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年金数理・用語・財政方式の体系
財政方式どうしを公平に比べるための実験室。定年退職者だけに、定年時から年金額1の終身年金を払う——ここまで単純にすると、6つの方式の保険料と積立金がすべて同じ土俵で計算できる。
定常状態では、期初の積立金に保険料を足し給付を引いて1年運用すると元の積立金に戻る。整理すると C = B - dF が出る。
定常人口・単一加入年齢・定年時から終身年金という単純化のもとで、各財政方式の保険料と積立金を比較できるようにしたモデル。本試験の財政方式比較はほぼこの枠組みで出る。
Trowbridge モデルとは、本試験が毎年冒頭で定義している次の制度である。
・定年退職者のみに、定年退職時より単位年金額(年金額1)の終身年金を年1回期初に支払う ・保険料の払い込みは年1回期初払い ・必ずしも定常人口を仮定しない
最後の1行は本試験がわざわざ書き添えている。定常人口は追加の仮定であって、モデルの定義には含まれない。設問が「定常人口のとき」と書いていなければ、定常状態の公式を持ち込んではいけない。
中途脱退者に給付がないのが効いている
このモデルでは中途脱退者に一切給付がない。だから 歳の被保険者1人あたりの給付現価は
Trowbridgeモデルは定常人口を仮定しない
本試験は10年すべての冒頭で「Trowbridgeモデルの年金制度は必ずしも定常人口を仮定するものではない」と明記している。定常状態の公式(C = B - dF や各方式の積立金の算式)は、設問が「定常人口のとき」「定常状態に達している」と書いている場合にだけ使える。
給付が定年時の1点に集中するので給付現価は D だけで書ける
中途脱退者に給付がないため
<計算の前提>
・加入年齢 57歳、定年年齢 60歳、予定利率 2.0 パーセント
・毎年期初に 1,000 人が 57 歳で加入する定常状態
・残存数 l57 は 1,000、l58 は 900、l59 は 800、l60 は 700
・定年到達者に 60 歳から年金額 1 の終身年金を年1回期初払い、
年金受給権者の数は定常状態で 8,536.59 人になる。全員に年金額1を払うので
本試験が毎年定義しているTrowbridgeモデルの説明として正しいものはどれか。
定常状態の収支式 F = (F + C - B)(1 + i) を C について解いた式として正しいものはどれか。
年間給付総額 B = 8,536.59、d = 0.0196078 の制度が退職時年金現価積立方式で運営され、定常状態の積立金が 78,365.85 であるとき、年間保険料総額に最も近いものはどれか。
関連問題は現在準備中です。
の1本で書ける。給付が定年時の1点に集中しているので、計算基数は だけで足りる。 や が出てこないのがこのモデルの軽さである。
定常状態の収支式が1本ある
定常人口を仮定し、毎年の保険料総額 ・給付総額 ・期初の積立金 が一定になっている状態を考える。期初に保険料を受け取り、同じ期初に年金を支払い、残りを1年運用すると翌年の期初になる。
これを について解くと
を得る。財政方式の比較問題は、ほとんどがこの1行の上で起きている。 は方式によらないので、 と は一方が決まれば他方が決まる。
6つの方式は保険料の決め方だけが違う
・賦課方式:その年の給付をその年の保険料でまかなう。 ・退職時年金現価積立方式:定年到達時に年金現価を一括で積む。 ・単位積立方式:その年に発生した給付の増分だけを積む。 ・平準積立方式:各人が加入から定年まで一定額を払う。 ・加入時積立方式:加入時に給付現価の全額を積む。 ・完全積立方式:将来加入見込者の分まで積み終えている。
定常状態の収支式は期初払い・期初払いで立てる
。保険料も年金も期初なので、両方を加減してから1年ぶん利息を付ける。給付が期末払いの制度(2025年度問題1(4)など)では のように形が変わるので、支払時期を必ず確認する。
方式の違いは保険料の決め方だけで、給付側は共通
2016年度問題1(4)・2018年度問題1(3)・2019年度問題1(3)はいずれも、各財政方式の保険料の算式を並べて誤りを全て選ばせる(各5点)。分母(人数現価か給与現価か、どの年齢から足すか)が論点で、分子の給付現価は共通である。
賦課方式ならこれをそのまま保険料でまかなうので 、 である。
退職時年金現価積立方式は、毎年 700 人が定年に到達したときに年金現価 を積むので
このとき積立金は を について解いて
この は、当期に定年到達した700人を除いた年金受給権者の給付現価と一致する(当期の700人分は今まさに保険料として払い込まれるところなので、期初の積立金にはまだ入っていない)。式から出した値と、意味から組み立てた値が一致することを必ず確かめる習慣をつけておくとよい。