統合後の保険料率とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・制度分割・統合
ひとことで言うと
統合後の保険料率は、2つの率の真ん中には来ない。人数(給与)の多い側へ引っ張られた加重平均になる。真ん中に来ると思った時点で、必ず高いほうへ寄せすぎている。
統合後の標準保険料率がどこに来るかを数直線で見た図。単純平均は2つの率の中点に来るが、加重平均は重みの大きい制度A側へ寄る。ずれは 0.20733 で、率の幅 1.243972 の約6分の1にあたる。
数式で表すと
P=GA+GBSA+SB=GA+GBPAGA+PBGB 統合後の標準保険料率は、合算した給付現価を合算した給与現価(または人数現価)で割って求める。
P=GA+GBSA+SB=GA+GBPAGA+PBGB
試験に出る性質
統合後の率は現価の比で決まる
P=(SA+SB)/(GA+GB)
例で見る
<計算の前提> NEN079 と同じ統合。制度A=共通トイモデル(毎年1,000人加入・PA=2.487944)、制度B=給付水準1.5倍・規模半分(毎年500人加入)。加入年齢方式(特定年齢57歳)で、1人あたりの人数現価は G57=2.651288、給付現価は制度Aが S57A=6.59626
つまずきポイント
- 統合後の率を2つの率の単純平均で出す。共通トイモデルでは 3.10993 になり、正解 2.90260 より 0.20733 高い。
- 重みを人数の頭数にする。重みは人数現価または給与現価であって、在職者の頭数ではない。
- 統合後の給付改定を反映せずに統合前の給付現価をそのまま足す。改定があるなら S を作り直してから割る。
定着クイズ
Q1制度Aは PA=2.487944・人数現価 2,651.29、制度Bは PB=3.731916・人数現価 1,325.64 である。統合後の標準保険料率に最も近いものはどれか。
Q2統合後の標準保険料率が2つの制度の率の単純平均と一致するのはどのような場合か。
Q3統合後の標準保険料率について正しいものはどれか。
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統合後の標準保険料率と特別保険料率。合算した給付現価を合算した給与現価で割るため、統合前2制度の率の単純平均にはならない(給与現価による加重平均になる)。
分母を払うと、統合後の率は各制度の率を給与現価で重みづけした平均だと分かる。重みは率そのものではなく現価の大きさである。規模の大きい制度の率へ寄る。
共通トイモデルの統合では、単純平均 3.10993 に対し加重平均は 2.90260 で、0.20733 すなわち 6.7 パーセントも違う。規模の比が 2:1 で、率の低いほうが大きいためである。
特別保険料率は統合後の未積立債務を統合後の給与現価で割るので、やはり加重平均の形になる。設問は標準と特別を足した合計の率を答えさせることが多い。
加入年齢方式は加入時の1人あたりで率を決めるのに対し、開放基金方式は将来加入者を含めた集団で決める。同じ統合でも方式が違えば率が違う。2020年度 問題1(6) はこの差そのものを比の形で問うている。
2022年度 問題2(3)-03 と 2025年度 問題2(5)-02 が「統合後の標準保険料率と特別保険料率の合計」を、2020年度 問題1(6) が「2つの財政方式の合計額の比」を問うている。
。分子分母をそれぞれ足してから割る。
率の加重平均であって単純平均ではない
P=(PAGA+PBGB)/(GA+GB)。重みは給与現価または人数現価。
規模の大きい制度の率へ寄る
共通トイモデルでは重みが 2:1 なので、2.90260 は単純平均 3.10993 より低いほうへ寄る。
特別保険料率も同じ形
統合後の未積立債務を統合後の給与現価で割るので、やはり加重平均になる。設問は合計の率を求めることが多い。
財政方式が違えば率も違う
2020年度 問題1(6) は加入年齢方式と開放基金方式で統合初年度の保険料合計を出させ、その比を答えさせている。
。
給付が 1.5 倍なので S57B=6.59626×1.5=9.89439。人数現価は同じなので
PB=2.6512889.89439=3.731916
GA=1,000×2.651288=2,651.29,GB=500×2.651288=1,325.64
SA=1,000×6.59626=6,596.26,SB=500×9.89439=4,947.19
P=2,651.29+1,325.646,596.26+4,947.19=3,976.9311,543.45=2.90260
3,976.932.487944×2,651.29+3.731916×1,325.64=3,976.936,596.26+4,947.19=2.90260
(3)と一致する。現価を足してから割る道と、率に重みを掛けて足す道が同じ数に着いている。
22.487944+3.731916=3.10993
加重平均より 0.20733 高い。制度Aの重みが制度Bの2倍あるので、正解は低いほうへ寄る。単純平均は必ず「規模の小さい高率側」へ寄りすぎるので、誤答としては上振れの形で現れる。