るかで自動的に決まるが、手元の割り方は決めごとで、そこで各社の未積立債務が決まる。
共通トイモデルを責任準備金 60対40 でA社B社へ割った図。責任準備金 7,410.09 の割り方は移る人が決まれば自動で出るが、積立金 5,000 の割り方は配分方法を決めて初めて出る。A社の未積立債務 1,446.05 は、この2つが決まってようやく確定する。
数式で表すと
V=VA+VB,F=FA+FB 制度分割は、被保険者と年金受給権者を分割後の各制度へ振り分け、それに合わせて責任準備金・積立金・未積立債務を引き継ぐ手続きである。
V=VA+VB,F=FA+FB,U=UA+UB
試験に出る性質
割るのは責任準備金・積立金・未積立債務の3つ
V=VA+VB、F=FA+FB
例で見る
<計算の前提> 共通トイモデル(加入57歳・定年60歳・予定利率2.0パーセント)。分割前制度は Sa=20,187.18、Ga=5,135.60、P=2.487944
つまずきポイント
- 積立金の配分方法を読み飛ばして責任準備金比だと決めつける。設問文が長いのはこの方法の説明のためで、そこが読めていないと以降が全部ずれる。
- 合計が分割前に戻ったことを検算だと思う。どの配分方法でも合計は戻るので、方法の取り違えは合計では絶対に出ない。
- 分割後も分割前と同じ財政方式が続くと決めつける。分割後の方式は設問文で別に指定される。
定着クイズ
Q1分割前の責任準備金が 7,410.09、積立金が 5,000 の制度を分割し、A社の責任準備金が 4,446.05、B社が 2,964.04 になった。積立金を責任準備金の比で按分するとき、A社の未積立債務はどれか。
Q2積立金の配分方法を変えたとき、制度分割の前後で必ず保存されるものの組合せはどれか。
Q3分割後の年金制度の財政方式について、正しいものはどれか。
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1つの年金制度を複数に分けるときの手続き。分割前の責任準備金・積立金・未積立債務を、分割後の各制度にどう引き継ぐかを決める。
VA は「A社へ移る人の責任準備金」なので、誰が移るかが決まれば計算で出る。これに対し FA は配分方法を決めない限り出ない。分割の設問が長くなるのは、この配分方法の説明にほとんどの行数を使うからである。
どの配分方法を採っても U の合計は変わらない。動くのは A社と B社の取り分だけである。だから「合計が合っている」ことは検算にならない。
分割前と同じ方式を続ける必要はない。2019年度 問題4(2) は閉鎖型総合保険料方式、同 (3) は開放基金方式を分割後に採らせている。2023年度 問題3(2)-03 は分割後のB社に到達年齢方式を採らせている。
2016年度 問題3-05、2017年度 問題2(6)、2019年度 問題4(2)(3)、2021年度 問題4(1)〜(3)、2023年度 問題3(2)、2025年度 問題3(1)。10年で6年に出ており、いずれも配点の重い大問である。
、
U=UA+UB 。3つとも合計は保存される。
責任準備金は自動、積立金は決めごと
誰が移るかが決まれば VA は計算で出る。FA は配分方法を決めない限り出ない。
合計は検算にならない
配分方法を変えても U の合計は 2,410.09 のまま。動くのは各社の内訳だけなので、合計一致は配分方法の正しさを保証しない。
財政方式は分割後に選び直せる
2019年度 問題4(2) は閉鎖型総合保険料方式、同 (3) は開放基金方式、2023年度 問題3(2)-03 は到達年齢方式を分割後に採らせている。
予定利率の引下げを同時にやらせる型がある
2017年度 問題2(6)-02 と 2025年度 問題3(1)-02 は、分割と同時に予定利率を引き下げ、発生源ごとに償却年数を変えて特別保険料率を足させている。
、
V=7,410.09 、
、
U=2,410.09 。被保険者は A社と B社の従業員からなり、責任準備金の比は
、人数現価の比は
とする。
VA=7,410.09×0.6=4,446.05,VB=7,410.09×0.4=2,964.04
合計は 4,446.05+2,964.04=7,410.09 で分割前に戻る。
人数現価は Ga,A=Ga,B=2,567.80。Sa=V+PGa の関係を各社に当てはめると
Sa,A=4,446.05+2.487944×2,567.80=10,834.59
Sa,B=2,964.04+6,388.54=9,352.58
合計 20,187.17 は分割前の 20,187.18 に一致する(差は丸め)。
責任準備金比で按分すると FA=5,000×0.6=3,000、FB=2,000。
UA=4,446.05−3,000=1,446.05,UB=2,964.04−2,000=964.04
合計は 2,410.09 で分割前に一致する。ここまでで「約束・手元・差」の3つが全部そろう。
UA を10年元利均等償却する(期初払い・a¨10=9.16224)と
1,446.05÷9.16224=157.83
分割の設問はほぼ必ずこの最後の1手まで求めてくる。