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損保数理・公式・保険料算出原理・効用理論
純保険料(将来支払うクレームの期待値 E[X])だけでは、保険会社は損失のリスクを負いきれない。そこで「期待値に安全のための割増を上乗せする」ルールを何種類か定義し、状況に応じて使い分ける。上乗せの仕方(測り方)が違うだけで、目的はどれも同じ——リスクに見合った保険料を決めることである。
同じ保険金X(平均3・分散2の正規分布、h=0.1)を4つの原理で計算した例。緑の破線はμ=3(安全割増を含まない純保険料)。棒の高さの差が原理ごとの安全割増の違い(2023年度問題1(3)を参考にした数値)。
代表的な保険料算出原理と数式は次のとおり(:将来の保険金、、
原理間の一致関係(正規分布での特例)
が正規分布に従うとき、エッシャー原理・期待値原理・分散原理などが特定のパラメータ対応の下で一致することを確認させる設問が出る(2019年度問題2Ⅲ(1))。実際、正規分布のエッシャー変換後の分布は平均・分散の正規分布になる(2022年度問題3(3)ア)ため、エッシャー原理の保険料は分散原理と同じ形
2023年度過去問(問題1(3))を参考にした例。将来の保険金 が平均3、分散2の正規分布に従うとき、 として4つの原理で保険料を計算すると:
期待値原理:
将来の保険金 が平均5、分散4の正規分布に従うとする。分散原理 により、 として算出した保険料に最も近いものはどれか。
分散原理 と標準偏差原理 について、保険金が一律で2倍()になったとき (保険料もちょうど2倍になる=正同次性を満たす)が成り立つのはどちらか。
将来の保険金 が正規分布 に従うとき、エッシャー原理 による保険料はどの式に一致するか。
純保険料に安全割増を加えて保険料を定めるための各種原理(期待値原理・分散原理・標準偏差原理・エッシャー原理・ワンの原理・指数原理・パーセンタイル原理など)の総称。各原理は加法性・平行移動不変性・正同次性などの性質の充足状況が異なる。
期待値原理: 分散原理: 標準偏差原理: 指数原理: エッシャー原理: ワンの保険料算出原理(ワン変換原理): (:標準正規分布の分布関数) パーセンタイル原理:(上側点)
各原理は「非負性」「移動不変性(平行移動不変性)」「正同次性(スケール変換に対する比例性)」「加法性」などの性質を、原理ごとに満たすものと満たさないものがある。式の形だけでなく、どの性質を満たすかもセットで理解する。
満たす性質・満たさない性質の判定
各原理が非負性・移動不変性・正同次性・加法性のどれを満たすかを○×で判定させる設問が頻出(2018年度問題2Ⅰ(1)、2022年度問題1(1))。丸暗記ではなく、定義式から「保険金を平行移動・スケール変換したときに保険料がどう変わるか」を自分で導けるようにしておく。
収支に関する制約からのhの逆算
分散原理・エッシャー原理の保険料算出式を、収支に関する制約条件(例:保険料をある基準額以下に抑える)に当てはめ、パラメータhの許容範囲を求めさせる設問がある(2016年度問題2Ⅲ(2)(3):分散原理でh≤0.0417、エッシャー原理でh≤0.0292)。「ある原理の保険料が別の原理の保険料と一致するようにhを定める」出題パターンも頻出(2017年度問題4Ⅰ(2)、2019年度問題2Ⅲ(2)(3)、2021年度問題3Ⅱ(2))。
保険金がスケール変換されたときの大小比較
保険金Xが一律でc倍になったとき、各原理で算出した保険料の大小関係がどう変わるかを比較させる設問がある(2023年度問題1(3)ア・イ、2020年度問題1Ⅳ(1)(2))。正同次性を満たす原理は保険料もちょうどc倍になるが、満たさない原理では増加率が異なり、大小関係の順位が保険金の水準によって入れ替わることもある。
集団リスク(正規近似)へのパーセンタイル原理の適用
クレーム件数Nが負の二項分布に従うような集団リスクSに対して、パーセンタイル原理を正規近似で適用する設問がある(2019年度問題1Ⅱ:、正規近似で≒215)。この場合パーセンタイル原理の計算は、標準偏差原理と同じ形(期待値+標準偏差の定数倍)に近似的に帰着する。
エッシャー原理(正規分布ではに一致):
ワンの保険料算出原理(正規分布ではに一致):
指数原理(正規分布ではに一致):
同じ ・同じ でも、原理によって保険料が異なることがわかる(大小関係は分布の形状によって変わりうるので、この順序を一般則として覚えないこと)。