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吸収確率

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モデリング公式

ひとことで言うと

ランダムウォーク(concept: ランダムウォーク)で、上端 NN(目標達成)か下端 00(破産)のどちらかに先に到達する確率を求めるのが吸収確率です。公正な賭けでは出発点に比例した単純な式でしたが、不公正な場合は比 q/pq/p のべきを使った式になります。

出発点iに対する上端Nへの到達(吸収)確率P_i。公正な場合は直線i/N、不公正な場合(q>p)は下に凸の曲線になる出発点iからNへ到達する確率。公正は直線、不公正は曲線05N公正 i/N不公正(q>p)P_i出発点 i

出発点 ii に対する上端 NN への到達(吸収)確率 PiP_i。公正な場合は直線 i/Ni/N、不公正な場合(q>pq>p、不利な賭け)は下に凸の曲線になり、出発点が低いと到達確率がぐっと下がる。

数式で表すと

Pi=1(q/p)i1(q/p)NP_i=\dfrac{1-(q/p)^i}{1-(q/p)^N}

吸収状態へ到達する確率。非対称ランダムウォークでは比 q/pq/p のべきで表せる。

吸収確率は、各ステップで +1+1 を確率 pp1-1 を確率 q=1pq=1-p で動くランダムウォークが、上端 NN(吸収壁、目標達成)に下端 00(吸収壁、破産)より先に到達する確率 PiP_i(出発点 ii)です。concept: ランダムウォークでは公正な場合 p=q=1/2p=q=1/2 の到達確率 Pi=i/NP_i=i/N と期待ステップ数 E[T]=i(Ni)E[T]=i(N-i) までを扱い、「不公正な場合はより複雑な式になる」として終わっていました。ここではその続きとして、不公正な場合 pqp\ne q の一般公式 Pi=1(q/p)i1(q/p)NP_i=\dfrac{1-(q/p)^i}{1-(q/p)^N} を導きます。 導出は差分方程式から行います。出発点 ii から1歩進むと、確率 ppi+1i+1 から、確率 qqi1i-1 から続きを始めるので Pi=pPi+1+qPi1(0<i<N),P0=0, PN=1P_i=p\,P_{i+1}+q\,P_{i-1}\quad(0<i<N),\qquad P_0=0,\ P_N=1 が成り立ちます(境界条件は、00 に着いたら到達確率0=破産済み、NN に着いたら到達確率1=達成済み)。この漸化式の一般解は、特性方程式 pr2r+q=0p\,r^2-r+q=0 の2解 r=1, r=q/pr=1,\ r=q/p を使って Pi=A+B(q/p)iP_i=A+B(q/p)^i の形になります(pqp\ne q のとき2解は相異なる)。境界条件 P0=0, PN=1P_0=0,\ P_N=1 を当てはめて係数 A,BA,B を決めると、上の公式が得られます。 整合性チェックとして、p=q=1/2p=q=1/2 に近づける極限を考えると、比 q/p1q/p\to1 となり公式は 0/00/0 の不定形になります。r=q/pr=q/p として r1r\to1 の極限を丁寧に取る(または最初から特性方程式が重解 r=1r=1 をもつ場合として解き直す)と、ちょうど concept: ランダムウォークの Pi=i/NP_i=i/N に一致します。つまり公正な場合は不公正な場合の特別な極限になっており、2つの式は矛盾しません。なお p<qp<q(1歩ごとに不利=平均して下に流される賭け)のときは q/p>1q/p>1 なので、図のように PiP_i は下に凸の曲線となり、出発点が低いほど目標 NN への到達確率が急激に小さくなります。

試験に出る性質

不公正な場合の公式

Pi=1(q/p)i1(q/p)NP_i=\dfrac{1-(q/p)^i}{1-(q/p)^N}pqp\ne q)。上端 NN に先に到達する確率。

差分方程式

Pi=pPi+1+qPi1P_i=pP_{i+1}+qP_{i-1}、境界 P0=0, PN=1P_0=0,\ P_N=1。1歩先で場合分けして立てる。

一般解の形

特性方程式 pr2r+q=0pr^2-r+q=0 の解 r=1, q/pr=1,\ q/p から Pi=A+B(q/p)iP_i=A+B(q/p)^i。境界条件で係数決定。

公正な場合への一致

p=q=1/2p=q=1/2 の極限で q/p1q/p\to1 となり、concept: ランダムウォークの Pi=i/NP_i=i/N に一致する。

不利な賭けの形

p<qp<qq/p>1q/p>1)では PiP_i は下に凸。出発点が低いと到達確率が急落し、破産しやすい。

例で見る

N=4N=4、出発点 i=2i=2、各ステップで上がる確率 p=0.4p=0.4q=0.6q=0.6q/p=1.5q/p=1.5)のとき、上端 44 に先に到達する確率は P2=11.5211.54=12.2515.0625=1.254.06250.308P_2=\dfrac{1-1.5^2}{1-1.5^4}=\dfrac{1-2.25}{1-5.0625}=\dfrac{-1.25}{-4.0625}\approx0.308。 公正な賭けなら P2=2/4=0.5P_2=2/4=0.5 だが、不利な賭けでは到達確率が下がる。

つまずきポイント

  • 公正な場合(p=qp=q)に不公正の公式をそのまま代入する(q/p=1q/p=10/00/0 になる。公正なら Pi=i/NP_i=i/N を使う)
  • ppqq、または比 q/pq/pp/qp/q を取り違える(上端到達の式は q/pq/p のべき。向きの確認を)
  • 境界条件 P0=0, PN=1P_0=0,\ P_N=1 を逆に置く(00 は破産で到達確率0、NN は達成で到達確率1)

定着クイズ

不公正なランダムウォーク(pqp\ne q)で上端 NN に先に到達する確率 PiP_i は?

吸収確率の差分方程式の境界条件は?

p=q=1/2p=q=1/2 の極限で不公正の公式はどうなる?

この用語を扱う問題(3