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年金数理・用語・財政方式の体系
同じ給付を約束していても、その費用を「いつ」「どれだけ」前もって積むかは選べる。その選び方が財政方式。給付現価という1枚のケーキを、保険料でまかなう部分と積立金として持つ部分にどう切り分けるかの問題である。
給付現価は受給者分・過去期間分・将来期間分・将来加入見込者分の4つに切れる。財政方式の違いは、このうちどこまでを積立金として持つかの違いである。
年金財政の費用を「いつ」「どれだけ」認識するかで方式を分類した体系。賦課方式から完全積立方式までを、積立度合いと保険料水準の2軸で位置づける。
年金制度が将来払う給付の総額は、財政方式を変えても変わらない。変わるのはその費用をいつ認識するかだけである。極端な2つを置くと見通しがよい。
・賦課方式:その年の給付をその年の保険料でまかなう。積立金は0 ・完全積立方式:将来加入する人の分まで含めて全額を積み立てる。保険料は0
実際の方式はこの間のどこかにあり、どこまでを積立金として持つかで並ぶ。
給付現価を4つに切って考える
分類の道具は、給付現価をどう切るかである。
・:年金受給権者の給付現価 ・
財政方式が変えるのは費用の認識時期であって給付総額ではない
同じ給付を約束している限り、どの方式でも支払う給付の総額は変わらない。変わるのは保険料と積立金の水準だけである。制度変更や財政方式の変更を扱う設問(NEN040・U09)で、この点を取り違えると符号を逆にする。
積立金は給付現価のどこまでをカバーしているかで決まる
賦課方式は0、退職時年金現価積立方式は 、単位積立方式は
<計算の前提>
・加入年齢 57歳、定年年齢 60歳、予定利率 2.0 パーセント
・毎年期初に 1,000 人が 57 歳で加入する定常状態
・残存数 l57 は 1,000、l58 は 900、l59 は 800、l60 は 700
・中途脱退者に給付はなく、定年到達者に 60 歳から年金額 1 の終身年金を年1回期初払い
・年金受給権者の年生存率は一定で、予定利率と合わせて (したがって
単位積立方式の積立金がカバーしている範囲として正しいものはどれか。
定常状態で成り立つ C = B - dF(C は保険料総額、B は給付総額、F は積立金)から言えることとして正しいものはどれか。
Trowbridgeモデルの6方式(理論的分類)と、日本の確定給付企業年金の方式(実務的分類)の両方に登場する方式はどれか。
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積立金がこの4つのうちどこまでをカバーしているか——それが財政方式の正体である。賦課方式は0、退職時年金現価積立方式は まで、単位積立方式は まで、加入時積立方式は まで、完全積立方式は全部。
理論の分類と実務の分類は別の切り口
本試験には2系統の名前が出てくる。混ぜると混乱する。
・理論的な分類(Trowbridgeモデルの6方式):賦課/退職時年金現価積立/単位積立/平準積立/加入時積立/完全積立。積立の深さで並べるための物差し ・実務的な分類(日本の確定給付企業年金):加入年齢方式/開放基金方式/到達年齢方式/単位積立方式/総合保険料方式。標準保険料をどう決めるかの手続き
単位積立方式だけは両方に顔を出す。
保険料と積立金は必ず逆順に並ぶ
定常状態では、保険料総額 ・給付総額 ・積立金 の間に
が成り立つ()。 は方式によらず同じなので、積立金が大きい方式ほど保険料は小さい。順序が逆になるのは覚える話ではなく、この1行の帰結である。
理論の6方式と実務の方式は別の切り口
Trowbridgeモデルの6方式は積立の深さで並べるための物差し、加入年齢方式・開放基金方式・到達年齢方式・総合保険料方式は標準保険料の決め方の手続きである。本試験は同じ設問の中で両方の名前を使う(2020年度問題1(5)は ・・・ を定義したうえで開放型総合保険料方式を混ぜてくる)。
定常状態では C = B - dF が全方式で成り立つ
収支式 を整理すると得られる。 が共通なので、保険料の大小関係と積立金の大小関係は必ず逆順になる。順序を丸暗記せず、この式から復元できるようにしておくと「誤っているものを全て選べ」形式に強い。
本試験はこの概念を単独では問わないが、U04の177点すべての前提になる
10年分の過去問で「財政方式の分類」だけを問う小問は0問である。しかし財政方式の単元は10年すべてで出題され配点は177点あり、そのすべてが方式名を共通言語として使う。分類を押さえていないと問題文の1行目で止まる。
この制度の年間給付総額は である。6つの方式について、定常状態の保険料総額 と積立金 を並べると次のようになる。
・賦課方式 、
・退職時年金現価積立方式 、
・単位積立方式 、
・平準積立方式 、
・加入時積立方式 、
・完全積立方式 、
は上から下へ小さくなり、 は上から下へ大きくなる。どの行でも
が成り立っていることを確かめてほしい。たとえば単位積立方式なら である。6つの方式は別々の公式ではなく、1本の直線の上に並んだ6点である。