積立金の漸化式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・積立金の推移
ひとことで言うと
積立金の1年分の収支を1本の漸化式にすると、何年後の積立金でも追える。本試験の定番の手筋は、漸化式の両辺に割引率を掛けて t 年ぶん足し上げることで、途中の項が全部消えて確定年金現価率 a¨ が残る。
漸化式に割引率を掛けて足し上げると中間の項が相殺し、初年度の積立金と確定年金現価率だけが残る。積立金の設問はほぼこの1行に集約される。
数式で表すと
Ft+1=Ft(1+i)+C−B 積立金の漸化式は、期初拠出の制度なら
Ft+1=(Ft+C−B)(1+i)
試験に出る性質
両辺に v を掛けて足し上げると ä が残る
vnFn=F0+(C−B)a¨n
例で見る
<計算の前提>
・トイモデルの定常状態(B=8,536.59、C=6,717.45、i=2.0 パーセント、F0=92,775.90
つまずきポイント
- 積立金の時点(期初か期末か)を混ぜない。Ft を期初と決めたら最後まで期初で通す。
- a¨n
定着クイズ
Q1期初拠出の制度で Ft+1=(Ft+C−B)(1+i) が成り立つとき、両辺に割引率を掛けて t=0 から n−1 まで足し上げて得られる式はどれか。
Q2定常状態にある制度が、第1年度以降の保険料だけを αC(0<α<1)に減額した。第 t 年度末の積立金 Ft について成り立つ式はどれか。
Q3閉鎖型総合保険料方式の積立金の漸化式が cFn の1次式になる理由として適切なものはどれか。
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積立金の年度間の関係を1本の漸化式で表したもの。保険料・給付・運用利回りを与えて何年後にどうなるかを追う設問の基本形。
の1本である。この式から「n 年後の積立金」を出す手筋は決まっている。
両辺に vt+1 を掛けると
vt+1Ft+1=vtFt+vt(C−B)
となり、t=0,1,…,n−1 について足すと左辺と右辺の vtFt が打ち消えて
vnFn=F0+(C−B)a¨n
が残る。a¨n=d1−vn である。2018年度問題1(4) と 2023年度問題2(4) はどちらもこの1行で解ける。
定常状態から保険料だけを αC(0<α<1)に減らすと、上の式を減額前と減額後で引き算して
(1−α)Ca¨t=vt(F−Ft)
になる。左辺は減らした保険料の累計の現価、右辺は積立金の目減りの現価で、減らしたぶんがそのまま積立金の穴になることを言っている(2023年度問題2(4)(ア))。
閉鎖型総合保険料方式では保険料が cPn=GaSp+Sa−cFn と積立金の関数になる。これを代入すると
cFn+1=cFn(1−GaL)(1+i)+(GaSp+SaL−B)(1+i)
というcFn の1次式になる。1次式なら等比数列に直せるので収束も単調性も言える(NEN053・2018年度問題3の16点大問)。
。2018年度問題1(4)(5点)・2023年度問題2(4)(ア)(4点)はどちらもこの1行が出口である。
保険料を減らした累計の現価が、積立金の目減りの現価に等しい
(1−α)Ca¨t=vt(F−Ft)。2023年度問題2(4)(ア)の正答(H)がこの形である。vt が右辺だけに付くので、左辺を現価、右辺を将来価値と読み違えない。
保険料が積立金の関数になると漸化式は 1 次式になる
閉鎖型総合保険料方式では cPn が cFn を含むので、代入すると cFn+1=cFn(1−GaL)(1+i)+定数 になる。2018年度問題3(16点大問)の前半3ブロックがこれである。
「初めて一定水準を下回る年度」は不等式を両側で挟む
第 t 年度で初めて下回るなら「第 t 年度では下回り、第 t−1 年度では下回っていない」の2本が要る。片側だけだと選択肢の範囲が決まらない(2023年度問題2(4)(イ))。
給付を積立金に連動させると 1 次式の係数が変わる
Bt=B0Ft/F0 とすると Ft+1=Ft(1−i)+C になる(2024年度問題1(8))。(1+i) が (1−i) に変わるところが計算の山になる。
)
・第1年度以降、保険料だけを αC(α=0.7)に減らす
t=1:(1−α)Ca¨1=0.3×6,717.45×1=2,015.24、v1(F−F1)=2,015.24。
t=5:どちらも 9,688.70。t=15:どちらも 26,412.17。3点とも一致する。
同じ形の設問が「Ft が第15年度末に初めて 2α+1 倍を下回った。BC はいくらか」として出ている。上の式を整理すると
2(1+i)t−11<BC≤2(1+i)t−1−11
となり、i=2.0 パーセント・t=15 で 0.5911<BC≤0.6101。公式解の 0.60 がこの範囲に入る。 実際に C/B=0.60 で漸化式を回すと、初めて下回るのが第15年度末であることも確認できる。
途中で両辺を 1−α で割る。0<α<1 だから 1−α>0 で不等号の向きは変わらないが、α>1(保険料を増やす)の設問では向きが反転する。
(期初払)と
(期末払)を取り違えない。期初拠出の足し上げで出るのは期初払である。
足し上げるとき、vt を掛ける前に足してしまうと中間項が相殺しない。 保険料を増やす向きの設問では、1−α が負になり不等号が反転する。