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分離定理(トービンの2基金分離)

知識マップ

投資理論定理

ひとことで言うと

リスク回避度が異なる投資家でも、最適ポートフォリオは「安全資産」と「接点ポートフォリオ」の 2 種類を組み合わせるだけで実現できる——何割ずつ持つかだけが人によって違う。

効率的フロンティアに接する資本市場線(CML)。接点が接点ポートフォリオ。CMLより上に行くにはレバレッジが必要。σE[R]r_f接点ポートフォリオ資本市場線

資本市場線上の点はすべて安全資産と接点ポートフォリオの混合。リスク回避が強い投資家は安全資産寄り(左)、弱い投資家はレバレッジをかけて右側に位置する。

数式で表すと

RP=αRT+(1α)rfR_P = \alpha \cdot R_T + (1-\alpha) \cdot r_fα\alpha:接点PFへの投資比率)

すべてのリスク回避投資家は「安全資産」と「接点ポートフォリオ」の2種類だけで最適ポートフォリオを構成できる。

分離定理(トービン 1958年)は次を主張する:「すべてのリスク回避型投資家にとって、最適なリスク資産ポートフォリオは同一(接点ポートフォリオ)であり、個人の違いは安全資産と接点ポートフォリオの混合比率 α\alpha にのみ現れる。」 ポートフォリオのリターンは RP=αRT+(1α)rfR_P = \alpha R_T + (1-\alpha) r_fα\alpha:接点ポートフォリオへの投資比率)。リスクが大きくてよい投資家(リスク回避が弱い人)は α>1\alpha > 1(レバレッジ)を選び、安全志向の投資家は α<1\alpha < 1 を選ぶ。 この定理の帰結として、すべての投資家が接点ポートフォリオを保有するため、均衡では接点ポートフォリオ=市場ポートフォリオ(すべての資産を時価総額比で保有)となる。これがCAPM(資本資産価格モデル)の出発点。

試験に出る性質

リスク資産の選択は全員共通(接点ポートフォリオ)

個人のリスク回避度の差は、安全資産の保有比率にのみ反映される。

均衡では接点ポートフォリオ=市場ポートフォリオ

需給均衡の条件から、接点ポートフォリオは全資産を時価総額加重で保有したポートフォリオに等しくなる。

前提:同質的期待・完全市場

すべての投資家が同じ期待収益率・分散・共分散を予測するという仮定のもとで成立する。現実には異なる予測を持つため厳密には成立しない。

例で見る

リスク回避係数 A=3A=3 の投資家と A=1A=1 の投資家が共に rf=2%r_f=2\%、接点ポートフォリオ期待収益率 8%8\%σT=15%\sigma_T=15\% の世界にいる場合、A=3A=3 の投資家は α0.44\alpha \approx 0.44(約 56% を安全資産)、A=1A=1 の投資家は α1.33\alpha \approx 1.33(33% をレバレッジ)を選ぶ。どちらも保有するリスク資産は「接点ポートフォリオ」のみ。

つまずきポイント

  • 分離定理は「2 種類の資産(安全資産・接点ポートフォリオ)で十分」という意味。個々の株式を個別に選ぶ必要はないという主張。
  • 分離定理は同質的期待などの強い仮定のもとで成立する。現実には投資家ごとに最適なリスク資産ポートフォリオが異なる可能性がある。

定着クイズ

分離定理(トービンの 2 基金分離)の内容として正しいものはどれか。

分離定理のもとで、均衡において接点ポートフォリオは何と等しくなるか。

安全資産の利子率 rf=2%r_f=2\%、接点ポートフォリオの期待収益率 8%8\%・標準偏差 15%15\% のとき、リスク回避が強い投資家が標準偏差 6%6\% のポートフォリオを求める場合の接点ポートフォリオへの投資比率はいくらか。

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