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市場リスクと非市場リスク

知識マップ

投資理論定理

ひとことで言うと

個別株式のトータルリスク(全分散)は「市場全体の動きによる系統的リスク(分散投資で消せない)」と「企業固有の非系統的リスク(分散投資で消せる)」に分解できる。

銘柄数を増やすと非系統的リスク(薄緑)が減り、系統的リスク(赤茶)が残る。分散効果で消えるのは非系統的リスクのみ。非系統的リスク(分散で消せる)系統的リスク(消せない)1銘柄5銘柄20銘柄∞銘柄分散数

銘柄数が増えるほど非系統的リスク(薄緑)が減り、系統的リスク(赤茶)だけが残る。十分な分散投資で非系統的リスクはほぼゼロになる。

数式で表すと

σi2=βi2σM2+σ2(εi)\sigma^2_i = \beta_i^2 \sigma^2_M + \sigma^2(\varepsilon_i)

個別証券のトータルリスク(全分散)=市場リスク(系統的)+非市場リスク(非系統的)。分散投資で除去できるのは非市場リスクのみ。

CAPM の市場モデルでは個別資産収益率を Ri=αi+βiRM+εiR_i = \alpha_i + \beta_i R_M + \varepsilon_iεi\varepsilon_i は残差) と表すとき、分散を分解すると σi2=βi2σM2+σ2(εi)\sigma^2_i = \beta_i^2 \sigma^2_M + \sigma^2(\varepsilon_i) となる。βi2σM2\beta_i^2 \sigma^2_M が「系統的リスク(市場リスク)」、σ2(εi)\sigma^2(\varepsilon_i) が「非系統的リスク(固有リスク)」。 多くの銘柄を組み合わせると εi\varepsilon_i 同士は独立(Cov(εi,εj)=0\mathrm{Cov}(\varepsilon_i, \varepsilon_j)=0)に近づくため、ポートフォリオの非系統的リスクは銘柄数に反比例してゼロに近づく。系統的リスクは除去できない。

試験に出る性質

決定係数 R² はリスク中の系統的リスク比率

R2=βi2σM2/σi2R^2 = \beta_i^2 \sigma^2_M / \sigma^2_i。R²=1 に近いほど市場全体の動きで説明できる資産(非系統的リスクが小さい)。

CAPM では非系統的リスクのプレミアムはゼロ

非系統的リスクは分散投資で除去できるため、合理的な投資家はその負担に見返りを要求しない。したがって期待収益率は系統的リスク(β)のみで決まる。

系統的リスクとは市場全体(景気・金利・インフレ等)による変動

不況・金融危機など全資産に共通して影響する要因。個別企業の業績・不祥事などは非系統的リスク。

例で見る

βi=1.2\beta_i=1.2σM=15%\sigma_M=15\%σM2=0.0225\sigma^2_M=0.0225)、σ2(εi)=0.0100\sigma^2(\varepsilon_i)=0.0100 のとき、σi2=1.44×0.0225+0.0100=0.0324+0.0100=0.0424\sigma^2_i = 1.44 \times 0.0225 + 0.0100 = 0.0324 + 0.0100 = 0.0424σi20.6%\sigma_i \approx 20.6\%)。系統的リスクが全体の 0.0324/0.042476%0.0324/0.0424 \approx 76\% を占める。

つまずきポイント

  • 系統的リスク(除去不可)と非系統的リスク(分散で除去可能)の方向を逆に覚えない。「系統的」=「市場全体と系統的に連動」→ 多数の銘柄を持っても消えない。
  • CAPM では非系統的リスクに対してリスクプレミアムはゼロ。非系統的リスクが大きい株でも、期待収益率は β だけで決まる。

定着クイズ

βi=1.5\beta_i=1.5σM=10%\sigma_M=10\%σM2=0.01\sigma^2_M=0.01)、非系統的リスクの分散 σ2(εi)=0.0100\sigma^2(\varepsilon_i)=0.0100 のとき、σi2\sigma^2_i はいくらか。

分散投資(銘柄数を増やすこと)によって消すことができるリスクはどれか。

CAPM の下で、非系統的リスクに対してリスクプレミアムが付かない理由として正しいものはどれか。

関連:#R009#R011

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