保険料払込免除特約とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・公式・第三分野・特約
ひとことで言うと
就業不能になったあとの保険料を会社が肩代わりする特約。保険料を払う人の集合が「生存者全体」から「就業者だけ」に狭まるので、収支相等式の分母が入れ替わる。解き方は3通りあるが、答えは必ず一致する——その一致を確かめさせるのが本試験の定番である。
保険料の払込は就業者のときだけ。ä^aa(就業中)とä^ai(就業不能中)を足すとä^a(生存中)になるが、後者の添字だけが m−1 になる。
数式で表すと
a¨x:ma=a¨x:maa+a¨x:m-1ai 就業者・就業不能者の2状態を持つ多重脱退表を使う。記号は3種類だけである。
a¨x:maa:就業者として生存している間の年金現価
a¨x:m-1ai
試験に出る性質
免除される主契約保険料の現価は a¨x:m-1ai であり、a¨x:ma−a¨x:maa
例で見る
(2022年度問題4(2)を参考にした例)保険料が生存中に払い込まれるとした場合の年払純保険料が P′=0.0100、a¨x:ma=20.00
つまずきポイント
- a¨ai の添字を m−1 ではなく m と読む。a¨x:ma−a¨x:maa
定着クイズ
Q1保険料払込免除特約の計算で、a¨x:ma−a¨x:maa に等しいものはどれか。ただし a¨a は生存中、a¨aa は就業者として生存中の年金現価とする。
Q2保険料が生存中に払い込まれるとした場合の年払純保険料が P′=0.0100、a¨x:ma=20.00、a¨x:m-1ai=2.00 である。就業不能になったあとは払込を免除する改定を行った場合の年払純保険料に最も近いものはどれか。
Q310年払込の主契約に保険料払込免除特約を付ける。特約保険料は就業者であるときにのみ払い込まれ、第10保険年度以降に発生した就業不能に対しては免除すべき保険料がないため特約保険料の払込は不要とする。年払営業保険料 P∗=300,000 円、a¨x:10a=8.020、a¨x:10aa=8.000、a¨x:9aa=7.200 のとき、特約の年払純保険料に最も近いものはどれか。
、
P=P′a¨x:maaa¨x:ma
所定の事由(就業不能・三大疾病等)に該当したとき以後の保険料を免除する特約。免除給付の現価を織り込み、複数手法で純保険料を導く。
:
就業不能者として
生存している間の年金現価
a¨x:ma:生存している間(就業者・就業不能者を問わない)の年金現価
a¨x:ma=a¨x:maa+a¨x:m-1ai
右辺の第2項だけ添字が m−1である点に注意する。加入時点では誰も就業不能ではない(lxai=0)ので t=0 の項が必ず0になり、実体は m 期間ぶんの和なのに慣行として m−1 と書く。ここを m と読むと以下の3手法がすべて崩れる。
保険料は就業者のときにしか払い込まれない、と最初から決めてしまう方法である。支出現価を X とすると
P=a¨x:maaX
分母が a¨aa になるだけで、あとは通常の収支相等式と変わらない。最も素直な解き方である。
保険料が生存中ずっと払い込まれる契約を「主契約」と呼び、その年払純保険料を P′ とする。
P′=a¨x:maX
これに、就業不能になったあとの主契約保険料を免除する特約を付ける。免除される保険料の現価は P′a¨x:m-1ai である。特約保険料 PD は就業者のときにだけ払い込まれるので
PD=P′a¨x:maaa¨x:m-1ai
P′+PD=P′(1+a¨aaa¨ai)=P′a¨aaa¨a=a¨aaX=P
特約保険料も生存中に払い込まれるとすると、その特約保険料自体が免除の対象になる。そこで「特約保険料を免除する特約」をさらに付け、それをまた免除する特約を付け……と無限に繰り返す。第1の特約保険料 P1 は
P1a¨x:ma=P′a¨x:m-1ai
を満たすので、P1=P′⋅r(ただし r=a¨x:m-1ai/a¨x:ma)となる。以下同じ比が続くので、全体は初項 P′・公比 r の等比級数になる。
P′+i=1∑∞Pi=1−rP′=P′a¨x:maaa¨x:ma=P
r<1 なので級数は収束する。3手法が同じ値に着地するのは、a¨a=a¨aa+a¨ai という1本の関係式が効いているからである。
主契約が既にあって特約保険料だけを問う出題もある。このときは2点に注意する。1つは免除されるのは純保険料ではなく営業保険料であること(契約者が実際に払い込むはずだった金額を肩代わりするため)。もう1つは特約保険料の払込回数が主契約より1回少ないことである。最終年度に就業不能になっても、そのあとに免除すべき保険料が残っていないからである。
に等しい
添字が m ではなく m−1 である点が最重要。加入時点では誰も就業不能ではない(lxai=0)ため t=0 の項が0になり、慣行としてこの書き方をする。2022年度問題4(1)が明示的にこの等式を置いている。
3つの手法(収入現価を就業者に限定・払込免除特約を付加・特約を無限に反復)はいずれも同じ保険料に帰着する
根拠は a¨a=a¨aa+a¨ai の1本だけ。2022年度問題4は、3手法を順に導出させたうえで一致を確認させる構成になっている(大問まるごと10.0点)。
無限反復の等比級数の公比は a¨x:m-1ai/a¨x:ma であり、分母は a¨aa ではない
特約保険料が「生存中」に払い込まれる設定なので分母は a¨a。公比は1未満なので級数は収束し、和は P′a¨a/a¨aa
免除されるのは純保険料ではなく営業保険料である
契約者が実際に払い込むはずだった金額を会社が肩代わりする仕組みだから。2021年度問題2(7)では、まず養老保険の営業保険料 P∗ を事業費込みの収支相等式から求め、それに免除の現価率を掛けて特約保険料を出す。
特約保険料の払込回数は主契約の払込回数より1回少ない
最終払込年度以降に就業不能になっても、そのあとに免除すべき保険料が残っていないため。10年払込なら特約保険料は9回で、分母は a¨x:9aa になる(2021年度問題2(7))。
、
a¨x:m-1ai=0.80 とする。就業不能になったあとは払込を免除する改定を行った場合の年払純保険料を求める。
まず a¨aa を出す。
a¨x:maa=20.00−0.80=19.20
手法(a):P=P′a¨aaa¨a=0.0100×19.2020.00=0.0104167
手法(b):P=P′(1+a¨aaa¨ai)=0.0100×(1+19.200.80)=0.0104167
手法(c):P=1−a¨ai/a¨aP′=1−0.80/20.000.0100=0.0104167
ここで公比を a¨ai/a¨aa と読み違えると0.0104348、手法(b)の分母に a¨a を使うと0.0104000となり、いずれも「3つが一致する」という設問の眼目が再現できなくなる。一致しなければどこかで記号を取り違えている、というのが最良の検算になる。
が
a¨x:m-1ai であって
a¨x:mai ではない。
a¨a(生存中)と a¨aa(就業中)を取り違える。与件の記号は a が2文字か3文字かでしか区別されないので、必ず「どちらが大きいか」で確かめる(a¨a>a¨aa)。 無限反復の公比の分母に a¨aa を使う。特約保険料が生存中払込なら分母は a¨a である。 免除対象を純保険料としてしまう。免除されるのは契約者が払い込むはずだった営業保険料である。特約保険料の払込回数を主契約と同じにする。最終年度は免除すべき保険料がないため1回少ない。3手法の答えが食い違ったまま先へ進む。一致しないときは必ずどこかで記号か添字を取り違えている。 になる。分母を
と読むと3手法の一致が崩れる。