吸収
知識マップモデリング・用語
ひとことで言うと
マルコフ連鎖で「一度入ったら二度と出られない状態」が吸収状態です。賭けで一文無しになる(破産)、目標額に到達して勝ち抜ける、といった『終わり』に対応します。推移行列を吸収状態を先にまとめて書くと、きれいな標準形になります。
状態 の3状態マルコフ連鎖。状態0と2は自己ループ確率1の吸収状態()、中央の1は遷移状態で確率0.3で0へ、0.3で2へ、0.4で自分に留まる。一度吸収状態に入ると出られない。
数式で表すと
一度入ると出られない状態。賭けの破産・勝ち抜けの境界に対応。
試験に出る性質
定義
を満たす状態。一度入ると確率1でそこに留まり、二度と出られない。
標準形
吸収状態を先に並べると 。 は吸収へ入る、 は遷移間を動く確率。
吸収後は不変
吸収状態 に入れば任意の で 。分布はそこで固定される。
いつか必ず吸収
有限連鎖で全遷移状態から吸収へ到達可能なら、確率1で有限時間内に吸収される。
非エルゴード
吸収連鎖は定常分布・エルゴード性をもつ既約連鎖とは対照的。吸収後に分布が動かず非エルゴード。
例で見る
状態 、0と2が吸収、1が遷移状態で 。 推移行列は行0、行2()、行1。 標準形では 、 と整理できる。
つまずきポイント
- 吸収状態と単なる『戻りにくい状態』を混同する(吸収は ちょうど。0.99なら吸収ではなく、まれに出られる)
- 吸収連鎖に定常分布の議論をそのまま当てる(吸収連鎖は非エルゴード。既約・再帰の連鎖とは別扱い)
- 標準形で右上が0でない、とする(吸収状態から遷移状態へ戻る確率は0。)
定着クイズ
吸収状態の定義は?
吸収状態を先に並べた推移行列の標準形は?
吸収状態をもつ連鎖の性質として正しいのは?
この用語を扱う問題(1)