死力・利力変化の感応度とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・定理・計算基礎率の変更・感応度
ひとことで言うと
死力を一律 c だけ増やすことは、生存確率に e−ct を掛けることと同じ。これは割引を強めるのとまったく同じ形なので、「生存で割り引く」部分(年金現価)は利力と死力の和にしか反応しない。ただし割引率 d=1−v は利力だけで決まるので、そこにだけ差が残る。
死力の加算は生存確率に指数の割引を掛けるのと同じなので年金現価は利力と死力の和にしか反応しないが、割引率は利力だけで決まる。
数式で表すと
tpx(c)=e−cttpx 死力を μx+t から μx+t+c に変えると、生存確率は次のようになる。
tpx(c)=exp(−∫0t(μx+s+c)ds)=e−ct⋅tpx
試験に出る性質
死力を一律 c だけ加算すると、生存確率に e−ct が掛かる
tpx(c)=e−ct⋅tpx
例で見る
予定利率 i=2.00%、死力は年齢によらず一定とする養老保険を考える。ここから
・利力を 0.005 だけ加算した場合の年払純保険料を PA
・死力を 0.005 だけ加算した場合の年払純保険料を PB
つまずきポイント
- 「死力を増やす=利力を増やす」と考えて、割引率 d まで同じように変わると思ってしまう。d=1−e−δ は利力だけで決まる。
- f′(0)
定着クイズ
Q1死力を μx+t から μx+t+c に一律に変更したとき、生存確率 tpx(c) はどう表されるか。
Q2x 歳加入・保険金年度末支払・保険金額1・保険期間 n 年の養老保険で、0≤t≤n において死力を μx+t から μx+t+c に変更した場合の一時払純保険料を f(c) とする。f′(0) に等しいものはどれか。
Q3予定利率 i=2.00%、死力は年齢によらず一定の養老保険について、利力を0.005だけ加算した場合の年払純保険料を PA、死力を0.005だけ加算した場合の年払純保険料を PB とする。PB−PA に最も近いものはどれか。
、
f(c)=1−da¨x:n(c) のとき
f′(0)=d(Ia)x:n-1
死力・利力の微小変化に対する保険料・準備金の感応度。基礎率の変化を微分で捉え、近似的な変化量を評価する。
つまり c の加算は、vt を e−ctvt に置き換えるのと同じである。年金現価は
a¨x:n(c)=∑t=0n−1vte−cttpx
となり、これを c で微分して c=0 とおくと
dcda¨x:n(c)c=0=−∑t=1n−1tvttpx=−(Ia)x:n-1
期間が n ではなく n−1 になるのは、t=0 の項に t が掛かって消えるためである。養老保険の一時払純保険料は Ax:n=1−da¨x:n なので、死力加算 c の関数として
f(c)=1−da¨x:n(c) ,f′(0)=d(Ia)x:n-1
このときは vttpx=e−(δ+μ)t となるので
a¨x:n=1−e−(δ+μ)1−e−(δ+μ)n
となり、年金現価は δ+μ の和だけで決まる。したがって「利力に c を足す」場合と「死力に c を足す」場合で年金現価は完全に一致する。
一方、養老保険の年払純保険料は P=a¨x:n1−d であり、d=1−e−δ は利力だけで決まる。第1項が一致するので、差は d の差だけになる。利力に c を足したものを PA、死力に c を足したものを PB とすると
PB−PA=dA−dB=e−δ−e−(δ+c)=v(1−e−c)
。割引率を
にしたのとまったく同じ形になる(2019年度問題2(4))。
養老保険の一時払純保険料を死力加算 c の関数 f(c) とすると、f′(0)=d(Ia)x:n-1 になる
f(c)=1−da¨x:n(c)
死力が年齢によらず一定なら、年金現価は利力と死力の和だけで決まる
vttpx=e−(δ+μ)t なので、利力に c を足しても死力に c を足しても a¨x:n は同じ値になる(2025年度問題1(4))。
利力加算と死力加算で年払純保険料に差が出るのは、割引率 d の部分だけである
P=a¨x:n1−d の第1項が一致するので PB−PA=v(1−e−c)。年齢・期間・生命表が答に一切現れない(2025年度問題1(4))。
とする。死力一定なので年金現価は δ+μ の和だけで決まり、どちらの場合も和が 0.005 増えるだけなので a¨ は完全に一致する。したがって
PB−PA=dA−dB=e−δ−e−(δ+0.005)=v(1−e−0.005)
=1.021×0.0049875=0.0048897
となる。年齢・期間・生命表の中身は一切使わずに答が出る点が、この型の特徴である。
の
の期間を
としてしまう。正しくは
である。
感応度(微分)と有限の変化を混同する。c=0.01 のような有限の変化を問う設問では、微分ではなく厳密な差を計算する。 ec の近似(たとえば e0.01=1.01)が与えられているのに使わない。選択肢の刻みが 0.00002 程度なので、与えられた近似を使わないと隣の選択肢に着地する。 を微分するだけで出る。期間が
ではなく
なのは、
の項に
が掛かって消えるため(2019年度問題2(4))。