生存給付金付保険(生存保険の変則給付)とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・公式・第三分野・特約
ひとことで言うと
満期を待たずに、途中の決まった時点で「生きていたら」お金が出る保険。生存給付金の現価は純粋な生存保険の足し算に分解でき、責任準備金の再帰式にも1項として素直に入る。新しい理論は要らず、分解のしかたを間違えないことがすべてである。
生存給付金の支払時点で責任準備金は給付額だけ不連続に下がる。給付現価は据置現価 D(x+t)/D(x) の線形結合になる。
数式で表すと
j∑SjDxDx+tj 生存給付金とは、保険期間の途中の所定の時点で被保険者が生存していることを条件に支払う給付である。第 tj 保険年度末に金額 Sj を支払うとすると、その給付現価は
j∑SjDxDx+tj
試験に出る性質
生存給付金の給付現価は、純粋な生存保険(据置現価)Dx+t/Dx の線形結合で書ける
第 tj
例で見る
(2020年度問題3(2)を参考にした例)息子3歳・父40歳加入、保険期間15年の親子連生保険で、息子が12歳・15歳に到達するごとに生存給付金0.5を支払い、満期(18歳)まで生存していれば満期保険金1を支払うとする。この部分の給付現価は
0.5⋅D3D12+D15+D3D18
つまずきポイント
- 生存給付金の現価を v の累乗だけで割り引く。生存していることが条件なので生存確率が要る(=Dx+t/Dx を使う)。
- D
定着クイズ
Q15歳加入・保険期間15年の保険で、被保険者が10歳・15歳に到達するごとに生存給付金0.4を支払い、満期(20歳)まで生存していれば満期保険金1を支払う。この給付現価として正しいものはどれか。
Q2生存給付金がある保険について、生存給付金の支払時点における責任準備金の記述として正しいものはどれか。
Q3保険期間3年・年払全期払込の保険で、死亡率は年齢によらず q=0.01、i=2.00% とする。死亡保険金1(年度末支払)、第2保険年度末に生存給付金0.3、満期保険金1のとき、年払純保険料に最も近いものはどれか。
(生存給付金の給付現価)
保険期間中の所定時点で生存給付金を支払うなど、変則的な生存給付を持つ保険。給付現価を分解して純保険料を評価する。
となる。Dx+t/Dx は純粋な生存保険(据置現価)tEx そのものなので、生存給付金の現価は据置現価の線形結合にすぎない。満期保険金も「最後の1回の生存給付金」とみなせば同じ形に入る。
出題では「息子が12歳、15歳に到達するごとに生存給付金を支払う」のように年齢で条件が書かれる。加入年齢が3歳で保険期間15年なら、12歳は第9保険年度末、15歳は第12保険年度末、満期の18歳は第15保険年度末である。計算基数の添字は年齢なので、D12・D15・D18 をそのまま使えばよい。経過年数に直そうとして取り違えるのが最も多い失敗である。
生存給付金がある契約の責任準備金は、通常の再帰式に1項が加わるだけである。第 t+1 保険年度末の生存給付金を Et+1 とすると
tV+P=v[qx+tS+px+t(t+1V+Et+1)]
となる。生存給付金は「生存している人に支払う」ので、px+t が掛かる側に入る。年 k 回払・保険料も給付も時点ごとに変わる一般形でも、生存給付金は同じ位置に1項として現れるだけで、再帰の構造自体は変わらない。この一般形を k→∞ とすればThieleの微分方程式が出る。
生存給付金を支払った直後の責任準備金は、支払直前より給付額だけ小さい。
tV直後=tV直前−Et
グラフに描くと、生存給付金の時点で段差ができる。「t 年経過時点の責任準備金」と問われたら、支払直前か直後かを必ず確認する。
生存給付金は単独で出るよりも、既払込保険料の返還や遺族年金と組み合わさった総合的な設定のなかに現れることが多い。既払込保険料の返還は t 年経過時点で tP を支払う形になるので、給付現価は (IA) 型の累加保険の現価として書ける。生存給付金の部分だけを取り出せば、上のとおり据置現価の和である。
保険年度末に
を払うなら
∑jSjDx+tj/Dx 。2020年度問題3(2)(ⅰ)では
0.5(D12+D15)/D3+D18/D3 の形が空欄として問われている。
満期保険金は生存給付金の最後の1回とみなせる
満期保険金も「満期時点で生存していることを条件に支払う給付」なので、据置現価の線形結合の最終項として同じ形で扱える。分けて考える必要はない。
生存給付金は責任準備金の再帰式に「生存者に支払う項」として1項加わるだけで、再帰の構造は変わらない
tV+P=v[qx+tS+px+t(t+1V+Et+1)]。px+t が掛かる側に入るのがポイント。年 k 回払の一般形でも位置は同じで、k→∞ とすればThieleの微分方程式に至る(2017年度問題3(2))。
生存給付金の支払時点で責任準備金は給付額だけ不連続に下がる
tV直後=tV直前−Et。「t 年経過時点の責任準備金」を問われたら支払直前か直後かを確認する。グラフでは給付時点に段差が現れる。
となる。D3=97,240・D12=90,028・D15=87,743・D18=85,488 を入れると
0.5×97,24090,028+87,743=0.914084
97,24085,488=0.879144
合計 1.793228 となる。生存給付金の部分(0.914084)が満期保険金の部分(0.879144)とほぼ同じ大きさになっている点に注意したい。給付が2回に分かれていても、割引期間が短いぶん現価はそれほど小さくならない。
なお D ではなく v の累乗だけで割り引くと生存確率が抜け、N を使うと年金現価になってしまう。使うのは必ず D である。
ではなく
を使ってしまう。
は年金現価の基数で、一時点の生存給付には
を使う。
到達年齢と経過年数を取り違える。「12歳に到達したとき」は計算基数では D12 であって、加入年齢からの経過年数に直す必要はない。 責任準備金を支払直前と直後で区別しない。生存給付金の時点では給付額ぶんの段差がある。生存給付金を死亡保険金と同じ扱いにして qx+t の側に入れる。生存者に支払うので px+t の側である。