死力のモデル(de Moivre・Gompertz・Makeham)とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass死力のモデル(de Moivre・Gompertz・Makeham)
知識マップ生保数理・公式・生命関数・生命表・定常人口
ひとことで言うと
死力の形をあらかじめ数式で決め打ちしてしまうと、生存確率も平均余命も閉じた式で書けて計算が一気に楽になる。試験で使われるのは主に3種類——年齢に反比例するde Moivre型、指数的に増えるGompertz(指数)型、それに事故死分の定数を足したMakeham型。問題文の死力の形を見た瞬間にどの型か判定できることが得点に直結する。
3つの代表モデルの死力の形。Makeham型は Gompertz 型に年齢によらない定数 A(事故等による死亡)を加えたもの。
数式で表すと
Makeham: μx=A+Bcx,de Moivre: μx=ω−x1,Gompertz: μx=Bcx 死力の関数形をあらかじめ仮定すると、生存確率・平均余命が閉じた式になる。試験で現れるのは主に次の3系統である。
① de Moivre型(およびその拡張)
μx=ω−x1 ⟹ lx∝(ω−x)
試験に出る性質
de Moivre型では残存期間が一様分布になる
μx=ω−x1 なら lx∝(ω−x)
例で見る
(1) de Moivre型(ω=100、a=1):50歳では
10p50=5040=0.8,e˚50=2100−50=25
つまずきポイント
- de Moivre型でe˚x=2ω−xが使えるのはa=1
定着クイズ
Q1死力が μx=100−x1(de Moivre型・ω=100)であるとき、完全平均余命 e˚50 に最も近いものはどれか。
Q2死力が μx=100−x2 であるとき、10p50 に最も近いものはどれか。
Q3Makeham の死力 μx=A+Bcx における定数項 A の説明として最も適切なものはどれか。
死力の関数形を仮定する代表的モデル。de Moivre(一様)、Gompertz(Bcx)、Makeham(A+Bcx)、指数型などがあり、それぞれlx・生存確率が閉形式になる。
となり、残存期間Txは区間(0,ω−x)上の一様分布になる。より一般に
μx=ω−xa ⟹ lx∝(ω−x)a,tpx=(ω−xω−x−t)a
で、a=1 が本来のde Moivre型である。この拡張型は平均余命の出題で繰り返し使われる。
μx=Bcx (=eax+b) ⟹ tpx=gcx(ct−1),g=exp(−logcB)
老化による死亡が年齢に対して指数的に増える、という仮定である。
μx=A+Bcx ⟹ tpx=stgcx(ct−1),s=e−A
Gompertz型に、年齢によらない定数A(事故等による死亡)を加えた形。stという年齢に依存しない因子が付くのが特徴で、連生(SEI050)ではこの性質が「同年齢2人への置き換え」に使われる。
逆に、関数形を仮定せず生命表の数値から死力を近似することもできる。中心差分により
μx≈2lxlx−1−lx+1
である(lxは減少関数なので分子は正)。
で、
は区間
(0,ω−x) 上の一様分布。確率計算が面積比に帰着するため、連生の死亡順序(2023年度問題2(6))や端数期間の生存確率(2025年度問題1(2))の設定として頻繁に使われる。
拡張型 μx=ω−xa では tpx が a 乗になる
lx∝(ω−x)a なので tpx=(ω−xω−x−t)a
Makeham型の生存確率には年齢に依存しない因子 st が付く
tpx=stgcx(ct−1)、s=e−A、g=exp(−B/logc)。Aは事故等による年齢によらない死亡を表す。この構造のおかげで、Makeham型では連生の同時生存確率を「等価な同年齢2人」に置き換えられる(2018年度問題2(7)は連生保険をMakeham型の下で計算させる)。
生命表の数値から死力は中心差分で近似できる
μx≈2lxlx−1−lx+1。lxをxの2次関数で局所近似したときの微分にあたる(2018年度問題1(2)はこの近似式の空欄補充)。lxは減少関数なので分子は lx−1−lx+1 の向きで正になる。
(2) 拡張型(ω=100、a=2、すなわち μx=100−x2):
10p50=(5040)2=0.64,e˚50=2+1100−50=16.666667
aが大きいほど死力が強く、生存確率も平均余命も小さくなる。
(3) Makeham型(A=0.001、B=0.00003、c=1.09):μ50=0.001+0.00003×1.0950=0.003231 で、1年生存確率は
p50=exp(−A−logcBc50(c−1))=0.996676
(4) 中心差分による近似:μx=e0.09x−9.5(Gompertz型)から作ったlxに対し
2l60l59−l61=0.016583
で、真値 μ60=e0.09×60−9.5=0.016573 をよく近似している。
のときだけ。拡張型では
a+1ω−x になる。
Gompertz型・Makeham型のtpxは指数の中がcx(ct−1)。cx+tやctと書き間違えやすいので、t=0で1になるかを毎回確認する。 中心差分の分子はlx−1−lx+1。lx+1−lx−1の向きで書くと死力が負になる。 μx=eax+bはGompertz型(B=eb、c=ea)の書き換えにすぎない。別のモデルとして覚えない。 。生存確率の条件から
を逆算させる型が定番(2019年度問題1(2)は
μx=110−xa から
と
e˚30 を、2022年度問題1(2)は
e˚x=3ω−x という条件から
を求めさせる)。