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スポットレート・ディスカウントファクター

知識マップ

投資理論公式

ひとことで言うと

スポットレートは「今から tt 年後に 1 円受け取るゼロクーポン債の利回り」。ディスカウントファクター(現価係数)はその現在価値。利付債はゼロクーポン債の束としてスポットレートで正確に価格付けできる。

スポットレートカーブ(右上がり)とフォワードレートカーブ。右上がりイールドカーブではフォワードレートはスポットレートより上に位置する。年限利回り123456789102%3%4%5%6%7%スポットレートフォワードレート

右上がりのスポットレートカーブ(緑)とフォワードレートカーブ(赤破線)。右上がりの場合、フォワードレートは常にスポットレートより上に位置する(平均を引き上げる効果)。

数式で表すと

dt=1(1+zt)t,P=t=1TCdt+FdTd_t = \frac{1}{(1+z_t)^t}, \quad P = \sum_{t=1}^T C \cdot d_t + F \cdot d_T

t年スポットレート z_t:t年後に1単位受け取るゼロクーポン債の利回り。ディスカウントファクター d_t = 1/(1+z_t)^t。利付債価格 = Σ C·d_t + F·d_T。

tt 年スポットレート ztz_t とディスカウントファクター dtd_t の関係: dt=1(1+zt)td_t = \frac{1}{(1+z_t)^t} 利付債の価格はスポットレートで厳密に計算できる: P=t=1TCdt+FdT=t=1TC(1+zt)t+F(1+zT)TP = \sum_{t=1}^{T} C \cdot d_t + F \cdot d_T = \sum_{t=1}^{T} \frac{C}{(1+z_t)^t} + \frac{F}{(1+z_T)^T} YTM は「スポットレートの加重平均的な 1 本の利回り」と解釈でき、各期で異なるスポットレートを単一の割引率で近似したもの。

試験に出る性質

スポットレートとYTMの関係

イールドカーブが右上がりならば YTM < 長期スポットレート(クーポン支払いが早い期間のより低いスポットレートが平均に引き下げ方向に影響)。

ゼロクーポン債価格の直接計算

tt 年後に額面 FF を支払うゼロクーポン債の価格 =Fdt=F/(1+zt)t= F \cdot d_t = F / (1+z_t)^t。スポットレートで直接計算できる。

ブートストラップ法でスポットレートを推定

利付債の市場価格から短い年限から順に z1,z2,z_1, z_2, \ldots を逐次的に求める方法。各 ztz_t は前の z1,,zt1z_1, \ldots, z_{t-1} を使って計算する。

例で見る

z1=2%z_1 = 2\%z2=3%z_2 = 3\% のとき、額面 100・クーポン 4%・残存 2 年の債券価格: P=41.02+1041.032=3.92+98.04=101.96P = \frac{4}{1.02} + \frac{104}{1.03^2} = 3.92 + 98.04 = 101.96 YTM(yy)で同じ価格になるのは y2.97%y \approx 2.97\%z2=3%z_2 = 3\% より若干低い(クーポン分が低い z1z_1 で割り引かれるため)。

つまずきポイント

  • 「スポットレートで割り引く」と「YTM で割り引く」は別の計算。スポットレート計算の方が厳密で、YTM は近似(加重平均)にすぎない。
  • ディスカウントファクター dt=1/(1+zt)td_t = 1/(1+z_t)^t の指数は tt(年数)。dt=1/(1+zt)d_t = 1/(1+z_t)(1 乗)と書かない。

定着クイズ

z1=3%z_1 = 3\%(1 年スポットレート)のとき、1 年後に 100 を受け取るゼロクーポン債の現在価格はいくらか(小数第 2 位まで)。

z1=2%z_1 = 2\%z2=3%z_2 = 3\% のとき、クーポン 5・額面 100・残存 2 年の利付債価格を スポットレートで計算するといくらか(小数第 2 位まで)。

スポットレートと YTM の関係について正しい記述はどれか。

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