積立金の収束と極限とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・積立金の推移
ひとことで言うと
積立金の漸化式は等比数列に直せる。公比が0と1の間なら定常水準に収束し、初期値が定常水準より小さければ単調に増えていく。「初めてある水準を下回る年度」も同じ道具で解ける。
定常水準との差が毎年 r 倍に縮む。r が0と1の間なら差の符号は変わらないので、収束の向きは初期値がどちら側にあるかだけで決まる。
数式で表すと
Ft=(F0−F∗)(1+i)t+F∗ ⇒ ∣1+i∣ と初期差の符号で挙動が決まる 積立金の漸化式が Ft+1=rFt+k の形(r が定数)なら、不動点
試験に出る性質
不動点を引くと等比数列になる
Ft−F∗=(F0−F∗)rt
例で見る
<計算の前提>
・トイモデル(Sp=85,365.85、Sa=20,187.18、Sf=329,812.82
つまずきポイント
- 公比は 1−GaL ではなく (1−GaL)(1+i)
定着クイズ
Q1閉鎖型総合保険料方式で L=2,700、Ga=5,135.60、i=2.0 パーセントのとき、積立金の数列の収束比 r に最も近いものはどれか。
Q2閉鎖型総合保険料方式の積立金 cFn の極限値は、ある財政方式の定常状態の積立金と一致する。その方式はどれか。
Q3積立金の数列 {cFn} が単調増加になる条件はどれか。ただし収束比は 0<r<1 とする。
この用語を扱う問題(0)
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積立金の漸化式が等比数列型になることを使い、収束するか発散するか、収束するならどの値かを判定する。単調性や「初めて一定水準を下回る年度」も同じ道具で解く。
F∗=1−rk を引いて
Ft−F∗=(F0−F∗)rt
という等比数列になる。あとは r の大きさと初期値の位置だけで挙動が決まる。
閉鎖型総合保険料方式では r=(1−GaL)(1+i) である。ここで恒等式 L=(Ga+Gf)d を使うと
r=1−GaGfd(1+i)<1
が出る。上界は恒等式から、下界は L<Ga から出るという組み立てで、2018年度問題3はこの2本を別々に問うている。
r が1未満なら cFn は収束し、極限値は
cF=Sp+Sa−GfSfGa
である。ここで GfSf は加入年齢方式の標準保険料率 EP そのものなので、cF は加入年齢方式の定常状態の積立金に一致する。閉鎖型で運営しても、時間が経てば加入年齢方式と同じ積立水準に落ち着く。
Ft+1−Ft=(F1−F∗)rt−1(r−1) で、0<r<1 なら r−1<0 だから
・F1<F∗ なら差はつねに正 → 単調増加
・F1>F∗ なら差はつねに負 → 単調減少
となる。振動しないことがこの式から読める(r が負なら振動しうるが、0<r<1 の下では起こらない)。
。収束・単調性・「初めて下回る年度」はすべてこの1行から出る。
0 < r < 1 の証明は上界と下界を別々に作る
閉鎖型総合保険料方式では上界が恒等式 L=(Ga+Gf)d から、下界が L<Ga から出る。2018年度問題3(16点大問)はこの2本を空欄⑩・⑪(各1点)で問うている。
極限値は加入年齢方式の定常積立金に一致する
cF=Sp+Sa−GfSfGa で、GfSf=EP だからである。2018年度問題3の空欄⑰の正答が「加入年齢方式」であり、2025年度問題2(2)(イ)もこの結果を使って解かせる。
単調性は初期値が極限値のどちら側にあるかだけで決まる
Ft+1−Ft=(F1−F∗)rt−1(r−1) で、0<r<1 なら符号が変わらない。2018年度問題3の空欄⑳は「cF1<cF のときは単調増加」が正答である。
給付を積立金に連動させた制度の回復年数も同じ道具で解く
2024年度問題1(8)は Bt=B0Ft/F0 とした制度で「初めて当初の95パーセント以上に回復する年度」を問い、Ft+1=Ft(1−i)+C に整理してから等比数列を解く。正答は36年後で、この行はタグが制度変更だが道具は本概念である。
、
Ga=5,135.60 、
Gf=132,564.40 、
、
B=8,536.59 、
パーセント)
r=(1−5,135.602,700)×1.02=0.483743
恒等式のほうから計算しても 1−5,135.60(5,135.60+132,564.40)×0.0196078×1.02=0.483743 で一致する。L=(Ga+Gf)d が 2,700.0 ぴったりで成り立つことがトイモデルで確認できる。
cF=85,365.85+20,187.18−2.487944×5,135.60=92,775.95
これは加入年齢方式の定常積立金 Sp+Sa−EPGa とまったく同じ式である。
cF1=0.6×cF=55,665.57 から漸化式を回すと 74,824→84,092→⋯ と単調に増えて20年目には 92,775.95 と区別できなくなる(r20=4.9×10−7)。逆に 1.4 倍から始めると単調に減る。
「特別保険料が前年度末未積立債務の 30 パーセント、実際の運用利回りが −1.0 パーセント」のとき、責任準備金に対する積立金の比 VF は
VF=1+j1−(1−0.30)0.30−d=0.904196
に収束する。公式解の 0.90419(正答E)と一致し、漸化式を600回回しても同じ比になる。
である。
を落とすと収束の判定を誤る。
収束先はゼロではない。等比数列に直すときに引いた不動点が収束先である。単調性を初項 F0 ではなく差 F1−F∗ の符号で判定する。極限値との大小が向きを決める。 「初めてある水準を下回る年度」は、その年度で下回ることと前年度では下回らないことの2本の不等式で挟む。