読み込み中…
読み込み中…
会計・用語・資産・有価証券の会計
値下がりに備えて先物を売っておいたのに、先物の利益だけ先に損益計算書へ出て、肝心の値下がりは純資産の中に隠れたまま——では、せっかくのヘッジが数字の上でバラバラに見えてしまう。両者の損益を同じ期に突き合わせるための特別扱いがヘッジ会計。
繰延ヘッジは両方を純資産に、時価ヘッジは両方を当期損益に置くことで、対象と手段の損益を同じ期に対応させる。
ヘッジ対象の損益とヘッジ手段の損益を同一の会計期間に認識し、ヘッジの効果を財務諸表に反映させる会計処理。方法は繰延ヘッジ会計(原則)と時価ヘッジ会計(容認)の2つ。
ヘッジ会計は、ヘッジ対象(値動きを打ち消したい資産・負債)の損益と、ヘッジ手段(先物・オプション・スワップ等のデリバティブ)の損益を、同一の会計期間に認識するための処理である。方法は2つある。
(1) 繰延ヘッジ会計(原則) ヘッジ手段であるデリバティブの時価評価差額を当期の損益とせず、純資産の部に「繰延ヘッジ損益」として繰り延べる。ヘッジ対象の損益が実現した期に、繰り延べていた損益を損益計算書へ振り替える。
(2) 時価ヘッジ会計(容認) ヘッジ対象のほうの評価差損益を当期の損益に計上し、ヘッジ手段の損益と同じ期に対応させる。金融商品に関する会計基準(32項)は繰延ヘッジ会計を原則とし、時価ヘッジ会計の採用も認めている。
繰延ヘッジ損益は貸借対照表の純資産の部において、その他有価証券評価差額金などと同じ「評価・換算差額等」の区分に表示される。その他の包括利益の構成要素でもある。
計算問題では、決算日のデリバティブの時価評価差額をそのまま繰延ヘッジ損益とする形が出る。
ヘッジ会計の方法は繰延ヘッジ会計と時価ヘッジ会計の2つで、原則は繰延ヘッジ会計
金融商品に関する会計基準(32項)は繰延ヘッジ会計を原則とし、時価ヘッジ会計の採用も認めている。2023年度問題1(1)は、この2つの名称を空欄2つで答えさせる語句空欄として出題された(問題1は語句空欄の冒頭問題で、空欄2つ分の配点がある)。
繰延ヘッジ会計では、ヘッジ手段であるデリバティブの評価差額を当期損益とせず純資産に繰り延べる
損益計算書を通さない点が通常のデリバティブ処理(原則は当期損益)との違い。ヘッジ対象の損益が実現した期に振り替える。
時価ヘッジ会計で当期損益に計上するのは「ヘッジ対象」の評価差損益
繰延ヘッジが手段側を動かすのに対し、時価ヘッジは対象側を動かす。どちらを動かすかで取り違えやすい。
繰延ヘッジ損益は純資産の部の「評価・換算差額等」に表示される
2021年度問題1(5)では、純資産の部の項目を問う設問の選択肢として繰延ヘッジ損益が登場している。その他の包括利益の構成要素でもある。
計算では決算日のデリバティブの時価評価差額がそのまま繰延ヘッジ損益になる
2020年度問題4(2)は、額面100円当たり110円で売り建てた国債先物1億円が決算日に100円へ低下した設定で、(110-100)×1億円÷100円=1,000万円を答えさせた。
例(2020年度 問題4(2)と同型)
F社は得意先企業の社債を2億円で取得してその他有価証券として保有しており、時価の下落に備えて国債先物2億円を額面100円当たり単価108円で売り建て、委託証拠金として現金300万円を差し入れた。決算日に社債の時価は1億9,200万円へ下落し、先物価格も単価102円へ低下した。F社は全部純資産直入法を採用し、税効果会計は適用しない。繰延ヘッジ会計を適用した場合の繰延先物利益を求める。
(1) 先物は売建てなので、価格が下がった分だけ利益になる。単価の下落幅 = 108 - 102 = 6円
(2) 想定元本2億円は額面100円当たりで数えるので、契約枚数に相当する倍率は 2億円 ÷ 100円
(3) 繰延先物利益 = 6円 × 2億円 ÷ 100円 = 1,200万円
この1,200万円は損益計算書に計上せず、純資産の部に繰延ヘッジ損益として計上する。委託証拠金300万円は担保として差し入れた現金であり、損益の計算には一切使わない。
ヘッジ会計の方法に関する記述として正しいものはどれか。
J社はその他有価証券として保有する社債の値下がりに備え、国債先物3億円を額面100円当たり単価106円で売り建て、委託証拠金として現金400万円を差し入れた。決算日に先物価格は単価101円へ低下した。繰延ヘッジ会計を適用した場合に計上される繰延先物利益はいくらか(税効果は考慮しない)。
繰延ヘッジ会計における処理として正しいものはどれか。