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会計・用語・資産・有価証券の会計
「現金」の範囲は財布の中身より広く、「預金」の範囲は銀行にあるお金より狭い。他人が振り出した小切手や期限の来た利札は、銀行へ持ち込めばその場で通貨になるので現金として扱う。逆に、満期が1年より先の定期預金は流動資産の現金及び預金から外れる。試験で問われるのは、ほぼこの「入る・入らない」の線引きである。
通貨代用証券はただちに通貨と引き換えられるので現金に含める。先日付小切手・収入印紙・満期1年超の預金は、それぞれ受取手形・貯蔵品・長期性預金という別の科目へ移る。
簿記上の現金は、通貨のほか、ただちに通貨と引き換えられる通貨代用証券(他人振出の小切手、送金小切手、期限到来後の公社債の利札、配当金領収証、郵便為替証書など)を含む。預金は当座預金・普通預金・定期預金などで、決算日の翌日から1年以内に満期が到来するものを流動資産の現金及び預金に、1年を超えるものを投資その他の資産(長期性預金)に表示する。先日付小切手は受取手形、収入印紙・郵便切手は貯蔵品として扱い、現金には含めない。当座預金が貸方残高となる当座借越は、流動負債の短期借入金に振り替える。
1. 現金に含まれるもの
現金は通貨(紙幣・硬貨)だけではない。ただちに通貨と引き換えられる証券を通貨代用証券といい、これも現金として処理する。
・他人振出の小切手 ・送金小切手、預金手形(自己宛小切手) ・期限が到来した公社債の利札 ・配当金領収証 ・郵便為替証書、振替貯金払出証書
判断の基準は「銀行へ持ち込めばその場で通貨になるか」である。
2. 現金に含めないもの
・先日付小切手……振出日が先なので、ただちに取り立てられない。受取手形として処理する ・収入印紙・郵便切手……換金を目的としない。貯蔵品として処理する ・借用証書……貸付金として処理する
3. 預金の範囲と1年基準
当座・普通・定期・通知・別段の各預金が対象になる。決算日の翌日から起算して1年以内に満期が到来するものを流動資産の現金及び預金に、1年を超えるものを投資その他の資産に長期性預金として表示する(ワンイヤールール)。
4. 当座借越
当座預金が貸方残高になっている場合、これは銀行からの一時的な借入である。現金及び預金のマイナスとして表示せず、流動負債の短期借入金へ振り替える。
5. 現金過不足
帳簿残高と実際有高が食い違ったときは、期中は現金過不足勘定で受けておき、決算日までに原因が判明しなければ雑損失または雑収入に振り替える。現金過不足勘定を貸借対照表に残さない。
6. 銀行勘定調整表
当座預金出納帳の残高と銀行の残高証明書が一致しないとき、原因を整理して両者を突き合わせる表を作る。企業側と銀行側のどちらを直すかで扱いが分かれる。
・企業側の修正が要る……未渡小切手、入金や振込の未通知、誤記入、手形取立や自動引落の未通知 ・銀行側だけの調整……時間外預入、未取付小切手、未取立小切手
企業側の項目だけが仕訳を伴う。銀行側の項目はいずれ解消するので、企業の帳簿は正しいままである。
期限が到来した公社債の利札は通貨代用証券として現金に含める
2022年度問題2(3)は、期限が6か月後に到来する預金・期限到来後の公社債の利札・先日付小切手の3つを並べ、現金及び預金に含まれるものをすべて選ばせた。利札は銀行へ持ち込めばその場で通貨になるので現金である。
先日付小切手は現金ではなく受取手形として処理する
振出日が先なのでただちに取り立てられない。2022年度問題2(3)ではこの1つだけが誤りの肢だった。小切手という形をしていても、いつ換金できるかで判断する。
預金を流動資産に載せるかどうかは決算日の翌日から1年以内に満期が到来するかで決まる
1年を超えるものは投資その他の資産に長期性預金として表示する。2022年度問題2(3)の「期限が6か月後に到来する預金」は1年以内なので流動資産の現金及び預金に入る。
銀行勘定調整表で仕訳を伴うのは企業側の項目だけである
未渡小切手・入金や振込の未通知・誤記入・自動引落の未通知は企業の帳簿を直す。時間外預入・未取付小切手・未取立小切手は銀行側の事情で、企業の帳簿は正しい。2017年度問題5(1)は不一致の原因4件から企業の修正残高を求めさせた。
当座借越は現金及び預金のマイナスではなく流動負債に表示する
当座預金が貸方残高になるのは銀行から一時的に借りている状態なので、短期借入金へ振り替える。資産から差し引くと現金及び預金と負債の両方が過少になる。
例1:現金及び預金に入るかどうかの判定
決算日に次の4つを保有していた。
(1) 満期が決算日の翌日から6か月後に到来する定期預金 500,000円
→ 1年以内なので流動資産の現金及び預金に含める。
(2) 期限が到来した公社債の利札 12,000円
→ 通貨代用証券なので現金に含める。
(3) 振出日が翌期になっている先日付小切手 300,000円
→ 受取手形として処理する。現金及び預金には含めない。
(4) 未使用の収入印紙 8,000円
→ 貯蔵品として処理する。
現金及び預金として表示するのは (1) と (2) の合計 512,000円である。
例2:銀行勘定調整表(両者区分調整法)
当座預金出納帳の残高は 1,200,000円、銀行の残高証明書は 1,290,000円で、原因は次の4件だった。
(1) 決算日に振り出したが相手に渡していない小切手 150,000円(企業側で加算)
(2) 得意先からの振込の未通知 60,000円(企業側で加算)
(3) 銀行が未取立の手形 80,000円(銀行側で加算)
(4) 銀行の営業時間外に預け入れた現金 40,000円(銀行側で加算)
企業側の修正後残高 = 1,200,000 + 150,000 + 60,000 = 1,410,000円
決算日に保有する次のもののうち、流動資産の「現金及び預金」に含まれるものはどれか。
銀行勘定調整表を作成したとき、企業側の帳簿残高を修正しなければならない項目はどれか。
決算日に当座預金が貸方残高(当座借越)となっている場合の貸借対照表の表示として正しいものはどれか。
両者が一致する。仕訳が要るのは企業側の (1) と (2) だけである。