周期とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpassモデリング・用語・マルコフ連鎖
ひとことで言うと
ある状態に「戻ってこられる歩数」が何歩おきかを表すのが周期です。戻れる歩数の最大公約数で定義し、それが1なら非周期、2以上ならその間隔でしか戻れない規則的な連鎖だ、ということになります。非周期であることが、分布が一定値に収束する(極限分布が存在する)ための鍵になります。
非周期な例 P=\begin{psmallmatrix}0.7&0.3\\0.4&0.6\end{psmallmatrix}。状態0に自己ループ P00=0.7>0 があるので、戻れる歩数の集合は {1,2,3,…}、最大公約数 d(0)=1
数式で表すと
d(i)=gcd{n:Piin>0} 状態に戻りうるステップ数の最大公約数。1なら非周期で極限分布が存在。
状態 i の周期は、その状態に正の確率で戻ってこられるステップ数すべての最大公約数
d(i)=gcd{n≥1: Piin>0}
試験に出る性質
定義
d(i)=gcd{n≥1:Piin>0}
例で見る
周期例 P=(0110):状態0に戻れるのは偶数歩のみ(P002=1,P004=1,…
つまずきポイント
- 周期を「戻れる最小歩数」と勘違いする(正しくは戻れる歩数すべての最大公約数。最小ではない)
- 自己ループがあるのに周期2以上と判定する(Pii>0 なら1歩で戻れて必ず d(i)=1=非周期)
- 周期と極限分布の存在を切り離して考える(周期1でないと極限分布は存在しない。判定の目的を見失わない)
定着クイズ
Q1状態 i の周期 d(i) の定義は?
Q2自己ループ Pii>0 がある状態の周期は?
Q3P=[[0,1],[1,0]] の状態0の周期 d(0) は?
で非周期。自己ループの無い交互推移なら戻れる歩数は偶数のみで周期
になる。
で定義されます。
は「
歩後に状態
に戻っている確率」で、これが正になる
(戻れる歩数)を全部集め、その最大公約数をとります。
なら非周期、
ならその値が周期で、
の倍数の歩数でしか元に戻れない規則性を意味します。周期は
・
を理解するうえでの判定道具で、「非周期かどうか」が極限分布の存在を左右します(既約な連鎖が定常分布へ収束するには非周期性が必要)。
計算の手順を、2つの例で具体的に追います。まず周期的な例 P=(0110)(状態0と1を確率1で交互に推移)。状態0から出発して0に戻るには、0→1→0 のように必ず偶数歩かかります。1歩では戻れない(P00=0)、2歩では戻れる(P002=1)、3歩は不可、4歩は可…と続くので、戻れる歩数の集合は {2,4,6,…} です。その最大公約数は d(0)=gcd{2,4,6,…}=2。よってこの連鎖は周期2で、非周期ではありません。これが極限分布で Pn が I と P を往復して収束しなかった原因そのものです。
次に非周期な例 P=(0.70.40.30.6)。状態0には自己ループ P00=0.7>0 があるので、1歩で戻れます(P001=0.7>0)。さらに2歩でも3歩でも戻れる(P002,P003 いずれも正)ので、戻れる歩数の集合は {1,2,3,…}、その最大公約数は d(0)=gcd{1,2,3,…}=1 で非周期です。判定の実用的なコツは、自己ループ Pii>0 が1つでもあれば「1歩で戻れる」ので即座に d(i)=1(非周期)が確定する、という点です。一般に、既約な連鎖では全状態の周期が一致するので、代表として1状態を調べれば足ります。周期が1(非周期)なら極限分布が存在して定常分布に収束し、周期が2以上なら振動して極限分布は存在しない——この判定が、マルコフ連鎖の長期挙動を見抜く出発点になります。
。状態
に戻れる歩数すべての最大公約数。
非周期の判定
d(i)=1 なら非周期、d(i)≥2 ならその値が周期で倍数歩でしか戻れない。
自己ループは即非周期
Pii>0 が1つでもあれば1歩で戻れるので d(i)=1 が確定する。実用的な近道。
既約なら周期は共通
既約な連鎖では全状態の周期が一致するので、1状態を調べれば全体が分かる。
極限分布との関係
非周期(d=1)なら極限分布が存在し定常分布に収束。周期 ≥2 なら振動して極限分布なし(極限分布)。
、奇数歩は0)。
d(0)=gcd{2,4,6,…}=2 で周期2(非周期ではない)。
非周期例 P=(0.70.40.30.6):自己ループ P00=0.7>0 なので1歩で戻れる。
戻れる歩数は {1,2,3,…} で d(0)=gcd{1,2,3,…}=1(非周期)。d=1 なので極限分布が存在する。