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投資家の効用・リスク選好

知識マップ

投資理論用語

ひとことで言うと

リスク回避型の投資家は「同じ期待収益率なら分散が小さいほど嬉しい」「同じ分散なら期待収益率が高いほど嬉しい」と感じる。その好みを表すのが効用関数と無差別曲線。

リスク(σ)と期待収益率の無差別曲線。リスク回避度が高いほど曲線が急峻になる。σE[R]0%5%10%15%20%2%4%6%8%10%12%14%リスク回避強(急峻)リスク回避弱(緩やか)

σ(横軸)と期待収益率(縦軸)上の無差別曲線。リスク回避が強いほど曲線が急峻になる(同じリスク増加に対してより高いリターンを要求)。

数式で表すと

U=E[R]A2σ2U = E[R] - \frac{A}{2}\sigma^2

リスク回避型の効用関数はリターンで増加・リスクで減少。代表的表現 U = E[R] − (A/2)σ²(A > 0:リスク回避係数)。無差別曲線は右上がり。

リスク回避型投資家の効用関数としてよく使われる表現が U=E[R]A2σ2U = E[R] - \frac{A}{2} \sigma^2 である(A>0A > 0:リスク回避係数、σ2\sigma^2:収益率の分散)。AA が大きいほどリスクへの嫌悪が強い。 「効用 UU が一定」の曲線が無差別曲線で、E[R]=U+(A/2)σ2E[R] = U + (A/2)\sigma^2 と書けるため、σ\sigma(横軸)に対して上に凸な曲線として描かれる。投資家は自分の無差別曲線が効率的フロンティア(または資本市場線)に接する点を選ぶ。 リスク中立(A=0A=0)の投資家は期待収益率のみで判断し、リスクを無視する(無差別曲線は水平)。リスク選好(A<0A < 0)の投資家は分散が大きいほど効用が高くなる(通常の投資分析では想定しない)。

試験に出る性質

リスク回避係数 $A$ が大きいほど急峻な無差別曲線

急峻な曲線は「リスクが少し増えるだけで大幅なリターン増を要求する」ことを意味する。

最適ポートフォリオは無差別曲線とフロンティアの接点

より「右上」にある無差別曲線ほど効用が高い。フロンティア(または資本市場線)と接する最も右上の無差別曲線が最適解。

効用関数 $U = E[R] - (A/2)\sigma^2$ は正規分布のもとで厳密に成立

収益率が正規分布に従うとき、この 2 次の効用関数は平均と分散のみで効用が決まるため正確。非正規(歪度や尖度が大きい)な収益率では近似に過ぎない。

例で見る

A=2A=2、ポートフォリオ X が E[R]=8%E[R]=8\%σ=15%\sigma=15\%、ポートフォリオ Y が E[R]=10%E[R]=10\%σ=20%\sigma=20\% のとき:UX=0.08(2/2)×0.0225=0.080.0225=0.0575U_X = 0.08 - (2/2) \times 0.0225 = 0.08 - 0.0225 = 0.0575UY=0.100.0400=0.060U_Y = 0.10 - 0.0400 = 0.060UY>UXU_Y > U_X なので A=2A=2 の投資家は Y を選ぶ。

つまずきポイント

  • 効用関数の σ2\sigma^2(分散)と σ\sigma(標準偏差)を混同しない。U=E[R](A/2)σ2U = E[R] - (A/2)\sigma^2σ2\sigma^2 は分散(標準偏差の 2 乗)。
  • 「リスク回避型」は損失を嫌うという意味ではなく、同じ期待収益率なら分散が小さいほど好む、という意味。高リスク・高リターンの投資も、効用が高ければ選ぶ。

定着クイズ

効用関数 U=E[R](A/2)σ2U = E[R] - (A/2)\sigma^2 において、A=2A=2、期待収益率 10%10\%、分散 σ2=0.04\sigma^2=0.04(標準偏差 20%20\%)のとき効用はいくらか。

リスク回避係数 AA が大きくなるほど、リスク(σ)と期待収益率の平面上の無差別曲線はどうなるか。

リスク中立(A=0A=0)の投資家の無差別曲線と行動の説明として正しいものはどれか。

関連:#R006

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