閉鎖型総合保険料方式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政方式の体系
ひとことで言うと
いまいる被保険者だけを見て、これから要る給付の現価から手元の積立金を引き、残りを全員の給与現価で割って保険料率を出す。過去のぶんと将来のぶんを分けず、まとめて1本の保険料率にする。
閉鎖型総合保険料方式の保険料率の組み立て。積立金が責任準備金と一致していれば、その責任準備金を生んだ方式の標準保険料率がそのまま出てくる。不足はそのぶん保険料率に乗る。
数式で表すと
Pt=GtSt−Ft (現在の被保険者のみ) Pt=GtSt−Ft(現在の被保険者のみ)
試験に出る性質
未積立債務を別建てしない
標準保険料と特別保険料に分けず、不足はそのまま保険料率に乗る。特別保険料という概念が出てこない。
毎年計算し直すので自動調整の性質を持つ
分子に積立金が入るため、積立状況が良くなれば保険料率は自動的に下がる。
積立金が責任準備金と一致すればその方式の標準保険料率になる
P=(S−V)/G=PE
例で見る
<計算の前提> 共通トイモデル(NEN026・NEN034・NEN037 と同じ)。在職者の給付現価(全期間)Sa=20,187.18、在職者の人数現価 Ga=5,135.60。加入年齢方式の標準保険料率は EP=2.487944
つまずきポイント
- 総合保険料方式にも特別保険料があると考える。未積立債務を別建てしないのがこの方式の定義である。
- 分子の給付現価を将来期間分だけにする。総合保険料方式は過去期間分を含めた全期間の給付現価から積立金を引く。
- 保険料率を一度決めたら固定だと考える。積立金が動けば毎年動く。
定着クイズ
Q1閉鎖型総合保険料方式の特徴として正しいものはどれか。
Q2在職者の給付現価 20,187.18、在職者の人数現価 5,135.60、積立金 5,000 のとき、閉鎖型総合保険料方式による1人あたり保険料に最も近いものはどれか。
Q3閉鎖型総合保険料方式において、積立金がある方式の責任準備金にちょうど等しいときの保険料率について正しいものはどれか。
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現在の被保険者だけを対象に、給付現価から積立金を控除した残りを給与現価で割って保険料率を決める方式。未積立債務を別建てせず保険料率に取り込む。
St は在職者の給付現価、Ft は積立金、Gt は在職者の給与現価(定額拠出なら人数現価)。
加入年齢方式や開放基金方式は「標準保険料+特別保険料」の二段構えで、未積立債務を特別保険料で別に償却する。総合保険料方式はその区別を置かず、不足があればそのぶん保険料率が上がる。だから特別保険料という概念が出てこない。
分子に積立金が入っているので、積立金が動けば保険料率も動く。積立状況が良くなれば自動的に下がり、悪くなれば上がる。自動調整の性質を持つのがこの方式の特徴である。
Ft が、ある方式の責任準備金 V にちょうど等しければ
Pt=GtSt−V=GtPEGt=PE
となり、その責任準備金を生んだ方式の標準保険料率に一致する。積立不足なら高く、剰余なら低く出る。ずれの大きさは (不足額)/Gt そのものである。
将来加入見込者を分母にも分子にも入れないので「閉鎖」。集団が閉じているのではなく、計算の対象を現在の被保険者に閉じているという意味である。2018年度 問題3 はこの方式での積立金の漸化式を、2019年度 問題4(2) は制度分割後の1人あたり保険料と、積立金が収束する先の定常状態を与える財政方式を問うている。
。トイモデルでは 2.487944 で加入年齢方式に一致する。
不足の乗り方は「不足額÷分母」
トイモデルでは 2,410.09/5,135.60=0.469291。開放型の 0.017502 の約26.8倍になる。
「閉鎖」は集団ではなく計算対象のこと
将来加入見込者を分子にも分母にも入れないという意味。2018年度 問題3・2019年度 問題4(2) が出題している。
、そのときの責任準備金は
V=Sa−EP×Ga=7,410.09 。
F=7,410.09 とすると
P=5,135.6020,187.18−7,410.09=5,135.6012,777.09=2.487944
加入年齢方式の標準保険料率とぴったり一致する。総合保険料方式が「不足がなければ普通の方式と同じ」ことの確認になる。
F=5,000(不足 U=2,410.09)とすると
P=5,135.6015,187.18=2.957235
上がり幅は 2,410.09/5,135.60=0.469291 で、不足額を分母で割っただけである。特別保険料を別に立てる方式なら、この 0.469291 が特別保険料率として分離される。
同じ不足を開放型総合保険料方式で処理すると上がり幅は 0.017502 にとどまる(NEN036)。差は分母だけで、閉鎖型は不足を現在の被保険者に全部背負わせている。