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モデリング・公式・吸収・ランダムウォーク
目標状態に着くまで平均で何ステップかかるかが期待到達時間です。各段を順にクリアする型では、各段の成功確率 に対し平均挑戦回数が (幾何分布の期待値)。期待値の線形性で、全段クリアまでは単純にそれらの和 になります。
3段階を順にクリアするシステムの各段の期待挑戦回数を横棒で示した図。各段の合格率
目標状態に到達するまでの期待ステップ数。逐次成功なら
期待到達時間とは、ある目標状態に初めて到達するまでにかかる平均ステップ数です。ここでは 吸収で導入した吸収状態の構造を使い、複数の段階を順番にクリアして最終状態(吸収状態)に到達する型の連鎖を扱います。各段階 では、成功するまで独立に試行を繰り返し、成功確率は とします。1つの段階を成功するまでの試行回数は幾何分布
逐次クリア型の式
各段の成功確率 に対し
3段階のシステムで各段の合格率が
逐次クリア型の期待到達時間の式は?
の3段階での は?
この と対称ランダムウォークの の関係は?
ここで効くのが期待値の線形性です。各段の試行回数が独立な幾何分布だとしても、和の期待値は各期待値の単純な和になります(独立でなくても線形性は成立しますが、ここでは各段が前段に合格して初めて進む独立な構成を考えます)。全段をクリアして目標に到達するまでの総ステップ数を とすると です。各段で平均 回かかり、それを全段ぶん足すだけ、という直感どおりの式になります。数値例として、3段階のシステムで各段の合格率が (各段独立で、前段に合格しないと次へ進めない)だとします。各段の期待挑戦回数は 、、 なので、全段クリアまでの期待挑戦回数は です。図の横棒を積み上げた長さがこの合計に対応します。
ここで同じ「期待到達時間」を扱う ランダムウォークとの違いをはっきりさせます。ランダムウォークのページでは、対称な単純ランダムウォークが2つの吸収壁に挟まれた状況で、位置 から吸収されるまでの期待時間が になることを、隣接状態の期待時間を結ぶ差分方程式を解いて導きました。これは『単一の対称ランダムウォークが壁に当たるまで』という1種類のランダムな動きの設定で、導出も差分方程式が主役です。一方、本ページの は『段階ごとに異なる成功確率 をもつ逐次クリア型』で、各段が幾何分布に従い、期待値の線形性で和をとる、というまったく別の設定・別の導出です。両者は「目標に着くまでの平均時間」という言葉こそ共通ですが、前者は対称ランダムウォーク、後者は逐次成功型、と問題の構造が違う点を必ず区別してください。
各段は幾何分布
1段を成功するまでの試行回数は (幾何分布)、期待値 。
期待値の線形性
総ステップ数 の期待値は各段の期待値の単純な和。分布の積和は不要、足すだけ。
成功確率が低い段ほど効く
は が小さいほど大きい。最も通りにくい段がボトルネックになる。
一般法:一段階解析(first-step analysis)
一般のマルコフ連鎖で状態 から目標(吸収状態)までの期待到達時間 は、1歩先で場合分けした連立方程式 (目標状態では )を解いて求める。本ページの逐次クリア型の式 や、ランダムウォークの対称歩行の式 は、この一般法を特定の構造に当てはめた特殊解にあたる。
各段の期待挑戦回数は 、、。
全段クリアまでの期待挑戦回数は 回。