財政決算の枠組み(BS・PL)とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政決算と差損益
ひとことで言うと
年に1回、制度の財政状態を貸借対照表に、その1年の動きを損益計算書に写し取る作業。貸借対照表の左に積立金と特別保険料収入現価を、右に責任準備金と剰余金を並べ、左右が必ず一致するように剰余金が決まる。
資産の側に積立金と特別保険料収入現価を、負債の側に責任準備金と剰余金を積む。左右の高さが等しくなるように剰余金が決まるので、剰余金は独立に測る量ではない。
数式で表すと
剰余金=F+(特別保険料収入現価)−V 年金制度の1年間の財政状況を貸借対照表と損益計算書で表す枠組み。資産側に積立金と特別保険料収入現価、負債側に責任準備金を置き、差額が剰余金・不足金になる。
財政決算は貸借対照表と損益計算書の2枚で行う。
貸借対照表はある時点の残高を並べたもので、資産の側に積立金 F と特別保険料収入現価 PSL、負債の側に責任準備金 V と剰余金 M を置く。左右が一致するので
F+PSL=V+M
試験に出る性質
貸借対照表は F+PSL=V+M の1本
資産の側は積立金と特別保険料収入現価、負債の側は責任準備金と剰余金である。剰余金は左右の差額として決まるので、独立に測る量ではない。
例で見る
<計算の前提>
・B1〜B4 と同じトイモデル(加入57歳・定年60歳・予定利率 2.0 パーセント・毎年1,000人加入の定常状態)
・責任準備金 V0=92,775.95、標準保険料 C標準=6,717.45
つまずきポイント
- 資産の側の特別保険料収入現価を落とさない。積立金だけを責任準備金と比べると剰余金が過小に出る。
- 剰余金(残高)と当年度剰余金(1年の増分)は別物である。期初剰余金がゼロのときだけ両者が一致する。
- 積立金がゼロであることと未積立債務がゼロであることは別である。
- 期初の表か期末の表かを取り違えない。特別保険料収入現価は毎年 (PSL−C特別)(1+i) で減っていく。
定着クイズ
Q1ある年金制度の期末の責任準備金が 92,775.95、特別保険料収入現価が 5,000.00 で、剰余金も不足金も発生していない。このとき積立金に最も近いものはどれか。
Q2年金制度の未積立債務について、正しい記述はどれか。
Q3年金制度の損益計算書における責任準備金の置き方として、正しい記述はどれか。
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が必ず成り立つ。剰余金はこの式の差額として決まるのであって、独立に測る量ではない。
会計の貸借対照表と違い、資産の側に特別保険料収入現価という「これから入ってくるお金の現価」が乗る。これは制度が既に約束を取り付けている収入なので、資産として数える。ここを落とすと剰余金が必ず過小に出る。
損益計算書は収入の側に標準保険料収入・特別保険料収入・運用収入・前年度末責任準備金を、支出の側に給付金支払・当年度末責任準備金・当年度剰余金を並べる。前年度末と当年度末の責任準備金を左右に置くのが年金数理の書き方で、差額として当年度剰余金が出る。
M=F+PSL−V を移項すると
V−F=PSL−M
となる。左辺は未積立債務なので、未積立債務は「これから入る特別保険料の現価」から「剰余金」を引いた額である。剰余金がゼロなら未積立債務と特別保険料収入現価がちょうど一致する。
本試験は「定年退職による脱退、新規加入、保険料の払い込み、給付の支払い」のように期初の中の順序まで指定してくる。順序が変わると保険料を払う人数と給付を受ける人数が変わるので、決算の数字も動く。
に等しい
V−F=PSL−M である。剰余金がゼロなら未積立債務と特別保険料収入現価がちょうど一致する。2021年度問題2(3)①はこの関係だけで積立金を出させる。
損益計算書は前年度末と当年度末の責任準備金を左右に置く
収入の側に前年度末責任準備金、支出の側に当年度末責任準備金を置き、差額として当年度剰余金が出る。運用利回りを逆算する設問(2019年度問題1(6)・2024年度問題1(7))はこの表の穴埋めから始まる。2023年度問題1(4)も同じ表から入るが、問われるのは当年度剰余金である。
2つの表は当年度剰余金でつながる
貸借対照表の剰余金は残高、損益計算書の当年度剰余金はその1年の増分である。期末剰余金から期初剰余金を引くと当年度剰余金になる。
期初の中の順序まで前提で指定される
定年退職による脱退、新規加入、保険料の払い込み、給付の支払いの順序が変わると、保険料を払う人数と給付を受ける人数が変わる。前提文のこの1行を必ず読む。
、給付
B=8,536.59
・X−1 年度末に未積立債務が 5,000 あり、5年の元利均等償却で特別保険料 C特別=1,039.99 を拠出している(a¨5=4.807729)
特別保険料収入現価は 1,039.99×4.807729=5,000.00 である。剰余金がゼロなので積立金は
F0=V0−PSL0=92,775.95−5,000.00=87,775.95
となる。左右を確かめると 87,775.95+5,000.00=92,775.95+0 で一致する。
すべて期初に動くので運用対象額は 87,775.95+6,717.45+1,039.99−8,536.59=86,996.80 である。実際の運用利回りが 3.0 パーセントだったとすると
F1=86,996.80×1.03=89,606.71
PSL1=(5,000.00−1,039.99)×1.02=4,039.21
となる。責任準備金が 92,804.14 になったとすると剰余金は
M1=89,606.71+4,039.21−92,804.14=841.78
である。期初の剰余金がゼロだったので、この 841.78 がそのまま当年度剰余金になる。
V1−F1=92,804.14−89,606.71=3,197.43 で、PSL1−M1=4,039.21−841.78=3,197.43 と一致する。