給付費とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・用語・標準保険料と責任準備金
ひとことで言うと
給付現価が「これから先に払う年金を全部いまの値段にしたらいくらか」なら、給付費は「今年いくら出ていったか」。同じ制度の同じ給付を、残高で見るか出金で見るかの違いである。
共通トイモデルの給付費と給付現価。毎年 7,000 が出ていき、それが永久に続く。全部を予定利率 2.0 パーセントで現在価値にすると 350,000 になる。1年ぶんと全部ぶんを取り違えると桁が50倍ずれる。
数式で表すと
Bt=∑x≥rlx×(年金額)+∑xdx×(一時金額) 給付費 Bt は、その年度に実際に支払った年金・一時金の合計である。
Bt=∑(当年度に給付事由に該当した人数)×(1人あたり給付額)
試験に出る性質
給付費はフロー、給付現価はストック
給付費はその年度の出金、給付現価は将来の給付全部の現在価値。共通トイモデルでは 7,000 と 350,000 で50倍違う。
定常状態では B=iF+C(1+i)
例で見る
<計算の前提> 共通トイモデル(加入57歳・定年60歳・予定利率2.0パーセント)。毎年期初に 1,000 人が57歳で加入し、l57=1,000、l58=900
つまずきポイント
- 給付現価と給付費を取り違える。共通トイモデルでは 350,000 と 7,000 で桁が50倍ずれる。
- 定常状態の式を B=C+iF と書き、保険料の利息を落とす。6,865.65 になって 7,000 に届かない。
- 中途脱退者に給付のない制度で、脱退者を全員給付費に数える。給付事由に該当した人だけを数える。
定着クイズ
Q1共通トイモデル(毎年 700 人が定年に到達し、1人あたりの給付が 1×a¨60=10)における1年間の給付費はどれか。
Q2計算基礎率どおりに推移して積立金が動かない定常状態において、給付費 B、年1回期初払いの標準保険料 C、給付支払後で保険料拠出前の積立金 F、予定利率 i のあいだに成り立つ関係はどれか。
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その年度に実際に支払う給付の額。定常状態では給付費と保険料収入・運用収益がつり合う。財政決算の損益計算書の支出側の中心項目。
給付現価 S は将来の給付を全部現在価値にした残高。給付費 B はその年の出金。財政決算では S から導いた責任準備金が貸借対照表に、給付費が損益計算書に載る。共通トイモデルでは S=350,000 に対し B=7,000 で、桁が50倍違う。
計算基礎率どおりに推移して積立金が動かない状態では
B=iF+C(1+i)
が成り立つ。C は年1回期初払いの標準保険料、F は給付支払後・保険料拠出前の積立金である。保険料も1年ぶんの利息を稼ぐので、右辺の C に (1+i) が付く。
2023年度 問題3(3) は、脱退残存表と予定給与から一時金制度の1年間の給付費を出させている。2025年度 問題3(3) は Trowbridge モデルの財政状況の空欄として、年金受給権者への年金給付額を問うている。どちらも「1年ぶん」を数える問題である。
保険料も1年ぶんの利息を稼ぐので C に (1+i) が付く。これを落とすと 6,865.65 になり、7,000 に届かない。
給付費は損益計算書の支出側
貸借対照表に載るのは責任準備金と積立金。給付費は当年度の収支を表す損益計算書に載る。
一時金制度では脱退者数に給付額を掛ける
2023年度 問題3(3) は脱退残存表と予定給与から1年間の給付費を出させている。給付現価ではなく当年度の脱退者だけを数える。
一律のベースアップは給付費も保険料も同じ倍率で動かす
給与に比例する制度で全員が (1+β) 倍になるなら、給付費も標準保険料も (1+β) 倍になる。比は変わらない。
、
l59=800 、
l60=700 。定年到達者に年金額1の終身年金(
a¨60=10 )を支給する。
毎年 700 人が定年に到達し、1人あたり 1×10=10 の給付が発生する。
B=700×10=7,000
加入年齢方式(特定年齢57歳)の1人あたり標準保険料は P=2.487944。在職者は毎年 1,000+900+800=2,700 人なので
C=2,700×2.487944=6,717.45
B=iF+C(1+i) に F=7,410.09 を入れると
0.02×7,410.09+6,717.45×1.02=148.20+6,851.80=7,000.00
この F=7,410.09 は、将来法の責任準備金
V=Sa−PGa=20,187.18−12,777.09=7,410.09
と同じ値である。積立金の漸化式から出した数と、給付現価から出した数が一致する。片方だけ間違えると必ずずれるので、この一致がそのまま検算になる。