生保数理・公式・連生
ひとことで言うと
n 人のうち「ちょうど k 人が生き残る」確率を、誰が生きて誰が死ぬかを一つずつ場合分けせずに、同時生存確率の足し引きだけで書いてしまう公式。包除原理を「少なくとも」用から「ちょうど」用に作り替えたもの。
4人の場合の係数表。行が「ちょうど何人生存か」、列が同時生存確率の総和 Sj
数式で表すと
tp[k]=∑j=kn(−1)j−k(kj)Sj,Sj=∑i1<⋯<ijtpi1⋯ij n 人の被保険者について、j 人ずつ選んだ同時生存確率をすべて足したものを
Sj=i1<⋯<ij∑tpi1i2⋯ij
試験に出る性質
ちょうど k 人生存の確率は、j人ずつの同時生存確率の交代和で書ける
tp[k]=∑j=kn(−1)j−k(kj)Sj
例で見る
(x),(x),(y),(y) の4人について、1年生存確率が px=0.9、py=0.8
つまずきポイント
- 係数を (kj) でなく (kn)
定着クイズ
Q14人の被保険者について、ちょうど2人が t 年後に生存する確率を S2,S3,S4(Sj は j 人ずつの同時生存確率の総和)で表したとき、S3 に付く係数はどれか。
Q2被保険者が (x),(x),(y),(y) の4人であるとき、2人ずつの同時生存確率の総和 S2 の表し方として正しいものはどれか。
Q3(x),(x),(y),(y) の4人について、px=0.9、py=0.8、互いに独立とする。1年後にちょうど2人が生存する確率に最も近いものはどれか。
。
複数生命のうちちょうどk人が生存する確率。包除原理や二項的展開で、同時生存・最終生存者確率から導く。
と置く。このときちょうど k 人が t 年後に生存する確率は
tp[k]=j=k∑n(−1)j−k(kj)Sj
と書ける。係数は (kj) に符号を交互に付けたもので、(kn) ではないところが要注意である。k=0 とすると全員死亡の確率になり、通常の包除原理と一致する。
tp[2]=S2−3S3+6S4
被保険者が (x),(x),(y),(y) のように同じ年齢で重複しているときは、Sj を数え直す必要がある。S2 は2人の選び方が6通りあるが、その内訳は xx が1通り、yy が1通り、xy が4通りなので
S2=tpxx+tpyy+4tpxy
同様に3人の選び方4通りは xxy が2通り、xyy が2通りだから S3=2(tpxxy+tpxyy)、S4=tpxxyy となる。これらを代入すると
tpxxyy[2]=tpxx+tpyy+4tpxy−6(tpxxy+tpxyy)+6tpxxyy
生存者の人数によって年金額が変わる連生年金も、この分解を k ごとに行って足し合わせれば求まる。多くの項が相殺して短い式に落ちることが多い。
。
は
人ずつ選んだ同時生存確率の総和。
とすると全員死亡の確率になり、通常の包除原理に一致する(2019年度問題2(8))。
係数は jCk であって nCk ではない
n=4,k=2 なら S2−3S3+6S4 で、S3 の係数 −3=−(23)、S4 の係数 6=(24)。(24)=6 を全項に掛けるような読み違えをすると確率が1を超える(2019年度問題2(8))。
同じ年齢が重複すると、同時生存確率の項数が変わる
(x),(x),(y),(y) では2人の選び方6通りの内訳が xx 1通り・yy 1通り・xy 4通り、3人の選び方4通りの内訳が xxy 2通り・xyy 2通り。したがって S2=tpxx+tpyy+4tpxy、S3=2(tpxxy+tpxyy) となる(2019年度問題2(8))。
生存者数で年金額が変わる連生年金は、k ごとの分解を足すと項が大きく相殺する
生存者が4人・3人・2人のときにそれぞれ別の年金額を払う設計では、k=4,3,2 の分解を足し合わせると3生命・4生命の年金現価がすべて消え、2生命の年金現価だけの短い式に落ちることがある(2025年度問題2(6))。
で互いに独立だとする。1年後にちょうど2人が生存する確率を求める。
まず S2、S3、S4 を作る。
S2=px2+py2+4pxpy=0.81+0.64+4×0.72=4.33
S3=2(px2py+pxpy2)=2(0.648+0.576)=2.448
S4=px2py2=0.5184
p[2]=S2−3S3+6S4=4.33−3×2.448+6×0.5184=0.0964
4人の生死の組み合わせ16通りを直接足しても同じ 0.0964 になる。
ここで S3 の係数を −3 でなく −2 と誤ると 0.5836、−6 と誤ると負の値になり、いずれも「確率としてありえない値」が出るので気づける。
と覚えてしまう。
で全項に6を掛けると確率が1を超える。
「ちょうど k 人」と「少なくとも k 人」を混同する。少なくとも k 人の係数は (k−1j−1) で別物。 同じ年齢が重複するときの項数を数え間違える。(x),(x),(y),(y) の S2 で tpxy は4回、S3 で tpxxy と tpxyy は各2回出てくる。 符号は j が1増えるごとに反転する。k の偶奇では決まらない。 ちょうどk人生存の確率とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass