予定死亡率の変更とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・公式・計算基礎率の変更・感応度
ひとことで言うと
予定死亡率を下げると「みんな長生きする前提」になる。死亡保障は安くなり、年金や生存保険は高くなる——ここまでは直感どおり。試験が狙うのはその先で、「必ず小さくなるものをすべて選べ」と問われたときに、養老保険の一時払純保険料が減るのか、生存保険の保険料が減るのかを、恒等式で言い切れるかどうかが分かれ目になる。
予定死亡率を引き下げると、年金現価と生存保険は増え、死亡保障の一時払・年払純保険料は必ず減る。恒等式で向きが確定するのが予定死亡率の変更の特徴。
数式で表すと
Ax:n=1−da¨x:n,Px:n=a¨x:n1−d 予定死亡率を引き下げる(すべての年齢でqx+tを小さくする)と、生存確率tpxが各項で増える。ここから各量の向きが次のように決まる。
・年金現価 a¨x:n=∑vttpx
試験に出る性質
予定死亡率を引き下げると必ず小さくなるのは Ax:n・Ax:n1
例で見る
設定:40歳加入・保険期間20年・保険金額1の養老保険、予定利率i=3%固定。死力をμ=0.02からμ=0.015へ引き下げる(=予定死亡率の引下げ)。死力を μ=0.020
つまずきポイント
- 「予定死亡率を下げれば何でも安くなる」は誤り。年金現価・生存保険・生存保険の保険料は逆に大きくなる。
- A1 の向きを ∑vt+1tpxqx+t
定着クイズ
Q1予定利率を一定に保ったまま予定死亡率を引き下げたとき、a¨x:n・Ax:n・Ax:n1・Px:n・Px:n1(生存保険)・Px:n1(定期保険)のうち、必ず値が小さくなるものの組み合わせはどれか。
Q2予定死亡率の引下げに対して Px:n が必ず小さくなると即断できる理由はどれか。
Q340歳加入・保険期間20年の契約(予定利率 3%)で死力を 0.020 から 0.015 に引き下げたところ、20E40 は 0.371140→0.410173、a¨40:20 は 13.006197→13.534150 となった。20年満期の生存保険の年払純保険料はどうなるか。
。
を下げると
・
nEx↑ で、
が不変なので
・
が確定する(生存保険の年払純保険料
Px:n1=nEx/a¨x:n だけ向きが決まらない)
予定死亡率を変更したときの保険料・責任準備金の変化。死亡率変更が危険保険料・準備金に与える影響を評価する。
:
増加
・生存保険
nEx=vnnpx :
増加
Ax:n=1−da¨x:n,Px:n=a¨x:n1−d
を使う。予定利率は変えていないのでdは定数である。したがって
・養老保険の一時払純保険料 Ax:n :a¨が増える分だけ必ず減少
・養老保険の年払純保険料 Px:n :a¨1が減る分だけ必ず減少
さらにAx:n1=(1−da¨)−nEx は右辺の両項が減る向きなので必ず減少、Px:n1=a¨A1 は分子が減り分母が増えるので必ず減少である。
一方、生存保険の年払純保険料 Px:n1=a¨x:nnEx は分子・分母がともに増えるので向きが決まらない(通常は増加する)。
記法の確認:肩の1をxの上に置けば定期保険(Ax:n1・Px:n1)、nの上に置けば生存保険(Ax:n1・Px:n1)である。本試験でも同じ設問の中に両方が並ぶので、位置で読み分ける。
この判定をそのまま問うのが2022年度問題2(2)で、正解は(B)Ax:n・(C)Ax:n1・(D)Px:n・(F)Px:n1 の4つである。
責任準備金への影響は将来法 tV=Ax+t:n-t−Pa¨x+t:n-t を変更後の基礎率で計算し直して求める。初年度だけ死亡率が違うといった部分的な変更もあり、この場合は変更が及ぶ年度と及ばない年度を分けて年金現価を作り直す。
・
・
Px:n1 (すべて定期・養老の死亡保障系)の4つ
年金現価 a¨ と生存保険 nEx は増加し、生存保険の年払純保険料 Px:n1 は分子分母がともに増えるため向きが決まらない。2022年度問題2(2)はこの6つを並べて「必ず値が小さくなるものをすべて選べ」と問う(正解は(B)(C)(D)(F))。
予定死亡率の変更では d が動かないので恒等式で向きが確定する
Ax:n=1−da¨、Px:n=a¨1−d の d は予定利率だけで決まる。a¨ の向きさえ押さえれば残りは自動的に決まる。予定利率の変更(SEI068)では d も同時に動くのでこの論法が使えない。
定期保険は A1=(1−da¨)−nEx と分解すると向きが即断できる
右辺の第1項は a¨ の増加で減り、第2項は nEx の増加で引かれる量が増える。両方とも減る向きなので A1
部分的な変更(初年度だけ死亡率が違う等)は年金現価を作り直して将来法で評価する
変更が及ぶ年度と及ばない年度を分けて a¨ を組み直し、変更後の P と tV を計算する。2024年度問題2(4)は初年度のみ q′=0.002、2年度以降は引下げという設定で第1年度末責任準備金の差を求めさせる(a¨ が9.2262→9.2422 と動く)。
から
に下げたときの向き(左が0.020、右が0.015)。
a¨40:20:13.006197 → 13.534150(増加)
A40:20:0.621179 → 0.605801(減少)
A40:201:0.250039 → 0.195628(減少)
20E40:0.371140 → 0.410173(増加)
P40:20:0.047760 → 0.044761(減少)
P40:201(定期保険):0.019225 → 0.014454(減少)
P40:201(生存保険):0.028536 → 0.030307(増加)
(1) 恒等式での確認:d=1.030.03=0.029126は変わらない。
1−d×13.534150=1−0.394199=0.605801
がμ=0.015のAに一致する。a¨が増えた分だけAが減るという関係が数値で見える。
(2) 年払純保険料:13.5341501−0.029126=0.073887−0.029126=0.044761。dが動かないので、a¨の増加がそのままPの減少になる。
(3) 生存保険の保険料だけ増える:13.5341500.410173=0.030307で、μ=0.02のときの0.028536より大きい。分子の20E40が10.5%増えたのに対し分母のa¨は4.1%しか増えていないためである。
のまま考えない。
は増え
は減るので読めなくなる。
A1=(1−da¨)−nEx に直す。
Px:n1(生存保険=肩の1が n の上)は分子分母がともに増えるので「必ず小さくなる」には入らない。設問が「必ず」と言っているときは不定のものを外す。 予定死亡率の変更と予定利率の変更を混ぜない。d が動くかどうかで使える論法がまったく変わる。 は必ず減少する。定義式
∑vt+1tpxqx+t のまま考えると
が増えて
が減るため向きが読めない。