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確率公式

ひとことで言うと

nn 個の値の最大値は、『全員がある値 tt 以下に収まる』ときだけ tt 以下になります。各々が独立に確率 F(t)F(t)tt 以下なので、全員そろう確率は F(t)nF(t)^nnn が増えるほど最大値は分布の上限に張り付いていきます。保険でいえば、nn 件の契約のうち最大の請求額がどこまで伸びるか、というイメージです。

一様分布U(0,1)からn個取った最大値の密度 f(t)=n t^(n-1)(0<t<1)をn=1,5,20で重ねた図。nが大きいほど密度が右端t=1に集中し、最大値が支持の上限1に近づく。n=5のとき期待値E=n/(n+1)=5/6≈0.833(赤破線)で、最大値はBeta(n,1)分布に従う最大値の密度 f(t)=n·t^(n-1)。nが増すほど上限1に集中E=5/6n=1n=5n=20密度t1

U(0,1)U(0,1) から nn 個取った最大値の密度 f(n)(t)=ntn1f_{(n)}(t)=n\,t^{n-1}0<t<10<t<1)を n=1,5,20n=1,5,20 で重ねた図。nn が増すほど密度は上限 t=1t=1 に集中する。n=5n=5 では期待値 E=n/(n+1)=5/60.833E=n/(n+1)=5/6\approx0.833(赤破線)。

数式で表すと

FM(t)=F(t)nF_M(t)=F(t)^n

nn 個の独立同分布の最大値。分布関数は F(t)nF(t)^n。一様 (0,1)(0,1) なら E=n/(n+1)E=n/(n+1)

最大値 X(n)=max(X1,,Xn)X_{(n)}=\max(X_1,\dots,X_n) の分布は、順序統計量の一般論で F(n)(t)=[F(t)]nF_{(n)}(t)=[F(t)]^n と与えられます。理由は明快で、『最大値が tt 以下』=『全員が tt 以下』であり、独立同分布なら各々が tt 以下になる確率 F(t)F(t) の積で F(t)nF(t)^n になるからです。ここではこの分布関数を出発点に、密度の導出と一様分布での具体計算まで踏み込みます。 密度は分布関数を tt で微分して得ます。F(n)(t)=F(t)nF_{(n)}(t)=F(t)^n を微分すると、 f(n)(t)=n[F(t)]n1f(t)f_{(n)}(t)=n[F(t)]^{n-1}f(t) となります。直感的には、最大値がちょうど tt 付近にあるのは『誰か1人が tt 付近にいて(f(t)f(t))、残り n1n-1 人は全員 tt 以下にいる([F(t)]n1[F(t)]^{n-1})』状況で、その人の選び方が nn 通りある、と読めます。 一様分布 U(0,1)U(0,1) で具体化しましょう。F(t)=t, f(t)=1F(t)=t,\ f(t)=1 なので、最大値の密度は f(n)(t)=ntn1f_{(n)}(t)=n\,t^{n-1} です。これは Beta(n,1)\mathrm{Beta}(n,1) 分布の密度に一致します。期待値は E[X(n)]=01tntn1dt=nn+1E[X_{(n)}]=\int_0^1 t\cdot n t^{n-1}\,dt=\dfrac{n}{n+1} となり、nn が大きいほど n/(n+1)n/(n+1) は1に近づき、最大値が支持の上限1へ張り付いていくことが式からも読み取れます。保険の文脈では、nn 件の独立な保険金請求のうち最大の請求額の振る舞いがこれにあたり、契約件数 nn が増えるほど最大級の損害が分布の上限近くまで伸びていく——再保険や巨大リスクの評価で効いてくる直感です。分散は Var(X(n))=n/[(n+1)2(n+2)]\mathrm{Var}(X_{(n)})=n/[(n+1)^2(n+2)] で、nn が増えると上限付近に密集して分散は小さくなります。

試験に出る性質

分布関数

F(n)(t)=[F(t)]nF_{(n)}(t)=[F(t)]^n。『最大値が tt 以下』=『全員が tt 以下』で、独立なら確率の積になる。

密度の導出

f(n)(t)=n[F(t)]n1f(t)f_{(n)}(t)=n[F(t)]^{n-1}f(t)F(t)nF(t)^ntt で微分)。『1人が tt 付近・残り n1n-1 人が tt 以下』を nn 通りで選ぶ形。

一様分布の特例

U(0,1)U(0,1) なら f(n)(t)=ntn1f_{(n)}(t)=n t^{n-1}Beta(n,1)\mathrm{Beta}(n,1) に従う。期待値 E=n/(n+1)E=n/(n+1)、分散 =n/[(n+1)2(n+2)]=n/[(n+1)^2(n+2)]

$n\to\infty$ の挙動

n/(n+1)1n/(n+1)\to1。最大値は支持の上限(一様なら1)に張り付き、分散も縮む。最大級リスクの評価に効く。

順序統計量の端

最大値は k=nk=n の順序統計量。一般の kk 番目の密度はベータ型で、最大値・最小値はその両端の特例にあたる。

例で見る

U(0,1)U(0,1) から n=5n=5 個取った最大値。密度 f(5)(t)=5t4f_{(5)}(t)=5t^40<t<10<t<1)。 E[max]=01t5t4dt=5/60.8333E[\max]=\int_0^1 t\cdot5t^4\,dt=5/6\approx0.8333(公式 n/(n+1)=5/6n/(n+1)=5/6 と一致)。 最大値は Beta(5,1)\mathrm{Beta}(5,1) に従い、分散 =5/[(6)2×7]=5/2520.0198=5/[(6)^2\times7]=5/252\approx0.0198

つまずきポイント

  • 密度を出すとき指数を間違える(F(t)nF(t)^n の微分は n[F(t)]n1f(t)n[F(t)]^{n-1}f(t)f(t)f(t) を掛け忘れたり指数を nn のままにしない)
  • 期待値を n/(n+1)n/(n+1) と覚えるだけで導出を忘れる(01tntn1dt=n/(n+1)\int_0^1 t\cdot n t^{n-1}dt=n/(n+1)。一様分布に限った値で、他分布では別計算)
  • 最大値と最小値の式を混同する(最大は F(t)nF(t)^n、最小は 1[1F(t)]n1-[1-F(t)]^n。最大は『全員以下』、最小は『全員より大』の余事象)

定着クイズ

独立同分布 nn 個の最大値の分布関数は?

U(0,1)U(0,1) から nn 個取った最大値の密度は?

U(0,1)U(0,1)n=5n=5 個の最大値の期待値は?

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