退職時年金現価積立方式とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・財政方式の体系
ひとことで言うと
在職中はまったく積み立てず、定年に到達したその瞬間に、その人の年金現価を全額まとめて払い込む方式。積立金は年金受給権者の分だけになり、しかも今まさに払い込み中の定年到達者は含まれない。この「除く」の1語が本試験の定番の論点である。
保険料の払い込みは定年到達の1点に集中する。積立金は年金受給中の人の分だけで、いま定年に到達した人の分はまだ入っていない。
数式で表すと
F=∑x≥rlxa¨x 相当(受給権者分のみ) 退職時年金現価積立方式は、保険料の払い込み対象者を定年退職者だけに限る方式である。xr 歳で定年に到達した人について、その時点の年金現価をまとめて払い込む。
TC=lxra¨xr×(年金額)
試験に出る性質
保険料は定年到達時に年金現価を一括で払い込む
TC=lxra¨xr
例で見る
<計算の前提>
・B1・B2 と同じトイモデル。年金受給権者の年生存率 p=0.918、a¨60=10
・l60=700
つまずきポイント
- 積立金から「定年到達年齢の者」を除き忘れる。差はちょうど保険料総額 TC になる。
- εx は年金現価率ではなく延べ人数の比である。割引が入らないので a¨x
定着クイズ
Q1定常状態の退職時年金現価積立方式における積立金の説明として正しいものはどれか。
Q2l60=700、a¨60=10、年間給付総額 B=8,536.59、d=0.0196078 とする。退職時年金現価積立方式の定常状態における積立金に最も近いものはどれか。
Q3定年時から加入年数 t に応じた年金額 t を終身年金で支給する制度を退職時年金現価積立方式で運営している。εx=∑y≥xly/lx とするとき、定常状態の期末の積立金として正しいものはどれか。
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定年退職の時点で年金現価の全額を一括して積み立てる方式。在職中は積み立てないため、積立金は年金受給権者分だけになる。
在職中の被保険者は1円も払わない。そのぶん保険料総額は賦課方式に次いで高い。
積立てが始まるのが定年到達時なので、積立金は年金受給権者の給付現価に一致する。ただしxr 歳の者は除く。
F=Sp (xr 歳の者を除く)
いま定年に到達した人の年金現価は、まさにこの瞬間に保険料として払い込まれるところであって、期初の積立金にはまだ入っていない。2025年度問題1(5)(イ) はこの記述を正しいものとして出している。
定年時から加入年数 t に応じた年金額 t を終身年金で支給する制度で、εx=∑y=xωly/lx と置くと、定常状態の期末の積立金は
F=(xr−xe)(εxr−a¨xr)dlxr
になる。導出は B と TC を別々に書いて F=(B−TC)/d に入れるだけである。
・給付総額 B=(xr−xe)∑x≥xrlx=(xr−xe)εxrlxr
・保険料総額 TC=(xr−xe)a¨xrlxr
εxr が割引かない延べ人数、a¨xr が割引いた年金現価なので、必ず εxr>a¨xr であり積立金は正になる。
(年金額1のとき)。在職中の被保険者は1円も払わないので、保険料総額は賦課方式に次いで高い。
積立金は年金受給権者の給付現価だが、定年到達年齢の者を除く
いま定年に到達した人の年金現価は、この瞬間に保険料として払い込まれるところであり、期初の積立金にはまだ入っていない。2025年度問題1(5)(イ)はこの記述を正しいものとして出題している(1点)。除かずに数えると保険料総額のぶんだけ過大になる。
定常状態の一般形は F = (x_r - x_e)(ε - ä) l / d
εxr=∑y≥xrly/lxr(割引かない延べ人数)と a¨xr(割引いた年金現価)の差が積立金を生む。2022年度問題3(1)(ウ)はこの形を8択で問うた(3点)。ε>a¨ なので積立金は必ず正になる。
給付現価の分解は B と C で同じ形を使う
2021年度問題1(3)のような2階建て年金では、「年金額2の終身年金」から「一定期間後の年金額1」を引く分解を、給付総額 B と保険料総額 TC の両方に同じ形で当てる。片方だけ分解すると必ず食い違う。
、年金額 1、
B=8,536.59 、
d=0.0196078
定年到達者700人が、その時点の年金現価 a¨60=10 を一括で払い込む。
TC=700×10=7,000.00
F=(B−TC)/d=(8,536.59−7,000.00)/0.0196078=78,365.85
年金受給権者は毎年 700 人ずつ加わり生存率 p=0.918 で減っていくので、60歳の700人を除いた人数の給付現価は
10×700×1−0.9180.918=78,365.85
となり(2)と一致する。もし60歳の700人を含めてしまうと 10×700/(1−0.918)=85,365.85 になり、差の7,000がちょうど保険料総額である。「除く」の1語がこの差額そのものだと分かる。
最初の10年は年金額2、その後は年金額1という2階建ての終身年金で、a¨60=17.2763、a¨70=12.8349、l60=9,327、l70=8,558、v10=0.7441、ε60=24.9723、ε70=16.6766、i=3.0 パーセントが与えられる。
・TC=2l60a¨60−v10l70a¨70=240,539.36
・B=2l60ε60−l70ε70=323,114.94
・F=(B−TC)/d=2,835,095
公式解の(F)2,800,000 と一致する。2階建ての年金は「年金額2の終身年金」から「70歳以降の年金額1」を引く形に分解するのが定石で、B も C も同じ分解で書ける。
より必ず大きい。
在職中の保険料がゼロなので「積立金もゼロ」と考えない。年金受給権者分は積み上がっている。「退職時年金現価積立方式」と「加入時積立方式」を名前で取り違えない。前者は定年時、後者は加入時に一括する。