利差損益とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政決算と差損益
ひとことで言うと
実際の運用利回りが予定利率と違ったことから生じる損益。運用の対象になった資産に利回りの差を掛けるだけで出る。損益計算書から逆に運用利回りを求めさせる出題が非常に多い。
利差損益は運用対象資産を幅、実際の利回りと予定利率の差を高さとする長方形の面積にあたる。運用対象資産の中身を取り違えると幅が変わり、答が丸ごとずれる。
数式で表すと
利差損益=(i′−i)×(平均運用資産) 実際の運用利回りと予定利率の差から生じる損益。運用資産に利回り差を掛けて求め、損益計算書から逆に運用利回りを求める設問も多い。
利差損益は運用の対象になった資産に利回りの差を掛けたものである。
(利差損益)=(運用対象資産)×(j−i)
ここで j は実際の運用利回り、i
試験に出る性質
利差損益は運用対象資産に (j−i) を掛けるだけ
j は実際の運用利回り、i は予定利率である。難しいのは掛ける相手の「運用対象資産」がどこまでを含むかのほうである。
期初拠出なら特別保険料も運用対象に入る
F0+C標準+C特別−B
例で見る
<計算の前提>
・NEN062 と同じ決算の設定
・期初積立金 F0=87,775.95、標準保険料 6,717.45、特別保険料 1,039.99
つまずきポイント
- 運用対象資産に特別保険料を足し忘れない。期初に払い込まれた資産はすべて1年運用される。
- (j−i) ではなく j を掛けてしまうと運用収益になる。求められているのがどちらかを読む。
- 期初拠出と期末拠出で運用対象が変わる。前提文の「年1回期初払い」「年1回期末払い」の1行を必ず確認する。
- 予定利率が問題文に書かれていないことがある。責任準備金の側は予定利率で動くという性質から先に求める。
定着クイズ
Q1保険料も給付も年1回期初に発生する制度で、期初積立金 87,775.95、標準保険料 6,717.45、特別保険料 1,039.99、給付 8,536.59 とする。予定利率が 2.0 パーセント、実際の運用利回りが 3.0 パーセントのとき、利差損益に最も近いものはどれか。
Q2保険料も給付も年1回期初に発生する制度において、利差損益を計算するときの運用対象資産として正しいものはどれか。
Q3損益計算書から実際の運用利回りを逆算する設問で、予定利率が問題文に与えられていない場合の最初の一手として適切なものはどれか。
この用語を扱う問題(0)
関連問題は現在準備中です。
は予定利率である。
なら益、
なら損になる。
保険料も給付も年1回期初に動く制度なら、期初の積立金に保険料を足し給付を引いた額がまるごと1年運用される。
(運用対象資産)=F0+C標準+C特別−B
特別保険料を足し忘れやすい。特別保険料も期初に払い込まれた資産なので、当然1年運用される。逆に期末拠出の制度なら運用の対象は期初積立金だけである。
本試験は「利差損益を求めよ」よりも「損益計算書から実際の運用利回りを求めよ」という向きで出る。手順は
(1) 責任準備金のロールフォワードから予定利率 i を出す
(2) 特別保険料収入にかかる予定利息などから未知の科目を埋める
(3) 積立金のロールフォワードに実際の運用利回り j を入れて解く
の3段である。予定利率が与えられていないことがあるのが引っかけどころで、責任準備金の側は必ず予定利率で動くという性質を使って先に i を出す。
運用収益は (運用対象資産)×j で、利差損益とは別物である。損益計算書の「運用収入」の欄に入るのは前者である。
がまるごと1年運用される。期末拠出の制度なら運用の対象は期初積立金だけになる。
本試験は逆算の向きで出る
責任準備金のロールフォワードから予定利率を出し、次に積立金のロールフォワードで実際の運用利回りを解く。2019年度問題1(6)がこの型である。2023年度問題1(4)は予定利率を「特別保険料収入にかかる予定利息÷特別保険料収入」から取り、2024年度問題1(7)は予定利率が問題文で与えられているので、どちらも第1段を使わない。
責任準備金は必ず予定利率で動く
実際の運用利回りが何であっても、責任準備金のロールフォワードには予定利率が入る。予定利率が与えられていないときはここから先に求める。
運用収益と利差損益は別物
運用収益は (運用対象資産)×j、利差損益は (運用対象資産)×(j−i) である。損益計算書の運用収入の欄に入るのは前者。
、給付
8,536.59 (すべて期初)
・予定利率 i=2.0 パーセント、実際の運用利回り j=3.0 パーセント
87,775.95+6,717.45+1,039.99−8,536.59=86,996.80
86,996.80×(0.03−0.02)=869.97(益)
運用収益は 86,996.80×0.03=2,609.90 である。損益計算書の「運用収入」に入るのはこちらで、利差損益 869.97 ではない。
特別保険料 1,039.99 を運用対象から外すと 85,956.81×0.01=859.57 となり、10.40 だけ小さく出る。選択肢の刻みによっては1つ隣の肢に落ちるので、期初に動いた資産をすべて数えたか確認する。