選択表・終局表とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・用語・生命関数・生命表・定常人口
ひとことで言うと
保険に入るときの健康状態の審査を通った直後は、同じ年齢の人より死亡率が低い。この「審査の効き目」が残っている間だけ低い死亡率を使い、効き目が切れたら普通の生命表に戻す、という二段構えの生命表。効き目が残っている期間を選択期間、切れた後の表を終局表という。
| 加入年齢 | q[x] | q[x]+1 | 終局表 qx+2 | 到達年齢 |
|---|
| 60歳加入 | 0.0050 | 0.0068 | 0.0092 | 62 |
|---|
| 61歳加入 | 0.0055 | 0.0075 | 0.0101 | 63 |
|---|
| 62歳加入 | 0.0061 | 0.0083 | 0.0111 | 64 |
|---|
- Aさん(60歳加入・現在62歳)は経過2年で選択期間を抜けるので終局表 0.0092
- Bさん(61歳加入・現在62歳)は経過1年なので選択表 0.0075
同じ62歳でも、加入がいつだったかで使う死亡率が変わる(選択期間2年の例)
選択表は行が加入年齢、列が加入からの経過年数。同じ到達年齢でも加入時期が違えば引く欄が違う。数式で表すと
q[x]+t (t<r),qx+t (t≥r) 選択表は行=加入年齢 x、列=加入からの経過年数 tで読む。加入年齢 x の人が経過 t 年目に死亡する率を q[x]+t
試験に出る性質
同じ到達年齢でも、加入年齢が新しいほど死亡率が低い
到達年齢を固定して縦に見ると q[x]<q[x−1]+1<q[x−2]+2<⋯<qx
例で見る
選択期間2年の表として、次の値が与えられているとする(図と同じ表)。
q[60]=0.0050,q[60]+1=0.0068,q62=0.0092
つまずきポイント
- 到達年齢だけで表を引かない。選択表は加入年齢と経過年数の2つがそろって初めて欄が決まる。
- 選択期間を過ぎた人に選択表の値を使わない。上の例でBさんを終局表で読むと答えが大きくずれ、選択肢の範囲から外れることがある。
- 「いずれか1人だけが生存」は pA(1−pB)+pB(1−pA)
定着クイズ
Q1選択期間が3年の選択表・終局表がある。45歳のときに加入した人が48歳になった。この人の48歳から49歳までの死亡率として使うべきものはどれか。
Q2選択期間が3年の表で、到達年齢が同じ x 歳である4人の死亡率 q[x]、q[x−1]+1、q[x−2]+2、qx の大小関係として正しいものはどれか。
Q3pA=0.98、pB=0.99 のとき、2人のうちちょうど1人だけが生存している確率に最も近いものはどれか。
(
:選択期間)。到達年齢を固定すると
q[x]<q[x−1]+1<⋯<qx
加入時の健康選択の影響を織り込んだ生命表。加入直後は選択効果で死亡率が低く(選択期間)、一定年数経過後は終局表に合流する。[x]+tの記法で選択後経過を表す。
と書き、角括弧
が「その年齢で加入した」という印になる。
選択期間を r 年とすると、t<r の間は選択表の q[x]+t を使い、t≥r になったら加入年齢によらず終局表の qx+t に合流する。合流後は、いつ加入した人かを区別する必要がなくなる。
生存確率は、選択期間を抜ける前後で引く欄を切り替えながら順に掛ける。選択期間が3年で、47歳加入・現在48歳(経過1年)の人が5年生存する確率なら
5p[47]+1=(1−q[47]+1)(1−q[47]+2)(1−q50)(1−q51)(1−q52)
到達年齢を固定して縦に見ると、加入が新しい人ほど死亡率が低い。到達年齢 x に対して
q[x]<q[x−1]+1<q[x−2]+2<⋯<qx
が並び、右へ行くほど選択効果が薄れていく。いちばん右の qx が終局表の値である。
の順に並び、いちばん右の終局表の値が最も大きい。加入時の健康状態の審査を通った直後ほど死亡率が低いという事実を表している(2016年度問題1(2))。
選択期間を過ぎると加入時期の違いは消え、全員が終局表の同じ行に合流する
選択期間を r 年とすると、経過 t≥r では加入年齢によらず qx+t(終局表)を使う。したがって同じ到達年齢の人でも、選択期間内にいるか抜けているかで引く欄が変わる(2016年度問題1(2))。
生存確率は、選択期間を抜ける前後で引く欄を切り替えながら掛け合わせる
複数年の生存確率を出すときは、はじめの数年が選択表、残りが終局表になる。加入年齢の違う2人を比べる設問では、2人が切り替わる時点が別々になるため、それぞれ別の行から拾う必要がある(2016年度問題1(2))。
q[61]=0.0055,q[61]+1=0.0075,q63=0.0101
Aさんは60歳で加入し、Bさんは61歳で加入して、2人とも現在62歳である。
Aさんは経過2年なので選択期間を抜けており、今後は終局表を使う。
2pA=(1−q62)(1−q63)=(1−0.0092)(1−0.0101)=0.98079
Bさんは経過1年なのでまだ選択期間内で、1年目だけ選択表の q[61]+1 を使い、2年目からは終局表に合流する。
2pB=(1−q[61]+1)(1−q63)=(1−0.0075)(1−0.0101)=0.98248
2pA(1−2pB)+2pB(1−2pA)=0.03606
2人とも生存する確率 0.96361 と、2人とも死亡する確率 0.00034 を足すと1になる。
であって、
(少なくとも1人が死亡)ではない。
終局表の行は到達年齢で引く。選択表の行番号(加入年齢)のまま横に読み続けない。