連続モデルによる定式化とは|定義・公式とアクチュアリー試験の関連問題 | acpass年金数理・公式・積立金の推移
ひとことで言うと
脱退・昇給・保険料・給付が「年1回」ではなく連続的に起こるとして、和を積分に置き換えたモデル。割引・脱退・昇給の3つがすべて指数関数になるので、掛け合わせると指数がひとつにまとまり、積分が手で計算できる。5年連続で出題されている単元最重量の論点である。
割引・残存・昇給の3つの指数を掛けると単一の指数になる。中途脱退の給付には脱退力 μ を掛けて積分し、定年到達時の給付には掛けない。
数式で表すと
dtdF(t)=δF(t)+c(t)−b(t) 連続モデルでは、加入年齢 xe から τ 年経過した時点を基準に3つの指数関数を用意する。
・割引:vτ=e−δτ
試験に出る性質
割引・残存・昇給の3つの指数は指数1つにまとまる
e−δτ⋅e−μτ⋅eλτ=e−(δ+μ−λ)τ
例で見る
<計算の前提>(2020年度問題1(8) と同一)
・加入年齢から定年年齢までの期間は40年、財政方式は加入年齢方式
・給付は加入期間20年以上で脱退した場合に支払う。中途退職時は脱退時給与の3倍を一時金、定年退職時は脱退時給与の3倍を年金額として連続払10年確定年金
・利力 δ=0.02、脱退力 μ=0.06、昇給力 λ=0.03(いずれも年齢に依らず一定)
つまずきポイント
- 中途脱退の給付に脱退力 μ を掛け忘れる。掛けないと給付現価が過大になる。
- 定年到達時の給付に μ を掛けてしまう。定年到達は確定事象なので掛けない。
- aˉn=δ1−e−nδ
定着クイズ
Q1連続モデルにおいて、中途脱退時の給付現価と定年到達時の給付現価の書き方の違いとして正しいものはどれか。
Q2利力 δ、脱退力 μ、昇給力 λ がいずれも一定のとき、給与比例の給付現価・給与現価の被積分関数に共通して現れる指数関数はどれか。
Q3δ=0.02、μ=0.06、λ=0.03、加入から定年までを40年、給付は加入20年以上の脱退に対し脱退時給与の3倍(定年時は同額を年金額とする連続払10年確定年金)とする。加入年齢方式の標準保険料率に最も近いものはどれか。
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加入・脱退・保険料・給付がすべて連続的に起こるとして、積立金や標準保険料を積分で表すモデル。単位時間あたりの標準保険料を問う設問が近年ほぼ毎年出る。
(
は利力)
・残存:
lxe+τ=lxee−∫μdy=lxee−μτ (
は脱退力、一定なら
の1次)
・昇給:
bxe+τ=bxeeλτ (
は昇給力)
標準保険料率は給付現価を人数現価(給与比例なら給与現価)で割ったものなので、加入年齢方式なら
EP=∫e−(δ+μ−λ)τdτ∫(給付)e−(δ+μ−λ)τdτ
という形になる。3つの指数が指数ひとつにまとまるのがこのモデルの計算上の利点である。
μdτ が「τ から τ+dτ の間に脱退する確率」なので、中途脱退時の給付は
∫0n(給付額)⋅μ⋅e−(δ+μ)τdτ
と書く。一方定年到達時の給付には脱退力を掛けない。定年年齢に達した人は確率 e−μn で確定的に到達するので、e−δne−μn をそのまま掛ける。ここが最大の分かれ目である。
給付額が加入年数 τ に比例すると、分子に τ が入って
∫0nτμe−(δ+μ)τdτ=μ⋅(δ+μ)21−e−n(δ+μ)−δ+μnμe−n(δ+μ)
となる。部分積分1回で出る形で、2022年度・2023年度がどちらもこれである。
aˉn=∫0ne−δtdt=δ1−e−nδ
給付が年金の場合はこれを掛ける。期初払の a¨ とは別物なので取り違えない。
。2020年度問題1(8)(5点)はこの3つがそろって出た唯一の年度で、昇給力の定義式
λx=dxd(logbx) まで問題文に書かれている。
中途脱退の給付には脱退力を掛け、定年到達には掛けない
μdτ が微小区間で脱退する確率だからである。定年到達は確率 e−μn で確定的に起こるので e−(δ+μ)n をそのまま掛ける。
加入年数に比例する給付は部分積分1回で閉じる
∫0nτμe−(δ+μ)τdτ の形。2022年度問題1(6)(5点)と2023年度問題1(3)(5点)はどちらもこれで、2年連続で同じ積分が出ている。
脱退時平均加入年数から脱退力を逆算させる形がある
2023年度問題1(3)は「脱退時平均加入年数は δaˉ60/μ と表せる」という条件から 1−e−40μ=1−e−60δ を作り μ=0.03 を得る。与えられた条件式が実は μ の方程式になっている。
4年連続で出題されている(2020・2021・2022・2023)
計22.0点で、U06 では NEN054(35.0点)に次ぐ2番目の重さ。2021年度は問題2(2)が2セル(3点+4点)で本概念に当たる。同年の問題3(2)(8点)は連続モデルだが、そちらの主概念は NEN085 ティーレの公式である。2024年度・2025年度には本概念の行が無い。
・標準保険料は給与に対する一定割合
aˉ10=0.021−e−0.2=9.0635
∫040e−(0.02+0.06−0.03)τdτ=0.051−e−2.0=17.2933
∫20403×0.06×e−0.05τdτ=0.050.18(e−1.0−e−2.0)=0.8372
定年到達分は 3×e−0.8×e−2.4×e1.2×aˉ10=150e−2.0(1−e−0.2)=3.6798
EP=17.29330.8372+3.6798=0.2612
公式解は 0.2611⋯ で正答(E)0.26。数値積分でも同じ値になる。
・2022年度問題1(6):δ=0.03・μ=0.08・15年確定年金。人数現価 8.9793、aˉ15=12.0791、EP=157,318 円(正答F)
・2023年度問題1(3):脱退時平均加入年数 μ1−e−40μ=μδaˉ60 から μ=0.03 を逆算し、EP=11.95 万円(正答H)
・2024年度問題1(4):lx が1次式で連続的に推移する制度で、年1回払と年2回払の標準保険料の比 1.970987(正答D)
(連続払)と
a¨n=d1−vn (期初払)を取り違えない。
給与比例の保険料では昇給力が分母(給与現価)にも効く。分子だけに eλτ を入れると答が合わない。