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統計・用語・仮説検定
決めた有意水準 を守る検定はたくさん作れますが、その中で「対立仮説のもとで最も当てやすい(検出力が最大の)」検定を最強力検定と呼びます。単純対単純ならネイマン・ピアソンが答えをくれますが、対立が範囲をもつと話はぐっと難しくなります。
検出力関数の曲線。横軸はパラメータ 、縦軸は棄却確率(検出力)。 のとき検出力は有意水準 に等しく、 が
有意水準
最強力検定(most powerful test)とは、要求する有意水準 を満たす検定の中で、対立仮説のもとでの検出力が最大のものをいいます。単純対単純(帰無も対立も1点)であれば、ネイマン・ピアソンの補題が「尤度比検定が最強力だ」と即答してくれます。問題は、対立仮説が
定義
を満たす検定の中で、対立のもとの検出力が最大のもの。
単純対単純の答え
帰無も対立も1点なら、ネイマン・ピアソン
の片側検定
MP(最強力)とUMP(一様最強力)の違いは?
UMP検定が一般に存在しないのはどの対立か?
の片側検定 でUMPになるのは?
ここで重要になるのが、MP(特定の対立点に対する最強力)とUMP(一様最強力)の区別です。複合対立 の中の特定の1点に対してだけ検出力を最大にする検定なら、ネイマン・ピアソンでその点用に作れます(これがMP)。しかし普通は、対立側の値が事前に1つに決まっていません。そこで、 に含まれるすべての に対して同時に最強力であってほしい——この要求を満たす検定を一様最強力検定(UMP=uniformly most powerful)と呼びます。
UMPが存在するかどうかは、対立仮説の形に強く依存します。片側対立 では、尤度比が統計量の単調関数になる(単調尤度比=MLRの)性質をもつ分布で、UMP検定が存在することが多いです。たとえば の片側検定 対 では、通常の片側z検定が対立側のどの に対しても同時に最強力(UMP)になります。一方、両側対立 では一般にUMPは存在しません。上向きの に最強力な検定(棄却域を右だけに置く)は、下向きの には最強力でなく、両方を同時に満たす検定が作れないためです。
MPとUMPの違い
MPは特定の1つの対立点に対して最強力。UMPは 内のすべての対立点に対して同時に最強力。
片側ではUMPが存在しやすい
単調尤度比(MLR)をもつ分布の片側対立では、片側z検定などがUMPになる(正規の例)。
両側では一般に存在しない
両側対立 では右と左を同時に最強力にできず、UMPは一般に存在しない。
という通常の片側z検定が、対立側のどの に対しても同時に最強力(UMP)になる。