剰余金・不足金とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・用語・財政決算と差損益
ひとことで言うと
資産が責任準備金を上回っていれば剰余金、下回っていれば不足金。剰余金は給付改善や保険料引下げの原資になり、不足金は特別保険料を追加して埋める。決算のたびに残高として測り直す。
資産が責任準備金を上回れば剰余金、下回れば不足金になる。不足金は単年度で埋めるのではなく、特別保険料で償却期間にわたって埋めるのが年金制度の作法である。
数式で表すと
当年度剰余金=当年度末剰余金−前年度末剰余金 財政決算で資産が責任準備金を上回れば剰余金、下回れば不足金。剰余金は給付改善や保険料引下げの原資になり、不足金は追加の特別保険料で処理する。
剰余金は貸借対照表の差額である。
M=F+PSL−V
が正なら剰余金、負なら不足金と呼ぶ。残高であってフローではないので、「当年度剰余金」とは別の量である。
当年度剰余金は残高の増分
(当年度剰余金)=M1−M0
試験に出る性質
剰余金は残高、当年度剰余金は増分
M=F+PSL−V は残高で、当年度剰余金は M1−M0
例で見る
<計算の前提>
・NEN062 と同じ決算の設定(期初 F0=87,775.95、PSL0=5,000.00
つまずきポイント
- 剰余金と当年度剰余金を取り違えない。期初剰余金がゼロという前提が置かれているかを必ず確認する。
- 不足金が出た年に一括で穴埋めする計算をしない。特別保険料で償却期間にわたって埋めるのが正しい。
- 剰余金の計算で特別保険料収入現価を落とさない。積立金と責任準備金だけを比べると未積立債務が出るだけで、剰余金にはならない。
- 未積立債務の1年の減少額は「特別保険料の元利」だけではない。未積立債務自身についた予定利息と当年度剰余金の両方が効く。
定着クイズ
Q1期末の積立金が 89,606.71、特別保険料収入現価が 4,039.21、責任準備金が 92,804.14 である。このとき剰余金に最も近いものはどれか。
Q2年金制度に不足金が発生したときの処理として、正しい記述はどれか。
Q3剰余金と当年度剰余金の関係について、正しい記述はどれか。
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である。期初の剰余金がゼロのときだけ、期末の剰余金がそのまま当年度剰余金になる。本試験は期初にゼロを置く設定が多いので取り違えやすい。
剰余金は将来期間分の給付を改善するか保険料を引き下げる原資になる。将来期間分の給付を一律に θ だけ改善すると、剰余金は将来期間分の給付現価の θ 倍だけ減る。標準保険料率を据え置いたまま改善するとこの形になる。
不足金は特別保険料で埋める。未積立債務を償却期間 n 年で元利均等に償却するなら、特別保険料は
C特別=a¨nU
である。不足金が出たからといって、その年のうちに一括で埋める必要はない。年金制度の財政はもともと長期の均衡を見るもので、単年度の不足金は償却の対象になる。
実務でも本試験でも、剰余金は「前年度末の剰余金+当年度の損益」で追う。損益の内訳が分からないときは、責任準備金と積立金をそれぞれ1年動かして差を取ればよい。
である。期初の剰余金がゼロのときだけ両者が一致する。
不足金は単年度で埋めない
未積立債務を償却期間 n 年で元利均等償却するなら特別保険料は a¨nU である。長期の均衡を見るのが年金制度の財政なので、単年度の不足金は償却の対象になる。
将来期間分の給付を θ だけ改善すると剰余金は将来期間分の給付現価の θ 倍だけ減る
標準保険料率を据え置いたまま改善するとこの形になる。2022年度問題3(3)(イ)が別解としてこの1行で答えを出している。
定常状態なら剰余金はゼロに戻り続ける
計算基礎率どおりに推移すれば、決算のたびに F+PSL−V がゼロになる。剰余金が出るのは必ず「予定と実際がずれた」ときである。
剰余金の逆算はロールフォワードで行う
損益の内訳が与えられていなくても、責任準備金と積立金をそれぞれ1年動かして差を取れば剰余金が出る。2019年度問題1(6)・2021年度問題2(3)はこの手順で解ける。
、
V0=92,775.95 、剰余金ゼロ)
・実際の運用利回り j=3.0 パーセント、期末の責任準備金 V1=92,804.14
F1=89,606.71、PSL1=4,039.21 なので
M1=89,606.71+4,039.21−92,804.14=841.78
である。期初の剰余金がゼロなので当年度剰余金も同じ額で、841.78 である。
実際の運用利回りが予定利率どおりの 2.0 パーセントで、脱退も新規加入も予定どおりなら
F1=86,996.80×1.02=88,736.74、V1=92,775.95
となり、88,736.74+4,039.21−92,775.95=0 で剰余金はぴったりゼロに戻る。定常状態とはこのことである。
期末の未積立債務は 92,804.14−89,606.71=3,197.43 で、期初の 5,000.00 から 1,802.57 減っている。減った分の内訳は特別保険料1年分の元利と当年度剰余金の和で、それぞれ 1,039.99×1.02=1,060.79 と 841.78 である。ただし 1,060.79+841.78=1,902.57 ではなく 1,802.57 になるのは、未積立債務そのものに予定利息が1年分つくためである。