単位積立方式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政方式の体系
ひとことで言うと
その年に新しく発生した1年分の給付だけを、その年の費用として積み立てる方式。若いうちは給付が遠いので保険料が安く、定年が近づくほど高くなる。年齢とともに上がっていく唯一の方式で、B3の8概念で最大の配点をもつ。
単位積立方式だけが年齢の関数になる。定額の加入年齢方式を追い越す年齢を問う設問が繰り返し出ており、追い越しは必ず1回だけ起こる。
数式で表すと
Px単位=1 人あたり当年度発生給付の現価,Px単位 は x の増加関数 単位積立方式は、その年度に新しく発生した給付の現価だけをその年度の費用にする方式である。加入から定年までを n=xr−xe 年とすると、x 歳の被保険者が1年間で獲得する給付は全体の 1/n
試験に出る性質
1人あたり保険料は当年発生分の現価で、年齢とともに増加する
UPx=Sx/(xr−xe)
例で見る
<計算の前提>
・B1・B2 と同じトイモデル。n=3、S57=6.5963、S58=7.4758
つまずきポイント
- 積立金を「将来期間分」で書かない。単位積立方式は過去期間分である。
- UPx は年齢の関数、EP・OANP
定着クイズ
Q1定常状態の単位積立方式における積立金の説明として正しいものはどれか。
Q2在職期間3年のトイモデルで S57=6.5963、S58=7.4758、S59=8.5784、加入年齢方式の標準保険料 EP=2.4879 とする。単位積立方式の保険料が加入年齢方式の標準保険料を初めて上回る年齢はどれか。
Q3定年時に一時金 (xr−xe) を支給する制度を単位積立方式で運営している。定常状態の保険料総額として正しいものはどれか。
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その年に発生した給付(1年分の加入期間に対応する給付)の現価を、その年の費用として積み立てる方式。加入直後の保険料が低く、年齢とともに上がっていく。
なので、1人あたりの保険料は
UPx=n1⋅DxDxra¨xr×(定年時の給付)=nSx
となる。ここが他の5方式との決定的な違いで、UPx は年齢の関数である(他は定額または一括)。
Sx は定年が近づくほど割引期間が短くなり、脱退による目減りも減るので増加する。それを n で割っただけなので UPx も増加する。加入年齢方式の EP、開放基金方式の OANP はどちらも UPx の加重平均なので、ある年齢で UPx がそれらを追い越す。何歳で追い越すかを問う設問が繰り返し出ている。
保険料が「発生したぶんだけ」なので、積み上がった積立金は在職者の過去の加入期間に対応する給付現価になる。
F=Sp+SPSa
2025年度問題1(5)(ウ) はこれを「将来の被保険者期間」と書き換えて誤りにしている。過去と将来を取り違えると、積立金と未積立債務がそっくり入れ替わってしまう。
定年時に一時金 (xr−xe) を払う制度では
UC=∑x=xexr−1DxDxrlx=axr−xe∣lxr
となり、F=((xr−xe)−axr−xe∣)lxr/d にまとまる。年金で払う制度なら a¨xr が両方に掛かって F=((xr−xe)εxr−axr−xe∣a¨xr)lxr/d になる。保険料側だけ期末払確定年金が現れるのは、∑Dxr/Dx⋅lx=∑vxr−xlxr が1年後から n 年後までの割引の和だからである。
。6方式のなかで唯一、保険料が年齢の関数になる。2017年度問題4(1)①②・(2)①はこの年齢別表現とその加重平均を問うている。
加入年齢方式・開放基金方式は単位積立方式の加重平均
EP は Dx 加重、OANP は lx 加重の平均になる。したがって UPx は必ずどこかで両者を追い越し、追い越しは各1回だけ起こる。EP<OANP なので加入年齢方式を先に追い越す。
積立金は在職者の「過去の」加入期間に対応する給付現価
F=Sp+SPSa。2025年度問題1(5)(ウ)は「将来の被保険者期間」と書き換えて誤りにしている(1点)。過去と将来を取り違えると積立金と未積立債務がそっくり入れ替わる。
定常状態では開放基金方式の積立金と一致する
開放基金方式の責任準備金は Sp+SPSa に潰れるので、単位積立方式の積立金と同じになる。H29年度問題1(3)(D)はこの記述を正しいものとして出題している。「方式が違えば積立金も違う」と決めつけない。
一時金制度では保険料総額に期末払確定年金が現れる
UC=∑xDxDxrlx=axr−xe∣lxr。Dxr/Dx=vxr−x が1年後から n 年後までの割引の和になるためで、期初払 a¨ ではない。2022年度問題3(1)(イ)(エ)はこの区別を8択で問うた(計5点)。
年金制度では ä が保険料と給付の両方に掛かる
一時金制度の式に a¨xr を掛ければ年金制度の式になる、という単純な対応ではない。給付側は εxr(割引かない延べ人数)で伸び、保険料側は a¨xr(割引いた年金現価)で伸びるため、伸び方が違う。2022年度問題3(1)(エ)の選択肢はこのズレを突いている。
、
S59=8.5784
・在職者数 l57=1,000、l58=900、l59=800
UPx=Sx/3 より
UP57=2.19875,UP58=2.49192,UP59=2.85948
UC=1,000×2.19875+900×2.49192+800×2.85948=6,729.06
F=(8,536.59−6,729.06)/0.0196078=92,183.74
在職者の過去期間の割合は 57歳が 0、58歳が 1/3、59歳が 2/3 なので
SPSa=900×31×7.4758+800×32×8.5784=6,817.89
年金受給権者分 85,365.85 を足すと 92,183.74 で(2)と一致する。ここで「将来期間分」を使うと合わない——13,369.29+85,365.85=98,735.14 になる。2025年度問題1(5)(ウ) が誤りとされる理由がそのまま数値で見える。
加入年齢方式の EP=2.487944 と比べると、UP57<EP<UP58 なので58歳で追い越す。開放基金方式の OANP=2.492245 とは UP58<OANP<UP59 なので59歳で追い越す。EP<OANP だから低いほうに先に到達する、という順序どおりになっている。
加入20歳・定年60歳・脱退率 3 パーセント・i=2 パーセントの40年モデルでは、UPx が EP を追い越すのは37歳、OANP を追い越すのは39歳になる。どちらも公式解と一致する。在職期間が長いほど追い越しは後ろに寄る。
は定数。比較するときは必ず年齢を指定する。
追い越す「最小の年齢」を答えるので、不等式を解いた実数をそのまま書かず切り上げる。保険料総額の式で期初払 a¨ と期末払 a を取り違えない。Dxr/Dx の和は期末払側になる。