予定利率が期間で変わる保険とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・公式・計算基礎率の変更・感応度
ひとことで言うと
契約当初の k 年は予定利率 i、その後は j という保険。前半は i の記号で書き、後半は「x+k 歳から始まる j 基準の保険」とまるごと見なして、v(i)kkpx で前に引き戻す。この橋渡しの因子が i 基準の kEx である点が要である。
前半 k 年の割引には i、後半の給付評価には j を使う。両者をつなぐのは i 基準の据置現価であり、死亡率は変更対象外なので共通。
数式で表すと
Pxi,j=a¨x:k(i)+v(i)kkpxa¨x+k:m-k(j)Ax:k1(i)+v(i)kkpxAx+k(j) x 歳加入・保険料年払 m 年払込・保険金年度末支払・保険金額1・契約当初 k (<m) 年間の予定利率 i、k 年経過後の予定利率 j
試験に出る性質
前半と後半の橋渡しは v(i)kkpx(i
例で見る
死亡率が年齢によらず q=0.01 一定、契約当初 k=10 年間の予定利率 i=2.00%、以後 j=1.00%
つまずきポイント
- 後半のかたまりを v(j)k で引き戻してしまう。前半 k 年の割引はあくまで前半の利率 i である。
- t<k
定着クイズ
Q1契約当初 k 年間の予定利率が i、k 年経過後の予定利率が j の終身保険について、支出現価を Ax:k1(i)+□×Ax+k(j) と分解するとき、□ に入るものはどれか。
Q2同じ保険について、保険料年払 m 年払込(k<m)とするとき、第 k 保険年度末の平準純保険料式責任準備金(将来法)として正しいものはどれか。
Q3死亡率が年齢によらず q=0.01 で一定、予定利率が j=1.00% の終身保険(保険金年度末支払・保険金額1)の一時払純保険料 Ax(j) に最も近いものはどれか。
保険期間中で予定利率が段階的に変わる保険の純保険料・責任準備金。期間ごとの割引を分けて給付現価を評価する。
の終身保険を考える。
と
を付した記号は、それぞれの予定利率で計算されたものを表す。
支出現価・収入現価を「契約当初 k 年間」と「k 年経過後」に分けると、
支出現価=Ax:k1(i)+v(i)kkpxAx+k(j)
収入現価=P(a¨x:k(i)+v(i)kkpxa¨x+k:m-k(j))
となり、収支相等の原則から P が定まる。橋渡しの因子 v(i)kkpx は i 基準の据置現価 kEx そのものである。予定死亡率は変更されないので kpx は i でも j でも共通で、変わるのは割引だけである。
t=k のとき、以後は j だけの世界になるので i は一切現れない。
kV=Ax+k(j)−Pa¨x+k:m-k(j)
t<k のときは、保険料計算とまったく同じ2段構えの形が x+t 歳から始まる。
tV=(Ax+t:k-t1(i)+v(i)k−tk−tpx+tAx+k(j))−P(a¨x+t:k-t(i)+v(i)k−tk−tpx+ta¨x+k:m-k(j))
後半の記号が Ax+k(j)・a¨x+k:m-k(j) のまま動かない点に注意する。t が動いても「k 年経過後の世界」は同じであり、変わるのはそこへ届くまでの前半部分だけだからである。
終身保険でも払込は m 年で切れるので、支出現価の後半は終身の Ax+k(j)、収入現価の後半は残り払込期間の有期年金 a¨x+k:m-k(j) になる。期間をそろえないのが正しい。
基準の据置現価
)である
後半のかたまりを現在へ引き戻すのに使う利率は、その区間を実際に割り引く前半の i である。予定死亡率は変更対象外なので kpx は i・j で共通(2024年度問題3)。
t≥k の責任準備金には i が一切現れない
以後の給付も保険料も j 基準の記号だけで書ける。kV=Ax+k(j)−Pa¨x+k:m-k(j)(2024年度問題3⑤⑥)。
t<k の責任準備金は、保険料計算式と同じ2段構えが x+t 歳から始まった形になる
前半が Ax+t:k-t1(i)・a¨x+t:k-t(i) に変わるだけで、後半の Ax+k(j)・a¨x+k:m-k(j) は t が動いても変わらない(2024年度問題3⑦〜⑩)。
支出現価の後半は終身、収入現価の後半は残り払込期間の有期年金で、期間が食い違う
終身保険でも払込は m 年で切れるため。Ax+k(j) と a¨x+k:m-k(j) を機械的にそろえないこと(2024年度問題3)。
、保険料年払
年払込の終身保険を考える。
死亡率一定の終身保険では A=q+iq となるので
Ax+10(j)=0.01+0.010.01=0.5
Ax:101(i)=0.086031,a¨x:10(i)=8.775118,v(i)1010px=0.741908
後半の年金は a¨x+10:10(j)=9.154373。したがって
支出現価=0.086031+0.741908×0.5=0.456985
収入現価=P(8.775118+0.741908×9.154373)=15.566823P
P=15.5668230.456985=0.029356
このとき 10V=0.5−0.029356×9.154373=0.231261 となる。橋渡しを誤って v(j)10 にすると P=0.030448 となり、約 3.7% ずれる。
の責任準備金を「
基準の記号だけ」で書いてしまう。
の間は前半の
の世界がまだ残っている。
支出現価と収入現価の後半の期間をそろえてしまう。支出は終身、収入は残り m−k 年である。 予定死亡率まで変わったと考えてしまう。変わっているのは予定利率だけなので kpx は共通である。