運用利回りが予定利率と異なる場合の積立金とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass運用利回りが予定利率と異なる場合の積立金
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ひとことで言うと
実際の運用利回り j が予定利率 i とずれると、積立金は定常水準から離れていく。ずれ方は1本の閉じた式で書けて、予定利率に対応する割引率 d と実績利回りに対応する d′ の比だけで決まる。
運用利回りが予定を下回ると積立金は定常水準から離れていく。給付を毎年極限方程式に合わせて作り直す制度では、目減りが ((1+j)/(1+i))n
数式で表すと
Ft+1=Ft(1+i′)+C−B,利差=(i′−i)×(運用資産) 定常状態にある制度の運用利回りが j(=i)になったとする。保険料と給付は予定どおりなので漸化式は
Ft+1=(Ft+C−B)(1+j)
試験に出る性質
閉じた形は F_n = (1+j)^n F - (d/d'){(1+j)^n - 1} F
d=1+ii、d′=1+jj
例で見る
<計算の前提>
・定常状態、予定利率 i=3.0 パーセント、実際の運用利回り j=−2.0 パーセント、期初拠出
・10年間 j が続く(2025年度問題2(1) と同じ設定)
(1)給付を調整しない場合
FF10=(0.98)10−1.030.03⋅−0.020.98{(0.98)10−1}=0.5560
つまずきポイント
- d(予定利率の割引率)と d′(実績利回りの割引率)を取り違えない。分子が d、分母が d′ である。
- j<0
定着クイズ
Q1定常状態にある制度(期初拠出・予定利率 i=3.0 パーセント)で、10年間にわたり運用利回りが j=−2.0 パーセントで推移した。10年後の積立金は定常状態の積立金の何倍か。ただし保険料と給付は変更しない。
Q2Fn=(1+j)nF−d′d{(1+j)n−1}F における d′d を書き換えた式はどれか。
Q3期末拠出の制度で、第 t 年度の給付を Bt=B0F0Ft(積立金に比例)とした。B0=2C かつ当初が定常状態のとき、t≥1 の漸化式はどれか。
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に収まる。
実際の運用利回り i′ が予定利率 i と食い違ったときの積立金の推移。差は利差損益として現れ、翌年度以降の積立金を予定と乖離させる。
である。C−B=−dF(極限方程式)を代入し、両辺に v′t+1(v′=1+j1)を掛けて足し上げると
Fn=(1+j)nF−d′d{(1+j)n−1}F,d′=1+jj
という閉じた形になる。F で割れば「定常水準の何倍か」だけの式になるので、B も C も要らない。
d′d=1+ii⋅j1+j
である。2018年度問題1(4) の選択肢は10個ともこの分数の形だけを入れ替えたもので、1+ii と 1+j1+i の区別、j1+j と j1 の区別を突いている。正答(J)は上の形である。
「その年度の期末積立金が極限方程式を満たすような給付額を翌年度の給付額にする」制度では、毎年 B が積立金に合わせて作り直される。すると
FFn=(1+i1+j)n
という比の累乗だけになる(2025年度問題2(1)(イ))。給付を毎年調整する制度のほうが、調整しない制度より積立金の目減りが小さい。
1年分で見ると、予定と実績の差は (j−i)×(運用資産) である。これが利差損益(NEN065)で、本概念は利差損益を何年も積み上げたときの姿を見ている。
。
で割れば定常水準に対する倍率だけの式になる。2018年度問題1(4)(5点)は式そのものを、2025年度問題2(1)(ア)(3点)は数値を問う。
d/d' は (i/(1+i))((1+j)/j) の形になる
2018年度問題1(4)の選択肢は10個ともこの分数の組み合わせを入れ替えたもので、j1+j と j1、1+ii と 1+j1+i の区別を突いている。
給付を毎年極限方程式に合わせ直すと倍率は ((1+j)/(1+i))^n
2025年度問題2(1)(イ)(3点)。同じ10年・同じ利回りでも 0.556 対 0.608 になり、給付の調整が積立金の目減りを抑えることが数値で見える。
1年分で切り出すと利差損益になる
(j−i)×(運用資産) が利差損益(NEN065)である。本概念はそれを複数年積み上げた姿で、財政決算(NEN062)と地続きである。
何年後かを問う設問は必ず切り上げになる
対数で出た n は実数なので、条件を満たす最小の整数に切り上げる。2018年度問題1(4)は不等式の形のまま、2024年度問題1(8)と2025年度問題2(1)は整数で答えさせる。
漸化式を10回回した値と一致する。公式解は 0.55599(正答B)で、与えられた諸数値 0.9810=0.81707 を使うとその値が出る(厳密値は 0.556002)。
FF10=(1.030.98)10=0.60797(正答B)
0.556→0.608 の差が「給付を毎年調整することの効果」である。
(3)一定倍以上になる年数(2018年度問題1(4))
j>i の場合に Fn≥αF となる条件は
n≥log1−d′dα−d′d/log(1+j)
である。i=2.0 パーセント・j=5.0 パーセント・α=1.5 なら n≥12.61 なので13年。数値探索でも13年で初めて超える。
(4)給付を積立金に連動させた場合(2024年度問題1(8))
Bt=B0F0Ft、期末拠出、B=2C、j=−8.0 パーセントの1年だけの悪化。F1=0.9F0 になり、以後 Ft+1=Ft(1−i)+C を回すと初めて 95 パーセント以上に戻るのは36年後(正答I)。log0.5/log0.98=34.31 から n≥35.31 を得る筋道でも同じ答になる。
でも同じ式が使える。ただし
d′=1+jj が負になるので
の符号に注意する。
保険料と給付は予定どおりという前提を外さない。給付が積立金に連動する設問(2024年度問題1(8))では漸化式そのものが変わる。対数で出た年数を切り上げ忘れると、選択肢に無い値になる。