責任準備金の再帰式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・定理・標準保険料と責任準備金
ひとことで言うと
責任準備金を年度でつなぐ式。制度全体の期初の責任準備金に当年度の標準保険料収入を足して1年運用し、当年度に支払った給付を差し引くと期末の責任準備金になる。予定どおりに動いたときの「あるべき動き」を書いた式なので、実績との差がそのまま差損益になる。
期初の責任準備金と標準保険料収入を予定利率で1年繰り上げ、その年度に実際に支払った給付を差し引くと期末の責任準備金になる。総額で書いているので割り戻しが要らない。
数式で表すと
(Vt+Pt)(1+i)−Bt=Vt+1 責任準備金の再帰式は、制度全体の責任準備金を1年ずつつなぐ式である。
(Vt+Pt)(1+i)−Bt=Vt+1
試験に出る性質
将来法の定義から導ける恒等式である
St=v(Bt+St+1)
例で見る
<計算の前提>(NEN041〜NEN043 と同じ制度)
・加入年齢57歳、定年年齢60歳、予定利率 2 パーセント
・在職者数 l57=1,000、l58=900
つまずきポイント
- 1人あたりの値をそのまま入れない。総額ベースの式なので、1人あたりで回すなら残存者数の比 lx+1lx が要る(それがファクラーの再帰式)。
- Bt
定着クイズ
Q1制度全体の責任準備金を (Vt+Pt)(1+i)−Bt=Vt+1 でつなぐとき、ファクラーの再帰式にある残存者数の比 lx+1lx が現れないのはなぜか。
Q2責任準備金の再帰式 (Vt+Pt)(1+i)−Bt=Vt+1 の Bt に入れる金額はどれか。
Q3予定利率は 2 パーセント。59歳時点の責任準備金は総額 4,872.390、その年度の標準保険料収入は 1,990.355、定年到達者への給付支払は 7,000 である。60歳時点の責任準備金に最も近いものはどれか。
この用語を扱う問題(0)
関連問題は現在準備中です。
責任準備金の年度間の関係。期首の責任準備金と保険料を利息で繰り上げ、当年度の給付を差し引くと期末の責任準備金になる。財政決算の差損益分解の骨格になる。
Vt は第 t 年度期初の責任準備金(総額)、Pt はその年度の標準保険料収入(総額)、Bt はその年度に実際に支払った給付(総額)、i は予定利率である。
NEN043 の将来法の定義 V=S−PG を1年ぶんずつ分解する。給付現価も保険料収入現価も
St=v(Bt+St+1)
PGt=Pt+vPGt+1
と書ける(v=1+i1)。差を取ると
Vt+Pt=v(Bt+Vt+1)
となり、両辺を 1+i 倍すれば上の式になる。恒等式なので、暗記ではなく定義から出せる。
NEN056 のファクラーの再帰式は同じことを給与1あたり・1人あたりで書いたものである。1人あたりに直すと
・脱退者の持分を残った人に配分する lx+1lx
・給与1あたりに直す bx+1bx
の2つの割り戻しが必要になる。本概念は総額で書くので、この2つが要らない。脱退は給付現価と保険料収入現価の中にすでに織り込まれているからである。「どちらの式を使うか」ではなく「総額で書いているか1人あたりで書いているか」を先に決める。
(Ft+Ct)(1+i′)−Bt=Ft+1
Ct は実際の掛金収入、i′ は実際の運用利回りである。責任準備金の側は予定、積立金の側は実績で回っているので、2本の差を取ると未積立債務 U=V−F の1年間の動きになる。財政決算で利源分解(NEN064)や利差(NEN065)を計算するときの骨格がこれである。差損益の単元がこの1行の上に乗っている。
と
PGt=Pt+vPGt+1 の差を取るだけで出る。暗記する式ではなく、
(NEN043)を1年ぶんずつ分解した形である。導出を求められたらこの2行を書けばよい。
ファクラーの再帰式との違いは総額か1人あたりか
NEN056 は同じ関係を給与1あたりで書くので lx+1lx(残存者への配分)と bx+1bx(給与1あたりへの割り戻し)が前に付く。本概念は総額なので付かない。設問がどちらの粒度で数値を与えているかを最初に確認する。
積立金の漸化式と対にすると差損益分解になる
積立金は (Ft+Ct)(1+i′)−Bt=Ft+1 で動く。責任準備金の側は予定利率、積立金の側は実績利回りなので、2本の差が未積立債務 U=V−F の動きになる。財政決算の利源分解(NEN064)・利差(NEN065)はここから読む。
単独で問われた実績は10年で0行だが、財政決算の大問が暗黙に使う
10年分の出題箇所を主概念で数えると本概念に当たる行は0行・0点である(2026-08-18 実測)。一方で財政決算・差損益の大問はこの1行を前提に「表を埋めてから利差を逆算する」形で毎年のように出る。出題頻度で優先順を付けると落ちるが、外すと下流の単元が読めなくなる型の概念である。
制度発足直後は0から始まり、給付を払い切ると0に戻る
加入時点で収支相等が成り立つので、V は0から積み上がり、最後の給付でちょうど相殺される。設例では 0→2,537.703→4,872.390→0 となる。最終年度が0にならなければ、保険料か給付の年度がずれている。
、
l59=800 、
l60=700
・定年到達者に給与1あたり10倍の一時金を支給する(在職中の脱退には給付なし)
・標準保険料 P=2.487944(NEN042 で求めた値・給与1あたり)
制度発足時なので V57=0(NEN043(4))。保険料収入は 1,000×2.487944=2,487.944、この年度の給付支払は0だから
V58=(0+2,487.944)×1.02−0=2,537.703
1人あたりに直すと 9002,537.703=2.819670 で、将来法の S58−PG58=7.475757−2.487944×1.871460 と一致する。2つの経路で同じ値が出る。
保険料収入は 900×2.487944=2,239.150、給付支払はまだ0である。
V59=(2,537.703+2,239.150)×1.02−0=4,872.390
1人あたりは 8004,872.390=6.090487 で、これも将来法の 8.578431−2.487944×1.000000 と一致する。
保険料収入は 800×2.487944=1,990.355、定年到達者700人への給付総額は 700×10=7,000 である。
V60=(4,872.390+1,990.355)×1.02−7,000=7,000.000−7,000=0
責任準備金がちょうど給付を払い切って0になる。これは偶然ではなく、加入時点で収支が相等するように P を決めたことの帰結である。
3年ぶんの推移 0→2,537.703→4,872.390→0 は、各年度で将来法 V=S−PG を計算しても同じ値になる。漸化式で進めた値と将来法の値がずれたら、給付の年度か利息の付け方のどちらかを間違えている。
はその年度に実際に支払う給付であって、給付現価でも脱退者の責任準備金でもない。
予定利率 i で回すのは予定どおりに動いた場合。実績の運用利回りで回した積立金との差が利差になる。 期初払いの保険料には1年ぶんまるごと利息が付く。期央払い・期末払いの前提だと係数が変わる。測定時点の指定(保険料払い込み前か後か)で答が変わる。拠出1回ぶんのずれがそのまま効く。