用語集
知識マップ理解ページを読むうえで前提となる基礎用語を、ひとことの定義でまとめました。 試験で直接問われる概念は知識マップから理解ページへ。
投資理論
- 安全資産・無リスク利子率
- 将来の収益があらかじめ確定しており、収益率の分散がゼロとみなせる資産のこと(国債などが代表例)。その利回りを無リスク利子率(記号 )と呼び、CAPM・オプション評価・シャープ比など投資理論全体の「基準点」になる。詳しくは:接点ポートフォリオCAPM・証券市場線(SML)
- ペイオフ
- オプションや先物などの取引から満期(清算時)に受け取る金額のこと。行使価格 のコールなら満期ペイオフは 。購入時に支払ったプレミアム(代金)を差し引く前の受取額であり、損益=ペイオフ−プレミアム。詳しくは:オプション基礎(コール・プット・ペイオフ)
- 空売り
- 証券を借りて先に売り、後で買い戻して返す取引。価格が下落すると利益になる。ポートフォリオ理論では投資比率がマイナス()のポジションとして表れる。詳しくは:ポートフォリオの期待収益率最小分散ポートフォリオ
- ボラティリティ
- 収益率の標準偏差 のこと。価格変動の大きさを表し、オプション評価では原資産収益率の変動性を指す最重要パラメータ。ボラティリティが大きいほどコール・プットとも価格は高くなる(ベガは正)。詳しくは:ブラック・ショールズ式グリークス(デルタ・ガンマ・ベガ・シータ・ロー)
- クーポン
- 債券が保有者に定期的に支払う利息のこと。額面に対する年率をクーポン率(クーポン・レート)と呼ぶ。クーポンの支払いが無い債券が割引債(ゼロクーポン債)。詳しくは:債券価格・YTM(最終利回り)
- 額面
- 債券の満期に償還される金額(券面に記載された金額)。債券価格が額面と等しい状態をパー、上回る状態をオーバー・パー、下回る状態をアンダー・パーと呼ぶ。詳しくは:債券価格・YTM(最終利回り)パーレート・保有期間利回り
- 割引債(ゼロクーポン債)
- クーポン(利息)の支払いがなく、満期に額面のみを償還する債券。額面より安く発行され、価格と額面の差が利回りの源泉になる。 年割引債の価格はスポットレート と の関係にある。詳しくは:スポットレート・ディスカウントファクター
- 株主資本コスト
- 株主が投資に対して要求する期待収益率 。株式価値評価(配当割引モデル・残余利益モデル等)の割引率として使い、実務ではCAPM()で推定することが多い。詳しくは:配当割引モデル(DDM)基礎CAPM・証券市場線(SML)
- ヘッジ
- 保有ポジションと逆方向に動く資産・デリバティブを組み合わせて、価格変動リスクを相殺すること。例:株式ポートフォリオの下落リスクを先物売りやプット買いで抑える。詳しくは:グリークス(デルタ・ガンマ・ベガ・シータ・ロー)株価指数先物・為替先物
- ロング・ショート
- 買い持ちのポジションがロング、売り持ちがショート。オプションでは買い手(権利を持つ側)がロング、売り手(義務を負う側)がショート。ショートは価格下落で利益になる。詳しくは:オプション基礎(コール・プット・ペイオフ)先物・フォワード(無裁定価格)
- 超過収益率
- 無リスク利子率を上回る収益率の部分 。リスクを取ったことへの見返りを表し、シャープ比の分子やCAPMの市場リスクプレミアムの土台になる。詳しくは:シャープ比・ジェンセンのαCAPM・証券市場線(SML)
- 時価総額
- 株価×発行済株式数で計算される企業の市場価値。CAPMの市場ポートフォリオは「すべての資産を時価総額に比例して保有する」ポートフォリオであり、「同額ずつ」ではない点が正誤問題で問われる。詳しくは:CAPM・証券市場線(SML)
- 連続複利・離散複利
- 利息の複利計算の刻み方の違い。離散複利は で、連続複利は刻みを無限に細かくした極限として で運用成果を表す。ブラック・ショールズ式は連続複利表記( で割引)を使う。詳しくは:ブラック・ショールズ式先物・フォワード(無裁定価格)
