制度統合の枠組みとは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・用語・制度分割・統合
ひとことで言うと
統合は分割の逆で、給付現価・給与現価・積立金をそれぞれ足すだけ。ただし足せるのは現価どうしであって、率どうしではない。率を足したり平均したりした瞬間に間違える。
共通トイモデルの制度Aに、給付水準1.5倍・規模半分の制度Bを統合した図。責任準備金も積立金も足し算で出る。差の 3,967.66 は、統合前の 2,410.09 と 1,557.57 を足した値にも一致する。
数式で表すと
S=SA+SB,G=GA+GB,F=FA+FB 制度統合は、複数の年金制度を1つにまとめ、統合後の責任準備金と未積立債務を計算し直す手続きである。
S=SA+SB,G=GA+GB,F=FA+FB
試験に出る性質
足せるのは現価と金額だけ
S・G・F・V・U は足せる。P
例で見る
<計算の前提> 制度A=共通トイモデル(VA=7,410.09、FA=5,000)。制度B=同じ基礎率で給付水準が 1.5
つまずきポイント
- 統合後の標準保険料率を各制度の率の単純平均で出す。率は足しても平均しても意味を持たない(NEN080 を参照)。
- 給付設計の改定を読み落として統合前の給付現価をそのまま足す。統合の設問は改定後の給付を別に与えていることが多い。
- 既存受給権者の従前どおり条項を無視して全員に新しい給付を当てる。改定の対象は原則として将来期間分だけである。
定着クイズ
Q1制度Aは責任準備金 7,410.09・積立金 5,000、制度Bは責任準備金 5,557.57・積立金 4,000 である。給付を従前どおりとして統合したときの統合後の未積立債務はどれか。
Q2制度統合において、単純に足し合わせてよいものはどれか。
Q3統合の設問でしばしば置かれる「統合前の年金受給権者の給付は従前どおりとする」という条件の意味として、正しいものはどれか。
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複数の年金制度を1つにまとめるときの手続き。統合前の各制度の給付現価・給与現価・積立金を合算し、統合後の責任準備金と未積立債務を計算し直す。
給付現価・給与現価・人数現価・積立金・責任準備金・未積立債務は、いずれも金額または現価なので足せる。標準保険料率・特別保険料率・予定利率は率なので足せない。
分割と違い、統合では「統合後にどういう給付にするか」が設問で新しく決まる。2022年度 問題2(3)-03 は「A社の1.2倍の割合を給付利率3.0パーセントの10年確定年金現価率で除して計算する」と指定し、既存の受給権者だけ従前どおりという条件を付けている。2025年度 問題2(5)-02 も同型で、統合日時点の過去期間分は従前どおりとしている。
U=V−F を統合後の V と F で計算し直す。各社の未積立債務を別々に償却し続けるのではなく、合算した1本を償却する形が標準である。
2016年度 問題2(6)、2020年度 問題1(6)、2022年度 問題2(3)、2025年度 問題2(5)。10年で4年に出ている。2020年度 問題1(6) は5点の小問で、加入年齢方式と開放基金方式の答えの比を出させている。
と予定利率は率なので足せない。
統合後の給付設計は別に指定される
2022年度 問題2(3)-03 と 2025年度 問題2(5)-02 は、統合後の年金額の決め方を新しく与えたうえで保険料率を出させている。
既存受給権者は従前どおりが定番の条件
統合前の受給権者の給付は変えない、という条件が付く。この分だけ給付現価の一部が改定の対象外になる。
未積立債務は合算して1本で償却する
統合後の V と F から U を出し直す。各社の未積立債務を別々に償却し続ける形ではない。
財政方式の違いが答えを変える
2020年度 問題1(6) は加入年齢方式と開放基金方式で統合初年度の保険料合計を出させ、その比を問うている。
倍・規模(加入者数)が半分(
FB=4,000 )。
Sa,B=20,187.18×1.5×0.5=15,140.39,Ga,B=5,135.60×0.5=2,567.80
標準保険料は給付水準に比例して PB=2.487944×1.5=3.731916。したがって
VB=15,140.39−3.731916×2,567.80=15,140.39−9,582.82=5,557.60
V も給付水準と規模に比例するはずなので 7,410.09×1.5×0.5=5,557.57。(1)と同じ 5,557.57 に着く。給付現価と人数現価を作ってから引く道と、比例だけで出す道が一致している。
V=7,410.09+5,557.57=12,967.66,F=5,000+4,000=9,000
U=12,967.66−9,000=3,967.66
統合前の各制度の未積立債務は UA=7,410.09−5,000=2,410.09、UB=5,557.57−4,000=1,557.57。足すと
2,410.09+1,557.57=3,967.66
(3)と一致する。責任準備金の側から引いた道と、各社の差を足した道が同じ数に着いている。
統合後の給付設計が変わるなら S を計算し直す必要がある。(3)の V は「給付が従前どおりなら」の値であって、統合の設問はたいていその先に給付改定を置いている。