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モデリング用語

ひとことで言うと

定常化とは、トレンドや単位根のために定常でない系列を、操作を加えて定常な系列に変える前処理です。主役は差分——隣の時点との差をとること——で、何回差分すれば定常になるか(積分次数 dd)が系列の性格を表します。乗法的なトレンドには対数変換、季節パターンには季節差分、と戦略を使い分けます。

上段は上昇トレンドをもつ非定常系列(ランダムウォーク)。下段は1回差分∇Y_t=Y_t-Y_t-1をとった後の系列で、ゼロ線(破線)まわりを定常的に振動する。1回の差分でトレンドが除去されI(1)の過程であることを示す上:非定常(トレンドあり) → ∇で差分 → 下:定常(I(1))Y_t(非定常)∇Y_t(定常)t

上段は上昇トレンドをもつ非定常系列(ランダムウォーク)。下段は1回差分 Yt=YtYt1\nabla Y_t=Y_t-Y_{t-1} をとった後で、ゼロ線まわりを定常的に振動する。1回の差分でトレンドが消え、I(1)と分かる。

数式で表すと

Yt=YtYt1\nabla Y_t=Y_t-Y_{t-1}

非定常系列を差分などで定常にする操作。トレンド除去に差分を用いる。

定常化とは、そのままでは定常でない時系列を変換して定常な系列に変える操作です。多くの時系列モデルは定常性を前提に作られているため、トレンドや単位根をもつ非定常系列はまず定常化してからモデルに乗せます。中心的な手段が差分(Yt=YtYt1\nabla Y_t=Y_t-Y_{t-1})で、隣り合う時点の差をとることで『水準の動き』を取り除き、『変化量』に注目し直します。 ポイントは『何を、何回、どのように』定常化するかという戦略です。第一に差分の回数=積分次数 dd という考え方があります。dd 回差分してはじめて定常になる過程を I(dd)(dd 次の和分過程)と呼び、これが ARIMA(p,d,qp,d,q) の真ん中の dd にあたります。たとえばランダムウォーク Yt=Yt1+εtY_t=Y_{t-1}+\varepsilon_t は、1回差分すると Yt=εt\nabla Y_t=\varepsilon_t となり iid のホワイトノイズ(定常)になります。よってランダムウォークは I(1)。線形トレンド Yt=a+bt+εtY_t=a+bt+\varepsilon_t も、1回差分すると平均が bb の定常系列に変わります——1回の差分が線形トレンドを除去する、という直感を押さえてください。 第二に、トレンドが乗法的(変動幅が比例して大きくなる)な場合は、差分の前に対数変換を施します。対数をとると比例的な増減が一定幅の増減に変わり、その後の差分が効きやすくなります(対数差分 lnYt\nabla\ln Y_t は近似的に成長率を表します)。第三に、季節パターンには季節差分 sYt=YtYts\nabla_s Y_t=Y_t-Y_{t-s}ss は季節周期、月次なら s=12s=12)を使い、1年前との差をとって季節成分を打ち消します。なお差分のしすぎ(過差分)はかえって扱いにくくするので、定常になった時点で止めるのが鉄則です。

試験に出る性質

定常化の目的

AR・MA等は定常性が前提。非定常系列は差分などで定常にしてからモデルに乗せる前処理が定常化。

積分次数 d / I(d)

dd 回差分で定常になる過程を I(dd) と呼ぶ。ARIMA(p,d,qp,d,q) の dd がこれ。多くは d=1d=122 で足りる。

差分が線形トレンドを除去

Yt=a+bt+εtY_t=a+bt+\varepsilon_t を1回差分すると平均 bb の定常系列になる。トレンドが消える。

対数変換+差分

乗法的トレンドには先に対数をとる。対数差分 lnYt\nabla\ln Y_t は近似的に成長率を表す。

季節差分

季節周期 ss には sYt=YtYts\nabla_s Y_t=Y_t-Y_{t-s} で1周期前との差をとる。通常差分と組み合わせられる。

例で見る

ランダムウォーク Yt=Yt1+εtY_t=Y_{t-1}+\varepsilon_t を1回差分すると Yt=εt\nabla Y_t=\varepsilon_t(定常)。I(1)。 線形トレンド Yt=a+bt+εtY_t=a+bt+\varepsilon_t では Yt=b+εt\nabla Y_t=b+\varepsilon_t(平均 bb の定常系列)。1回の差分でトレンドが除去される。

つまずきポイント

  • 差分すればいつでも定常になると思う(過差分は逆効果。定常になった時点で止める)
  • 乗法的トレンドに通常差分だけを当てる(変動幅が比例拡大する系列はまず対数変換してから差分)
  • 季節成分を通常差分で消そうとする(毎年同じ月の山には季節差分 sYt=YtYts\nabla_s Y_t=Y_t-Y_{t-s} が必要)

定着クイズ

dd 回差分してはじめて定常になる過程の呼び名は?

ランダムウォーク Yt=Yt1+εtY_t=Y_{t-1}+\varepsilon_t を1回差分すると?

変動幅が比例して拡大する乗法的トレンドへの対処は?

この用語を扱う問題(1

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