- クリーン・サープラス関係
- 株主資本(純資産)の変動が「純利益−配当」だけで説明できるという会計上の関係:。この関係が成り立つとき、残余利益モデルは配当割引モデルと同じ株式価値を与える。増資や自己株式取得があると崩れる。詳しくは:PBR・PER・株式価値指標残余利益モデル
- 後向き帰納
- 満期(最終時点)の価値から現在へ向かって、1ステップずつ遡って各時点の価値を計算する手法。多期間二項モデルやアメリカン・オプションの評価で使う。ゲーム理論でも同じ発想が使われる(バックワード・インダクション)。詳しくは:二項モデル(多期間・アメリカン)展開形ゲーム・後向き帰納法
- ターミナルバリュー
- 多段階の価値評価で、予測期間が終わった後に残る価値のこと(継続価値)。安定成長への移行を仮定し、ゴードン成長モデル 等で評価して現在価値に割り引く。DCF法では企業価値の大半を占めることが多い。詳しくは:多段階成長DDMDCF・WACC(割引キャッシュフロー法)
- レバレッジ
- 借入れを使って自己資金以上の金額を投資すること。ポートフォリオ理論では接点ポートフォリオへの投資比率が1を超える()ポジションとして表れる。期待収益率とリスクの両方が拡大する。詳しくは:ポートフォリオの期待収益率分離定理(トービンの2基金分離)
- EPS(1株当たり利益)
- 純利益を発行済株式数で割った、1株が稼ぐ利益(Earnings Per Share)。 や配当性向()の計算に使う基礎指標。詳しくは:サステイナブル成長率・ROE・配当性向PBR・PER・株式価値指標
- BPS(1株当たり純資産)
- 純資産(株主資本の簿価)を発行済株式数で割った、1株当たりの純資産(Book-value Per Share)。 の分母になる。詳しくは:PBR・PER・株式価値指標
- 配当利回り
- 1株当たり配当を株価で割った比率 。定率成長の配当割引モデルでは が成り立ち、期待収益率=配当利回り+成長率と分解できる。詳しくは:定率成長DDM(ゴードン成長モデル)
- EBIT(利払前・税引前利益)
- 支払利息と税金を差し引く前の利益(Earnings Before Interest and Taxes)。(:実効税率)の形で、DCF法・EVAの計算の入力になる。詳しくは:DCF・WACC(割引キャッシュフロー法)EVA・NOPAT・ROIC
- 想定元本
- スワップ等のデリバティブで、金利などのキャッシュフロー計算の基準とするための名目上の元本。計算にだけ使われ、元本そのものは交換しない。詳しくは:金利スワップ
- 限界効用逓減
- 富が1単位増えたときの効用の増分(限界効用)が、富が多いほど小さくなる性質。効用関数が凹()であることと同値で、リスク回避的な選好に対応する。詳しくは:期待効用・確実等価リスク回避度・リスク許容度
- テイラー展開
- 関数を「ある点のまわりの多項式」で近似する数学の道具。1次の項(傾き)だけの近似が線形近似で、2次の項まで入れると曲がり(凸性)を補正できる。債券のデュレーション+コンベキシティ近似、オプションのグリークスによる損益近似はいずれもテイラー展開に基づく。詳しくは:修正デュレーションコンベキシティ(凸性)オプション戦略(スプレッド・ストラドル等)
- 凹関数・凸関数
- 上に膨らんだ形の関数が凹関数()、下に膨らんだ形が凸関数()。効用関数が凹ならリスク回避型、凸ならリスク追求型(リスク愛好型)に対応する。詳しくは:期待効用・確実等価リスク回避度・リスク許容度
- イェンセンの不等式
- 凹関数 と確率変数 について が成り立つという不等式(凸関数なら向きが逆)。リスク回避型投資家の確実等価が期待値より小さくなる(リスク・ディスカウントが正になる)ことの数学的根拠。詳しくは:期待効用・確実等価