予定利率の感応度(微分)とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・定理・計算基礎率の変更・感応度
ひとことで言うと
予定利率を1.5%から1.6%へ、といったわずかな変更なら、いちいち全部計算し直さなくても「傾き×変化幅」で保険料の動きが分かる。その傾きが予定利率による微分で、計算すると累加型の年金現価や一時払純保険料(Iä や IA)がきれいに現れる。金利リスクの感応度分析の出発点であり、生保数理では大問1本ぶんの主題になっている。
予定利率のわずかな変更なら、接線の傾き dP/di に変化幅 Δi を掛けた1次近似で保険料の変化を評価できる。Δi が大きいほど誤差は広がる。
数式で表すと
∂i∂a¨x:n=−v(Ia)x:n-1,Px:n=a¨x:n1−d ⇒ ∂i∂Px:n=(a¨x:n)2v(Ia)x:n-1−v2 予定利率iの微小な変化に対する保険料・準備金の変化を、iによる微分で評価する。出発点は割引率の微分
v=1+i1,didv=−v2
試験に出る性質
didAx=−1+i(IA)x
例で見る
設定:40歳加入・保険期間20年・保険金額1の養老保険、予定利率i=3%、死力μ=0.02。
(1) 基礎量
a¨40:20=13.006197,(Ia¨)40:20=115.476830
つまずきポイント
- didv=−v2(−v ではない)。ここを落とすと v
定着クイズ
Q1終身保険の一時払純保険料 Ax の予定利率による微分 didAx を表す式はどれか。
Q2ある養老保険で didP=−0.3545 であるとき、予定利率を 3.0% から 3.1% に引き上げた場合の年払純保険料の変化の近似値に最も近いものはどれか。
Q3ΔP≈didPΔi という近似について正しいものはどれか。
予定利率の微小変化に対する保険料・責任準備金の感応度。利率で微分して近似変化を求め、金利リスクの評価に用いる。
である。これを各定義式に代入して項別に微分すればよい。
① 年金現価:a¨x:n=t=0∑n−1vttpx より
dida¨x:n=−vt=0∑n−1tvttpx=−v[(Ia¨)x:n−a¨x:n]
((Ia¨)x:n=∑t=0n−1(t+1)vttpx を使った。tではなくt+1から始まる定義なのでa¨を引く補正が入る。)
② 一時払純保険料:Ax=t≥0∑vt+1tpxqx+t より
didAx=−vt≥0∑(t+1)vt+1tpxqx+t=−v(IA)x=−1+i(IA)x
累加型の一時払純保険料がそのまま現れ、1+i1倍が付くのが特徴である。定期保険Ax:n1も同じ形になる。
③ 年払純保険料:P=a¨A に商の微分を適用して
didP=a¨1didA−a¨2Adida¨
である。①②を代入すれば(IA)と(Ia¨)だけで書ける。
④ 近似計算:予定利率をiからi+Δiへ変えたときの保険料変化は
ΔP≈didPΔi
で見積もる。これは接線による1次近似なので、Δiが大きいほど誤差が広がる。試験は0.1%程度の変更幅(例:1.5%→1.6%)で出題され、この範囲なら誤差は1%未満に収まる。
責任準備金tV=Ax+t:n-t−Pa¨x+t:n-t の感応度も同じ道具立てで、Pがiに依存することを忘れずに積の微分を使う。
——累加型の一時払純保険料が現れ
倍が付く
vt+1 を微分すると −(t+1)vt+2 になり、(t+1) の重みが付いた和=(IA)x に v が1つ余る。2025年度問題2(4)は終身保険の didAx を表す式を選ばせる問題で、この形をそのまま知っているかが問われる。
dida¨x:n=−v[(Ia¨)x:n−a¨x:n]
(Ia¨) の定義が t+1 から始まるため、t の重みに直す補正として a¨
年払純保険料の感応度は商の微分で組み立てる
didP=a¨1didA−a¨2Adida¨。P が i に依存することを忘れると責任準備金の感応度で符号を落とす。
近似 ΔP≈didPΔi の誤差は Δi とともに広がる
接線による1次近似のため。40歳20年養老(i=3%・μ=0.02)で didP=−0.35448 のとき、Δi=+0.1% なら誤差率0.49%だが Δi=+1% では5.01%に広がる。2021年度問題3(1)(ⅱ) は 1.5%→1.6% という0.1ポイントの変更で近似計算をさせている。
A40:20=0.621179,P=0.047760
また、Aの微分に現れる累加型の和(満期給付をn倍して加えたもの)は9.642794である。
(2) 各微分(v=1.031=0.970874)
dida¨=−0.970874×(115.476830−13.006197)=−99.486052
didA=−0.970874×9.642794=−9.361936
いずれも数値微分(中心差分)と小数第6位まで一致する。
didP=13.006197−9.361936−13.00619720.621179×(−99.486052)=−0.719805+0.365323=−0.354482
(4) 近似の精度Δi=+0.1%:近似 −0.00035448、実際 −0.00035276、誤差率 0.49%
Δi=+1.0%:近似 −0.00354482、実際 −0.00337580、誤差率 5.01%
試験が扱う0.1ポイント程度の変更なら1次近似で十分な精度が出る。
の個数が1つずれて答えの選択肢が変わる。
(Ia¨) は t+1 から始まる定義。t の重みに直すため a¨ を引く補正を忘れない。 近似は1次なので Δi が大きいと誤差が広がる。「近似だから誤差はない」と考えず、変更幅が大きい問題では計算し直す。 責任準備金の感応度では P 自身が i の関数であることを忘れない。tV=A−Pa¨ の第2項は積の微分になる。 を引く。2021年度問題3(1)(ⅰ) は年金現価と定期保険の一時払純保険料の予定利率に関する微分を空欄①〜⑨で導出させる大問(10.0点)で、U10唯一の大問である。