開放型総合保険料方式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政方式の体系
ひとことで言うと
閉鎖型と同じ引き算をするが、これから入ってくる人のぶんまで分子と分母に足す。分母が桁違いに大きくなるので、いまの積立不足が薄まって保険料率に出にくくなる。
開放型と閉鎖型の違いは分母の大きさだけである。同じ積立不足に対する保険料率の反応が26.8倍違い、その差は将来加入者への負担の付け替えになっている。
数式で表すと
Pt=GtSt−Ft (将来加入者を含む) Pt=GtSt−Ft(将来加入見込者を含む)
試験に出る性質
式は閉鎖型と同じで中身だけが違う
P=(S−F)/G の S と G に将来加入見込者ぶんを足す。分子と分母の両方に足す点を落とさない。
分母が桁違いに大きい
定常状態のトイモデルでは Gf/Ga=25.81
例で見る
<計算の前提> 共通トイモデル。在職者 Sa=20,187.18・Ga=5,135.60、将来加入見込者 Sf=329,812.82
つまずきポイント
- 将来加入見込者ぶんを分母だけに足して分子に足し忘れる。S と G の両方に足す。
- 開放型のほうが保険料率が低いから財政的に健全だと読む。負担を将来加入者へ移しただけである。
- 定常状態でない制度に、在職者と将来加入者の比をそのまま当てはめる。比は制度の人員構成で決まる。
定着クイズ
Q1開放型総合保険料方式が閉鎖型と異なる点として正しいものはどれか。
Q2在職者と将来加入見込者を合わせた給付現価 350,000、同じく人数現価 137,700、積立金 5,000 のとき、開放型総合保険料方式による1人あたり保険料に最も近いものはどれか。
Q3同じ積立不足に対して、開放型総合保険料方式の保険料率の上がり幅が閉鎖型より小さいことの解釈として正しいものはどれか。
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将来加入見込者も対象に含めて、給付現価から積立金を控除した残りを給与現価で割る方式。閉鎖型と同じく未積立債務を別建てしない。
St=Sa+Sf、Gt=Ga+Gf と読む。式の形は閉鎖型とまったく同じで、違うのは $S$ と $G$ の中身だけである。
定常状態のトイモデルでは Gf/Ga=132,564.40/5,135.60=25.81 で、将来加入者ぶんが在職者ぶんの約26倍ある。したがって
GaGa+Gf=5,135.60137,700=26.81
同じ積立不足でも、開放型では閉鎖型の約 26.8 分の1しか保険料率に出てこない。
薄まったぶんは消えたのではなく、まだ入っていない将来の加入者の給与現価に付け替えられている。世代間の負担配分を変える方式だという理解が要る。財政的な健全性の指標として使うときは、この点を外さない。
分母が大きいぶん、積立金の悪化が保険料率に反映されにくい。2019年度 問題2(1) は運用利回りが 0.0 パーセントで推移したときに積立金がどうなるかを、2022年度 問題1(4) は実際の運用利回りが −1.0 パーセントで推移したときの積立金の推移を問うている。どちらもこの鈍さが主題である。
新規加入が安定して見込める制度でなければ Sf と Gf の見積り自体が当てにならない。将来加入見込みを動かすと保険料率が動くので、2019年度 問題1(5) は将来加入者数の見込みと将来の付与ポイントを引き上げたときの動きを問うている。
、合計は在職者だけの 26.81 倍になる。
積立不足への反応が鈍い
上がり幅は不足額を大きい分母で割るだけ。閉鎖型 0.469291 に対して 0.017502 で約26.8分の1。
薄まったぶんは将来加入者へ付け替えられている
消えたのではない。保険料率が低いことは財政の健全性を意味しない。
将来加入見込みの前提に結果が左右される
Sf・Gf の見積りが動けば保険料率が動く。2019年度 問題1(5) がこの感応度を問うている。
・
Gf=132,564.40 。合計は
S=350,000 、
G=137,700 でどちらも切りのよい値になる(
350,000=7,000/i 、
137,700=2,700/d )。
F=7,410.09 とすると
P=137,700350,000−7,410.09=137,700342,589.91=2.487944
閉鎖型と同じく加入年齢方式に一致する。定常状態では Sf/Gf=EP なので、等しい2つの比の加重平均が同じ値になるからである。
F=5,000(不足 U=2,410.09)とすると
P=137,700345,000=2.505447
上がり幅は 2,410.09/137,700=0.017502。閉鎖型の 0.469291 と比べると
0.0175020.469291=26.81=GaGa+Gf
比は分母の比そのものである。式を覚えなくても、どちらの分母で割ったかを見れば答えが出る。
不足 2,410.09 のうち、在職者が背負うのは 2,410.09×5,135.60/137,700=89.89 相当で、残りの約 96 パーセントは将来加入者の給与現価に乗っている。保険料率が低いことは健全であることを意味しない。