契約転換・保険期間短縮とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・公式・契約変更
ひとことで言うと
いま入っている契約を解約せずに中身を作り替える変更。それまで積み上げた責任準備金を新しい条件に引き継ぐところが計算の芯で、「引き継いだぶんだけ新しい保険料が安くなる」という形で式が立つ。
保険期間の短縮には変更後保険料の作り方が2通りある。純保険料ベースでは両者は一致する。
数式で表すと
P(1)=Px:m+a¨x+t:m-ttVx:m−tVx:n=Px+t:m-t−a¨x+t:m-ttVx:n=P(2) 契約変更では、変更時点の責任準備金 tV を新しい条件に引き継ぐ。引き継いだ分だけ将来の保険料が軽くなるので、変更後の保険料は「将来の給付現価から tV を引いて、残存期間の年金現価で割る」形になる。
保険期間の短縮(n 年を m
試験に出る性質
変更後の保険料は「将来の給付現価から責準を引き、残存期間の年金現価で割る」
P=a¨x+t:m-tAx+t:m-t−tV
例で見る
予定利率 i=2%、養老保険で次の年金現価が与えられているとする。
a¨x:n=22.00,a¨x:m=19.00,a¨x+t:m-t=15.00,a¨x+t:n-t=18.00
つまずきポイント
- 方法1で責任準備金の差額を足し忘れる。2020年度の与件では 0.03968 となり、正解 0.04150 から選択肢2段以上ずれる。
- 方法2で元の契約の責任準備金を引き忘れる。新規加入の保険料そのもの(同年度の与件で 0.05051)になってしまう。
- 平準化に使う年金現価を取り違える。分母は必ず「変更時点の年齢・残存期間」の a¨x+t:m-t で、元の契約の a¨x:n
定着クイズ
Q1保険期間の短縮において、方法1(元の加入年齢のまま短い期間の保険料に責準の差額を加算)と方法2(変更時点で新規加入とみなした保険料から元の責準を減算)を純保険料ベースで比べたとき、正しいものはどれか。
Q2x 歳加入・保険期間 n 年の契約を t 年経過時に保険期間 m 年へ短縮する。方法2で責任準備金を平準化して減算するとき、分母に置く年金現価はどれか。
Q3変更時点の責任準備金が 0.30、貸付金が 0.05、転換後は保険金額 0.8 の一時払終身保険で A=0.65 とする。転換後の予定事業費が、充当前の一時払営業保険料 P に対し 3% であるとき、追加で払い込む必要がある額 P−(V−L) に最も近いものはどれか。
既契約の責任準備金を新契約に引き継ぐ契約転換や、保険期間を短縮する変更。変更前後の準備金・給付現価の均衡から変更後の条件を求める。
年にする)では、算出方法が2通り示されることがある(2020年度問題2(6))。
方法1(元の加入年齢を保つ)は、はじめから m 年の保険期間で加入していたとみなした保険料に、責任準備金の差額を残存期間で平準化して加算する。
P(1)=Px:m+a¨x+t:m-ttVx:m−tVx:n
期間が短いほうが責任準備金は大きいので、この差額は正になり加算になる。
方法2(変更時点で新規加入とみなす)は、変更時の年齢 x+t で残存期間に新しく加入した保険料から、元の契約の責任準備金を平準化して減算する。
P(2)=Px+t:m-t−a¨x+t:m-ttVx:n
将来法の tVx:m=Ax+t:m-t−Px:ma¨x+t:m-t を方法1に代入すると、両方とも
a¨x+t:m-tAx+t:m-t−tVx:n
に整理される。つまり純保険料で計算するかぎり方法1と方法2はまったく同じ値になる。実際の設問が営業保険料で問われて2つの答えが割れるのは、予定事業費の織り込み位置が違うためである。方法2は変更時点でもう一度予定新契約費を織り込むぶん高くなる。
契約転換では、変更時点の責任準備金から貸付金 L を差し引いた (V−L) を、転換後の契約の一時払保険料の一部に充当し、不足分を追加で払い込む(2021年度問題2(6))。予定事業費が「充当前の一時払営業保険料 P に対する率 α」で与えられているときは、
P=(給付現価)+αP⟹P=1−α(給付現価)
と P を先に確定させてから、追加払込額 P−(V−L) を出す。
。引き継いだ責任準備金のぶんだけ将来の保険料が軽くなる、という収支相等の書き換えにすぎない。
保険期間短縮の方法1と方法2は、純保険料ベースでは完全に一致する
方法1は Px:m に責準の差額を加算、方法2は Px+t:m-t から元の責準を減算する形だが、将来法の定義を代入すると両者は同じ式に整理される。設問で答えが割れるのは営業保険料で問われるときだけである(2020年度問題2(6)では方法1が0.04150、方法2が0.04208)。
営業保険料で差が出るのは、方法2が変更時点で予定新契約費をもう一度織り込むため
平準化して加減する責準部分には予定事業費が乗らない一方、方法2の Px+t:m-t には新契約費と集金費が短い年金現価を分母として掛かる。したがって方法2のほうが高くなる(2020年度問題2(6))。
転換では、責準から貸付金を引いた (V−L) を新契約の一時払保険料に充当する
追加で払い込む額は P−(V−L)。貸付金 L を引き忘れると充当額を過大に見積もることになる(2021年度問題2(6))。
予定事業費が「充当前の保険料に対する率」で与えられたら、P(1−α)=(給付現価)を解く
P=(給付現価)×(1+α) ではない。率が保険料そのものに掛かる形なので、P について解いて P=(給付現価)/(1−α) とする(2021年度問題2(6))。
d=1.020.02=0.0196078 から A=1−da¨ を使うと Ax:m=0.627451、Ax+t:m-t=0.705882。
責任準備金は tV=1−a¨xa¨x+t で
tVx:m=1−1915=0.210526,tVx:n=1−2218=0.181818
方法1は Px:m=0.627451/19=0.033024 に差額を加えて
P(1)=0.033024+150.210526−0.181818=0.033024+0.001914=0.034938
方法2は Px+t:m-t=0.705882/15=0.047059 から責準を引いて
P(2)=0.047059−150.181818=0.047059−0.012121=0.034938
転換の例として、変更時点の責任準備金 V=0.30、貸付金 L=0.05、転換後は保険金額0.8の一時払終身保険で A50=0.65、予定事業費が充当前の一時払営業保険料に対し α=0.03 とする。
P=1−0.030.8×0.65=0.53608,P−(V−L)=0.53608−0.25=0.28608
ここで P=0.8×0.65×1.03=0.5356 としてしまうと、追加払込額が 0.2856 となり答えがずれる。
ではない。
転換で (V−L) の貸付金 L を引き忘れる。充当額を過大に見積もることになる。 予定事業費が保険料に対する率のとき P=(給付現価)×(1+α) と計算する。正しくは P=(給付現価)/(1−α) で、α が小さくても答えは選択肢1段ぶんずれる。 純保険料ベースでは方法1と方法2は一致するので、営業保険料の設問で2つの答えが違ったときは事業費の扱いを疑う。計算間違いとは限らない。