平均余命と死力の関係(微分)とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass生保数理・定理・生命関数・生命表・定常人口
ひとことで言うと
1年歳をとると平均余命は普通1年減る。ところが実際の減り方は1年ちょうどではなく、「その年齢を生き延びた」という情報の分だけ得をする。その差を死力で表したのがこの関係式で、平均余命と死力を相互に行き来する唯一の道具である。
年齢が1つ上がると平均余命は1年ぶん減るが、その年齢を生き延びた分だけ取り戻す。その取り戻し分が μx·e°x にあたる。
数式で表すと
dxde˚x=μxe˚x−1 完全平均余命を年齢で微分すると、死力と平均余命だけで表せる。
dxde˚x=μxe˚x−1
試験に出る性質
dxde˚x=μxe˚x−1
例で見る
(1) de Moivre型での検算:e˚x=2ω−x
つまずきポイント
- 右辺の−1を落とさない。dxde˚x=μxe˚x
定着クイズ
Q1完全平均余命が e˚x=2100−x で与えられるとき、μ60 に最も近いものはどれか。
Q2関係式 dxde˚x=μxe˚x−1 から読み取れることとして正しいものはどれか。
Q3完全平均余命が e˚x=100e−0.01x で与えられるとき、μ50 に最も近いものはどれか。
完全平均余命を年齢で微分すると死力と平均余命自身で表せるという関係。平均余命の年齢変化や死力の推定に使う理論的道具。
導出:Tx=∫0∞lx+tdt(延べ生存年数・SEI012)とおくと e˚x=lxTx である。両辺をxで微分すると、dxdTx=−lx、dxdlx=−μxlx なので
dxde˚x=lx2−lx⋅lx−Tx⋅(−μxlx)=μxe˚x−1
読み方:右辺の−1は「1年歳をとった分だけ余命が1年減る」効果、μxe˚xは「その1年を生き延びたことで、死亡していたはずの人の分だけ平均が押し上げられる」効果である。通常の年齢では前者が勝つのでdxde˚x<0(平均余命は減る)だが、μx>e˚x1 となる高齢域では符号が反転しうる。
① 平均余命 → 死力:μx=e˚x1+dxde˚x=e˚x1+e˚xdxde˚x
② 死力 → 平均余命の変化:e˚x+1−e˚x の近似
①の形は大問の空欄補充でそのまま問われる。死力が求まれば tpx=exp(−∫μ) で生存確率にも進める。
が平均余命と死力を結ぶ唯一の関係式
導出はe˚x=Tx/lxの商の微分だけ。この導出過程自体が大問の空欄補充で出題される(2020年度問題3(1)(ⅰ)はdxd(tpx)の表現から出発して①〜⑥の空欄でこの関係式を導かせる)。
変形すれば平均余命の関数形から死力が復元できる
μx=e˚x1+e˚x1dxde˚x。平均余命が式で与えられ生存確率を問われたら、この経路で死力に戻してから積分する(2023年度問題2(2)はe˚x=100e−0.01xからlog25p50を、2019年度問題1(2)はμx=110−xa型からe˚30を求めさせる)。
平均余命が年齢とともに増えることもある
dxde˚x>0⟺μx>e˚x1。死力が平均余命の逆数を超える年齢帯では、1年生き延びたことによる効果が1年の経過を上回る。乳児死亡率の高い集団でe˚0<e˚1となるのがこの例である。「平均余命は必ず1年につき1年減る」は誤り。
、
μx=ω−x1 を代入すると
μxe˚x−1=ω−x1⋅2ω−x−1=−21
で、左辺 dxd2ω−x=−21 と一致する。de Moivre型では平均余命が「1年あたり0.5年」しか減らない。
(2) 平均余命から生存確率を出す:e˚x=100e−0.01x とする。dxde˚x=−e−0.01x なので
μx=100e−0.01x1−e−0.01x=100e0.01x−1
である(μ50=0.00648721、μ75=0.01117)。これを積分すると
log25p50=−∫5075μxdx=−(e0.75−e0.5)+0.25=−0.218279
したがって 25p50=e−0.218279=0.803901 である。
(3) 関係式による検算:(2)で求めた死力を関係式の右辺に入れると、x=50 では e˚50=100e−0.5=60.653066 なので
μ50e˚50−1=0.00648721×60.653066−1=−0.606531
となり、左辺 dxde˚50=−e−0.5=−0.606531 と一致する。死力を求めたら必ずこの式に戻して検算する。
なおこのモデルでは μx=100e0.01x−1 が常に e˚x1=100e0.01x を下回るので、平均余命はどの年齢でも減少する(e˚x が最初から減少関数として与えられているので当然である)。
と書くと平均余命が常に増加してしまう。
この関係式は連続のe˚xに対するもの。離散のexは微分できないので、そのままでは使えない(ex=px(1+ex+1)の再帰式を使う)。 μxを求める変形では分母がe˚x。dxde˚xで割らない。