死亡順序に関する確率とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・公式・連生
ひとことで言うと
「どちらが先に死亡するか」を確率で測る話。2人の残りの寿命を平面上の点(Tx,Ty)と見れば、対角線のどちら側に落ちるかを求めるだけの問題になる。遺族年金や条件付給付の保険料は、この順序の確率が土台になる。
残存期間の平面を対角線で二分し、どちらの領域に落ちるかで死亡順序が決まる。面積(確率)を積分で求める。
数式で表すと
nqxy1=∫0ntpxyμx+tdt,nqxy1+nqyx1=nqxy,nqxy1+nqxy2=nqx 死亡順序の確率は、(x)の残存期間Txと(y)の残存期間Ty
試験に出る性質
定常死力なら順序確率は死力の比になる
μx,μy が定数なら P((x)が先)=μx+μyμx
例で見る
(1) 定常死力:μx=0.02、μy=0.03、独立とする。(x)
つまずきポイント
- 右肩の1・2は保険金額や順位ではなく「(x)が何番目に死亡するか」を表す。nqxy1 と nqyx1
定着クイズ
Q1(x)と(y)は独立で、死力がそれぞれ定数 μx=0.02、μy=0.03 である。(x)が(y)より先に死亡する確率に最も近いものはどれか。
Q2nqxy1+nqyx1 は何に等しいか。
Q3ω=100 のde Moivre型生命表(残存期間が一様分布)に従う独立な2人がいる。60歳男性と70歳女性について、男性が女性より後に死亡する確率はいくらか。
(定常死力なら
∞qxy1=μx+μyμx )
2生命以上で、誰が先に死亡するか等の死亡順序に関する確率。条件付給付や遺族年金の給付現価計算の基礎となる。
の大小で定義される。代表的な記号は次の2つである。
nqxy1:n年以内に第一死亡が起こり、それが(x)である確率
nqxy2:n年以内に(x)が死亡し、それが第二死亡(後)である確率
右肩の1・2は「(x)が何番目に死ぬか」を表す。定義から、次の関係が成り立つ。
nqxy1+nqyx1=nqxy(n年以内に第一死亡が起こる確率)
nqxy2+nqyx2=nqxy(n年以内に第二死亡が起こる確率)
nqxy1+nqxy2=nqx(順序を問わず(x)が死亡する確率)
計算は、独立なら二重積分(または累積分布の積分)で行う。(x)が先に死亡する確率は
∞qxy1=∫0∞tpxyμx+tdt
である。tpxy(そのときまで両者生存)に(x)の死力を掛けて積分する、という形はどの順序問題でも共通である。死力が定数μx,μyなら μx/(μx+μy) という単純な比になり、de Moivre型(残存期間が一様分布)なら平面上の面積比の計算になる。
。年齢にも期間にも依存しない。この形は連生保険
Aˉxy1=δ+μx+μyμx とも整合する(SEI050)。
de Moivre型では残存期間が一様分布になり面積比で解ける
μx+t=ω−x−t1 なら Tx は区間 (0,ω−x) 上の一様分布。順序確率は長方形を対角線で切った面積比として求まる(2024年度問題1(5)はde Moivre型3生命で「40歳→50歳の順に死亡し、かつ50歳死亡時に60歳が生存」を、2020年度問題1(6)は男女で死力の異なるde Moivre型で順序確率を計算させる)。
順序に期間条件が加わる出題がある
「(x)が先に死亡し、かつ2人の死亡間隔が10年以内」のように条件が重なる型。積分区間を Tx<Ty≤Tx+10 と書き下せば同じ手順で解ける(2022年度問題2(6))。
和の関係式で検算できる
nqxy1+nqyx1=nqxy、nqxy1+nqxy2=nqx。求めた確率をこの2式に入れて整合を確かめると計算ミスを検出できる。
が先に死亡する確率は
μx+μyμx=0.050.02=0.4
である((y)が先は 0.6、和は1)。
(2) de Moivre型:ω=100の生命表で、60歳男性の残存期間は区間(0,40)上の一様分布、70歳女性の残存期間は区間(0,30)上の一様分布になる。男性が女性より後に死亡する確率は
∫0304040−v⋅301dv=12001(1200−450)=0.625
(3) 期間条件付き:(1)の設定で「(x)が先に死亡し、かつ(y)の死亡までの間隔が10年以内」となる確率は
μx+μyμx(1−e−10μy)=0.4×(1−e−0.3)=0.103673
である。(1)の 0.4 より小さくなることが順序条件だけの場合との違いを表している。
は別物。
nqxy1+nqyx1=nqxy であって1ではない(n年以内に第一死亡が起こらない場合があるため)。n→∞ のときだけ和が1になる。 de Moivre型で残存期間の上限が2人で違う場合、積分区間を取り違えやすい。短いほうの上限で切ることを図で確認する。「(x)が先に死亡」と「(x)が n 年以内に死亡」を混同しない。前者は順序、後者は期間の条件。